夢の話。②

 僕はトウモロコシ畑にいた。
こちらではトウモロコシは貴重な作物なのかな。小型の警備ロボットが見回りをしていた。
僕はとうもろこしの種を見ながらそう思った。
警備ロボットは、ウサギや猫、サル、亀いろんな動物の形をしていた。
ウサギは侵入者がくると耳をピーンと立てた。かわいいけど、何か来たみたいだ。
侵入者は、収穫機を備えた大型の機械だった。トウモロコシの種をとりに来たらしく、こちらへ向かってきた。
僕はいそいで侵入者から逃げた。周囲の畑はもう、侵入者が占拠してしまって、機械がたくさんいた。
その機械からも逃げたけど、多すぎてつかまってしまった。
機械は、僕に2、3粒の種をわたして、「これを植えてこい」といっただけで何もしてこなかった。
なめられている気がして悔しくて、ひたすらに走った。

走って走って、気が付くと住宅街の入り口に立っていた。
地中海にありそうな家がずっと並んでいた。
ふと、はなしている声が聞こえて、見ると、鮮やかな青色の家の玄関で配達員のような人とおばさんが話していた。
おばさんは配達員の人に何か言ってて、種が欲しいとのことだった。
配達員の人は首を振って帰っていたから、僕は自分が持っていたとうもろこしの種をおばさんにあげた。
おばさんは喜んでいた。僕を家に招き入れてくれた。
おばさんの家は広くて、居心地がよかった。二階にいって、おばさんは飲み物を取ってくると下へ降りて行った。
僕は現実でも人の家に行くと、きょろきょろ見回してしまうのだが、それは夢でも変わらなかったみたいで、写真とか名札とか観葉植物とかみていた。

ふと、窓の外を見た。家が立ち並んでいた。向かいの家の天井が見えた。原理がどうなっているのかはわからないけど、空洞があって中央から重力がかかっているみたいでドーナツ形に家が立ち並んでいた。
上(僕から見ると右だがそこは空だった)を見ると、もう一つ惑星があった。
第2の地球があった。禍々しくて、美しかった。とても心惹かれた。
だから、そこに行きたいと思ったのはごく自然なことだった。
僕は窓を開けて、飛び出した。第2の地球以外には目に入らなかったし、落ちるなんて考えもしなかった。
僕は空に落ちた。とてもワクワクしていた。
だけど、第2の地球は遠ざかっていった。
空から落ちていることを理解するのに少し時間がかかった。
「あぁ、ぼくはまだ行けないんだなぁ」
そう言った。そう思ったから。
僕は目をつむった。怖かったわけじゃない。悲しくて泣いていた。 
僕はどんどん落ちた。そして、世界の端に当たった。
大きな重低音と共に、世界が、夢が、砕けた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?