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「UXリサーチの道具箱 イノベーションのための質的調査・分析」 樽本徹也
もっとユーザーリサーチを知りたくなる・やりたくなる
自分の仕事を人に説明するとき、よく悩みます。
インタビューアーというと「どこに記事を出しているのですか」というライター職や、「ああ、人事面談の…」という人事リクルーター職と間違われたり。そのために、マーケティングインタビューアー・モデレーターという肩書を便宜上使っています。
かといって、インタビュー対象はマーケティング・リサーチだけではありません。マーケティング・リサーチで想像しやすい消費者インタビューだけでなく、B2Bの業界インタビューもやったりします。最近はウェブサイトやアプリのUX・UIに関するインタビューが増えています。そうなると、肩書を「マーケティング」をつけたままでいいのか、それとも「UX・UI」をつけたほうがいいのかなどと、また難しさに直面。
ということで、今日は案件が増えているUXについて書かれている「UXリサーチの道具箱」。
この本の構成は下記のとおりです。
Chapter 1 ユーザー調査概論
Chapter 2 ユーザーインタビュー
Chapter 3 データ分析
Chapter 4 ペルソナ
Chapter 5 シナリオ
Chapter 6 ジャーニーマップ
Chapter 7 ジョブ理論
Chapter 8 キャンバス
こちらはUXリサーチをする際の基本書として適していると思っています。道具箱っていう名前がついているぐらい、UXリサーチに必要な知識やフレームワークが幅広く押さえられているからです。
リサーチという面だけではなく、先の2冊と合わせて、ユーザーインタビュー基本3冊って呼びたいぐらい、この本はUX・UIに携わらない人にも読んで欲しい本です。それは、この本が
デプスインタビューに必要な情報をわかり易く網羅しているからです。
この本の一番のおすすめポイントは「インタビューアーはユーザーに弟子入り」という言葉で、どのようにして対象者に対応すればいいか教えていること。
時々クライアント側の方がインタビューをする現場を見学させてもらうことがあるのですが、「知識をひけらかす」「質問を途中でやめてしまう」というケースをみるときがあります。でも、わかった気になって必要な情報を取れていなかったり、「こんなするどい質問を投げる自分ってすごい」っていう気持ちになってしまうんですね。もしかしたら、常々上司に「みなまで聞くな。自分で考えろ」って言われているせいかもしれませんが。
でも、ユーザーインタビューは自分で答えを考えるものではありません。対象者が見ていること・体験していることを、インタビューアーが、しいてはインタビューを観察している観察者が頭の中で再現できるように聞くのが大切なんです。それを「弟子入り」という言葉で説明し、表現したことに私は膝をぽんっと打ちました。
また、Chapter 2 ユーザーインタビューにて「なぜ」を繰り返すことの罪についてきちんと言明している点も、この本をオススメする理由です。
先日参加したセミナーで、マーケティングコンサルタントの方が「『なぜ』を3回繰り返せば、ユーザーの本音がでてくる」と話してました。
が、みなさんどんなときに「なぜ?」「なんで?」って言う言葉を使いますか?「理由を聞きたい」だけでなく、まるで相手を攻め立てているような、そして自分をわかってくれていない悲しみや怒りをぶつけるときに使いませんか?
「なぜ?」という言葉は相手を追い詰め、本音を逆に隠し、そして、インタビュー現場に必要な「このひとに話していいかも」という雰囲気を一気に崩すんです。このリスクについてきちんと言及しているので、インタビューをする際の心強い教訓になると思います。
ユーザーインタビューについてもっと知りたくなる。そんな刺激をしてくれる本です。
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