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『私の大腸さん』最初の日

先週の大腸内視鏡検査で2センチ以上のポリープが見つかった。

みんなが嫌がるこの検査、新しもの好きの私は朝からワクワクしていた。
下剤も看護師さんの言う通り冷やすとそれほど不味くなかった。

説明書通り透明の便にならなくて、一時間前に行って水を大量に飲み、便を出しては見てもらうの繰り返し。いくら仕事とはいえ申し訳なさすぎる。

お尻からカメラを入れ、グリングリン動かされる。ちょっと気持ち悪いけどまだセーフ。終点まで行くと引き返しながらポリープを切っていく。

画像を見ながら、お初にお目にかかる自分の大腸を食い入るように見ていた。便秘の割にまぁまぁ綺麗ちゃう?などと考えながら。

後半で先生の手が止まった。「この餃子みたいなのは大きくて今回取れないので、病院を紹介します」「進行性のガンではないです」

え?頭が追いつかない。餃子って…確かに餃子にしか見えない異物があった。

入院は一週間ほどかかること、病院の候補リストなど説明されたが、フワフワしていて実感がない。

まずい!仕事は一人でやってる自営業で休めないし、親や子どもにどう言おう。
弟が白血病で早逝しているので高齢の親には知らせたくない。長男はもうすぐ大学受験。

最悪だ。
最悪なのに涙が出ない。

ジム通いとランニングが趣味で、30年風邪一つ引いたことのない私がガン?

ネットで調べると色々な情報が出てくる。
お酒を5年以上断ってるし、野菜も魚もよく食べる。運動不足の正反対。

ただ一つ。アル中夫に5年以上悩まされ、お腹が締め付けられるように痛むことが続いていた。

今春やっと離婚できて、これから人生楽しもうと計画していた。

変な話だが、餃子みたいなものが私の頑張りから生まれたようで、愛おしさが湧いてきた。
そらぁ何かしらおかしくなるよなという日々だった。

祖父母も両親も病気らしい病気をせず長生きしているので、私も90代まで生きるつもりだった。

4人の子育てが終わった数年後、仕事を引退して海外のあちこちで1か月くらい暮らそうと思っていた。

できるかな?自信がなくなった。
でもそれ以上に親と子どもに言えない。
入院の直前に伝えると決め、私は大腸さんマラソンを走り出すことにした。

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