2020年4月に読んだ本まとめ

2020年4月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


瀬那和章「好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く」

タイトルからはあまり中身が想像つかないですが、読んでみたらとても素敵な恋物語だったし、良いタイトルでした。
神戸の街に一緒に暮らす三姉妹の、それぞれの恋を描いたオムニバス作品。
3人ともそれぞれで別の生き方をしていて、それぞれ別の恋の物語があります。
ですがこの1冊で切り取られている恋模様は、3人が互いに少しずつ、あるいは深く関わり合い、影響を与え合っていく様子も描かれています。
この三姉妹だからこそ辿り着いたそれぞれの恋物語は、どれも素敵なものばかりでした。
恋物語でありながら、三姉妹という家族をテーマにした作品にも仕上がっていて、読み終えての満足度が高かったです。
本当に、3人ととこじらせまくった恋愛してるのに、でもこの3人でしか辿り着けないだろう幸せをそれぞれ見つけられたようでとても気分よく読み終えることができました。おもしろかったです。


暁なつめ「この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま」

異世界転生する際に、腹立つ駄女神も一緒に巻き込んで転生してしまうコメディ作品。
クライマックスこそバトル展開にはなりましたが、シリアスな雰囲気もそこそこに、ほとんどコメディに終始した作品でした。
その徹底的なまでにコメディに突っ走る潔さは好ましく思いました。
アクア、めぐみん、ダクネスといった一見ポテンシャルの塊なのに残念なメンバーとのやり取りは、読んでいるだけで楽しいです。
夢も希望もない異世界転生が描かれているものの、楽しげなその様子はやはり夢や希望に溢れていて、読んでてストレスの無い良書でした。


武田綾乃「響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」

めちゃくちゃおもしろかったですね……!
ストーリーとしては、府大会を突破した北宇治高校が、全国出場を目指し関西大会に向けての夏休み中の猛練習が描かれています。
物語の中核にいるのは『リズと青い鳥』でもお馴染みの、みぞれと希美コンビ。
かつて仲の良かった友人同士が、なぜ吹奏楽部の大量退部事件を経て距離を置くことになったのか?
その、みぞれの面倒くささと、希美の鈍感さがはっきりと浮き彫りにされていて、青春ストーリーの中にここまで複雑な関係性を描けるのかよ、と読んでてゾクッとしました。
そして迎えた関西大会の結果は、ここまでの北宇治高校の努力を追体験しているからこそ、読みながら一緒にドキドキして、結果を見たときちょっと涙が浮かんでしまいました。


時雨沢恵一「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインX ―ファイブ・オーディールズ―」

SJ4から1週間後に開催された、5つの試練の待ち受けるクエストに参加するLPFMとSHINCの合同チームの物語。
対人戦闘の無いクエストということもあり、SJよりも少しゆったりとした雰囲気のあるエピソードでした。
いつもは敵であるSHINCが味方として参加しているということで、いつもよりも彼女らの魅力が堪能できた気がします。
個人的にはトーマが今回かなり良かったですね。
犬好きのフカ次郎の、いつもとは違う面が見られたのがとても印象的な10巻目でした。


山形石雄「六花の勇者4」

テグネウの策略のひとつである「黒の徒花」について調査を行うために、操られた人間である『屍兵』の群れを突破する話。
物語のメインは心優しき勇者のロロニアで、彼女がどうにか屍兵たちを救い出したいと思い悩む所が物語のキーポイントとなります。
黒の徒花の正体について知る屍兵であるライナの動きや、六花やナッシェタニアたちのそれぞれの思惑が重なり合い、重厚なストーリーに仕上がっていました。
黒の徒花の正体が明かされましたが、七人目が見つかるのにはまだまだ時間がかかりそうですね……。


田尾典丈「中古でも恋がしたい!13」

ヤンキーからエロゲヒロインへ、一途な元ヤンヒロインを描いた物語もついに完結。
最終巻は清一・古都子・麻奈の三人の飲酒&乱交疑惑が物語のメインということで、かなり踏み込んだ内容だったかなと。
物語のラスボスということもあり、黒幕の仕掛けた手も凶悪な一手で最後までハラハラさせられました。
ていうか、あの真相となると、実際のところ「ヤッてたか」は分からず終いじゃないですか? というか、たぶん……。まあ、ここに来てタイトル回収したと思えば。
ここまで清一を囲んできたヒロインたちである優佳やイブの出番が、その本編における活躍に反して少なめだったのはシリーズの最終巻としては少し残念でしたね。
物語としては綺麗に古都子ルートの決着がついて嬉しかったです。
本当に……ここまで時間かけやがって、清一ったら! 最初から古都子が一番可愛いって思ってたよ! 末永くお幸せに! 連載お疲れ様でした! 


伊藤計劃「ハーモニー」

映画は観てたんですが、薦められて原作読んだんですが……これは読んでよかったです。
医療分子の発達で病気がほぼ駆逐された世界を舞台に、そんな世界を疎んで死のうとした少女と、死ぬことのできなかった少女の物語。
世界中を大混乱に陥れた事件の裏側にミァハの影を見つけ、それを追うトァンの物語としてもおもしろいんですが、文中のあちこちに散りばめられた文中タグがかなり印象的でした。
これら小説ならではの演出だったなと。
SF小説は苦手にしているのですが、この作品は比較的想像のしやすいテーマだったためすんなり読むことができました


川原礫「ソードアート・オンライン プログレッシブ1」

本編では第1巻にてクリア直前が描かれるだけだったアインクラッド編の攻略の様子を、第1層からまるまる描いていってしまおうというかなりやばい作品。
キリトと相棒はやはりアスナ、ということを再認識するくらい、2人のコンビっぷりが板についてて良かったです。
第2層でこれなら、第75層に辿り着く頃には結婚してそう。
たっぷりページ数を割いてゲームシステムやボス戦などを描いていて、アインクラッド編が好きだった人にとってはとんでもなく嬉しいボーナストラックですね。
このプログレッシブ1巻は500ページを費やし2層までを突破。
お、終わるのか……? 完結までグイン・サーガくらいかかるのでは。

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