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ざわざわとピリつく話


人は自分の心に嘘をつく。

嘘をつくことを「悪い」というわけではない、ただたまに擦り切れていく感じがする。

先ほど、King Gnuが紅白が決まった。常くん、みんなおめでと。

年末感が漂う中、嬉しい報告であり、さすがに今回は紅白メインでテレビを見ようと思っている。

人間は、応援する側、される側に回ると考えたら、僕はどちらなんだろう、と考える時がたまにあり、それを考えた時、

「自分がこの歳の、この時はどうしてたっけ?」

と比較して考えてしまう。

どうしても、自分が「あの時こうしてたら」と思う時、人生の分岐点、ifがその時あったことを思い出してしまう。

そうすると、僕は結構今の現状に満足しながらも、「あの時こうしてたら今もっと稼げてたのかな」と、結構な比率で後悔し、モヤモヤしてしまうのだ。

昔、23の時、僕は昼は服屋、夜はバーテンダーと、二足の草鞋を履いていた。今でいうダブルワークだ。

大学を中途半端で退学し、学歴至上主義のその時その時代、僕にできる術はそれしかなかったのだ。

2つとも営業トークを生かした仕事で、喋りさえうまければ稼げた。

服屋もバーテンダーも、基本給にコミッションがついていた。

服屋は売り上げの5%をもらえ、バーテンダーは売り上げの2割をもらえた。

そうこうしていると、地方のラジオを構成の仕事が入り、それはスポットであったけれども自分がすごく楽しい仕事でもあったため、継続でやらせていただいた。

僕はその時、歯科衛生士の彼女と2年ほど付き合っていた。

その彼女が、「将来を考えているんなら、しっかりとした仕事に就職して欲しい」と、夜明け前につぶやいた。

その一言が頭に残り、僕の頭がモヤモヤしだした。

「俺はこの子と結婚したいのか?」

そこの一点集中だ。

その言葉は、夜の仕事が終わり、彼女の友人の女の子が、仕事終わりに僕の働いていた店に僕を迎えにきて、その子と、その子の家に帰る、その子の車の中でぼそっと、僕はその子に呟いた。

「なあ、俺って結婚むいてる?」

その子は少し考えて、僕にこう言った。

「私と?あの子と?」

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