見出し画像

初めて脚本を書く君へ【映画分析の質問法】

さて、物語構造を把握した今、具体的に分析をします。
映画分析の最大の目的は自分の映画に活用する為です。

フィルムメーカーの行う映画分析の目的はシーンを分解して理解し
最も面白いシーンの描き方を知る事です。
自分のシナリオを書く前に必ず各シークエンスについて4、5行そのシークエンスが何について描いたものか書きましょう。
また、同じく映画を分析する時にも、同じように書いてみましょう。
そうする事によって自分のオリジナル作品を作る時に大いに役立ちます。

さて、ありとあらゆるシーンで次の質問を自問自答していきましょう。

ⅰ.それは誰のシーンか?
(誰がメインキャラクターとなってそのシーンを動かしているのか)

ⅱ.登場人物が何をしたいのか? / 何が出来なかったのか?

ⅲ.どうやって物語を前進させたのか?
  それ無しにストーリーは成立するのか?/何故必要なのか?(物語の何を説明しているのか)

Ⅳ.登場人物についての何か重要な情報が明らかにされたか?
 (それは観客との関係性の発展にどのように関係しているのか?)

Ⅴ.そのロケーションは物語を語る上で最高の場所か?
 物語を説明するのに可能な場所か??

ⅵ.そのシーンがヴィジュアル的に面白いのか?それともセリフによって面白いのか?

ⅶ.そのシーンには面白くする為の要素が入っているか?
 (ユーモア、緊張、サスペンス、興奮、視覚的に面白い要素など)

ⅷ.映画自体の時系列はどうか?時系列通りか?そうではないか?

通 常、長編映画(1時間半~2時間)の場合50~75のドラマティックなシーン、200以上の技巧的シーンが使用されています。技巧的なシーンと言うのは例 えば場所を明確にする為に家の外観を映した後に家の中のシーンに移ったり…の外観を映したシーンに当たります。果たして本当にこんなに沢山シーンがあるん でしょうか???是非、実際に数えて、自分で確かめてみて下さい。

さて、映画の構造と映画分析の質問を知ったら、紙とペンを片手に映画分析していきましょう!


補足

当然ですが、今まで解説してきたのは従来型の原則であって全ての映画に当てはまる物ではありません。あくまで理論上の一般的な良い映画の見本であって、これに外れた面白い映画はいくらでもあります。
しかし、これを知っているのと知らないのとでは大きく違います。
これらの情報は自分がシナリオを書く時、物語が上手く機能しない時に改善する為の一つの指針になります。また、これに外れた映画と言うのは作者の大半がこの構造を理解した上で新たの方法を見つけた結果なのです。

それではこの理論にそった映画分析にふさわしい映画を選んでみましょう。

ⅰ.1時間半から2時間弱の映画を選びましょう。2時間以上の映画はそもそもシークエンスが8つ以上ある可能性もあります。シーン数も膨大になります。まずは通常の尺の映画から見ていきましょう。

ⅱ.一度観た事ある映画にしましょう。これは既にある程度内容を理解していることによって分析しやすくします。

ⅲ. 斬新が売りの映画は避る。例えば『メメント』など、明らかに構造が異質な物はこの映画分析には向いていません。

Ⅳ.時間軸が複雑な物は避ける。『めぐりあう時間達』のような物語に3つの軸があるもの、また『イノセント・ガーデン』のような時間軸が前後左右する様な物も避けましょう。

そして、出来ればハリウッド映画を選んで下さい。この法則に則った映画が多いです。
後はお好きな映画を選んでください。あくまで基本構造なのでシークエンスの数は前後します。なので、まずは正確にシークエンスの数と小話の数を把握して、それぞれがどのアクトに属するのか見極めて分析していってくださいね。

最後に分析シートの雛形をこちらにUPしておきますので、分析の参考にしてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?