番町皿屋敷マジック脚本

登場人物

  • お菊

  • 通行人1(キャリアウーマン風女性)

  • 通行人2(若い外国人観光客)

  • 通行人3(小学5年生男子)

  • ナレーター

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ナレーター: 昔々、江戸の番町にあるお屋敷に、お菊という優しい侍女がいました。お菊は主人の青山播磨にとても大切にされていました。しかし、ある日の事、お菊は青山播磨が大切にしていた10枚揃いのお皿を一枚割ってしまいました。怒った播磨の妻は、お菊にひどい折檻をしました。その夜、お菊は悲しみのあまり、井戸に身を投げたのでございます。

ナレーター: それからというもの、夜になると井戸からお菊の声が聞こえるようになりました。
お菊の声: (悲しげに)一枚、二枚、三枚…九枚…ああ、うらめしや…。
ナレーター: こうして、お菊の幽霊はお皿を数え続けました。最初の100年は、お菊の声を聞きたくて村人がたくさんお菊の井戸にやってきましたが、だんだん飽きてきて誰も来る人はいなくなりました。

ナレーター: お菊が井戸に身を投げてから300年が経ちました。
時は令和です。高層ビルが立ち並ぶ大都市。人々はスマートフォンを手に、ネットで友達とつながり、新しい発見を楽しんでいます。お菊の事を知る人はもう誰もいません。

令和のお菊:あー、誰も来ないなぁ。退屈で退屈で死にそう・・・あっ、もう死んでるかぁ。昔はよかったなぁ。
私が一枚、二枚、と数えるだけで、人々が怖がって逃げて行って。その後ろ姿が面白いのなんのって。でもね、聞いてくださいな。300年も夜ごとに数を数えていたら、数の秘密っていうのでしょうか、そんなものが分かってきたんですよ。それである数マジックを思いついたんです。
題して「番町皿屋敷マジック!」

ナレーター:どうやら令和のお菊は、人々の関心を惹くために新しいマジックを思いついたようですよ。
あっ、向こうから女性が近づいてきます。お菊は、マジックを披露できるのでしょうか?さあ、お菊さん、腕の見せ所ですよ、頑張って!
令和のお菊:さぁさ、お江戸のお遊びを さぁさ念じてくだしゃんせ。
あなたのお好きなお日にちを3回聞いてあてまする♪
通行人1:(お菊の方をちらっと見て足早に通り過ぎようとする。)
令和のお菊:ちょっとすみません。
通行人1:(あたりを見回して)えっ、私ですか?
令和のお菊:はい、あなたです。私、番町皿屋敷のお菊と言います。300歳です。ちょっとしたマジックができるのですが、見ていきませんか?
通行人1:いえ、ごめんなさい。忙しいので(足早に通り過ぎる。)

ナレーター:あら~、お菊さん、残念。一蹴でしたね。あっ、向こうから外国人観光客でしょうか?お菊さん、気を取り直して再度チャレンジするようです。
令和のお菊:Welcome,Welcom!Japanese Number Magic starts!
Three questions to you will tell me the number of your choice. It's very strange. Come on!
(さぁ、いらっしゃい、いらっしゃい!日本古来の数遊びだよ。あなたのお好きなお日にちを3回聞いてあてますよ~)
通行人2:Wow, that looks interesting. I'll take on the challenge.
(わーお、面白そう。やってみるわ!)
令和のお菊:Thanks.
Here are the dates from 1 to 31. Please choose one of your favorite dates. I'll guess it. Did you choose?
(ありがとうございます。では始めますね。ここに1から31の数字があります。その中からひとつあなたの好きな数字を選んでください。
それを私が当てるというマジックです。選びましたか?)
通行人2:Yes,I do.(はい、選びました。)
令和のお菊:(次の面を見せながら)What color is the number you chose? Gray, white, yellow, red?
(あなたが選んだ数字の色は、灰色、白、黄色、それとも赤ですか?)
通行人2yellow!(黄色です)
令和のお菊:(次の面を見せながら
What color is the number you chose? Gray, white, yellow, red?

(あなたが選んだ数字の色は、灰色、白、黄色、それとも赤ですか?)
通行人2red!(赤色です)
令和のお菊:(次の面を見せながら)Black or white?
(あなたが選んだ数字の色は、黒ですか白ですか?)
通行人2Black!(黒です)
令和のお菊:I understand! The number you chose is exactly 14.
      (分かりました!あなたの選んだ数字は14ですね。)
通行人2:Wow, what a surprise. That's right.  How does magic work?
    (わお、びっくりです。その通りです! どうして分かったの?)
令和のお菊It's simple. The color points for each side are written here, so you can add them up.
(簡単です。各面ごとに色のポイントが書いているのでそれを足すだけです。)
通行人2Wow, that's how it worked. I want to take it home as a souvenir. can I buy this one ?
(わーあ、それがやり方ね。お土産に買って帰りたいです。)
令和のお菊Thank you. This is origami, see this QR code to see how to fold it.
(ありがとうございます。これは折り紙になっていて折り方はこのQRコードから見てくださいね。)
通行人2Thank you. Goodbye!
 
ナレーター:外国の方に買って頂けて良かったですねあら、つぎは小学生がやってきましたよ。お菊さんの番町皿屋敷マジックは今どきの小学生にも受けるのでしょうか?
      
お菊と通行人3:(ふたりでひそひそとマジックを楽しんでいる様子)
ナレーター:あら、小学生はどうやらマジックのしくみに興味津々のようです。

通行人3:へぇ、おもしろいね。でもこの計算を暗算するのっておばさん大変でしょ。
令和のお菊:あら~、分かる?計算を間違えたら当てられないでしょ。お客さんと話しながら、暗算するって結構緊張するのよね。
通行人3:だったらそんな計算、コンピュータにさせればいいんだよ。今の時代はね、子どもでもプログラムを組むことができるんだよ。
令和のお菊:えっ、コンピュータって何?プログラムって?
通行人3:いいよ、おばさん、明日僕がプログラム組んでくるから。今からはそれを使うと緊張しなくて済むから、よりよいパフォーマンスを追求できるよ!

ナレーター:次の日、男の子はスクラッチというプログラミングソフトを利用して、番町皿屋敷のマジックを作ってきてくれたのでした。もう私たち昭和世代には、何が何やら分かりませんね。
会場の皆様、どなたか皿屋敷マジックに挑戦される方はいらっしゃいませんか?

(会場、盛り上がる!)
お土産に番町皿屋敷マジック折り紙も買って帰ってくださいね。

      



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