すみだメタ観光祭で注目したいこと

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(理事・真鍋陸太郎)

すみだメタ観光祭では、メタ観光資源を発掘する方法のひとつとして、ワークショップ① 「地域の人による魅力の紹介」を用意しました。

モデレータを今治今昔写真に取り組んでいる森隆大朗氏にお願いしています。具体的な内容は「写真の場所を地図に示しながら、それが撮られた際の個人的な思い出・物語を文章に書き起こして相互に共有し合う」とあるように写真を使ってその場所の記憶をめぐる今昔写真に、物語として表現するあなたの名所ものがたりを合わせてものとなっています。

ワークショップの進め方については、人的なコスト、主としてトレーニングされたファシリテータの確保が難しいことと、ひとりひとりと密に対話することで物理的な密を作ってしまわないようにというコロナ禍の制約から、あなたの名所ものがたり、ひいてはデジタルストーリーテリングの特徴の1つである参加者ひとりひとりに丁寧なファシリテートを行うという手法を今回は諦めて、機構の理事も務める菊地氏(国際大学グローコム)が得意とする企業イノベーション等で用いられるアイデアソンで用いるグループファシリテートの手法を採用します。

すみだメタ観光祭での地域の方々とのワークショップ実施について、どのような皆様に参加していただけるか、2点の視点から注目したいと思っています。

ひとつは、あなたの名所ものがたりの大きな弱点である参加者集めに苦労するという点です。微力ながらのSNSでの情報発信のほか、区報や町会経由での呼びかけでは十分に参加していただきたい方、参加したい方へ情報が届いていないのではないかという弱点です。メタ観光推進機構が持つ情報発信力によってどのように解決できるか、情報を届ける方法・チャンネルの可能性に期待したいです。

もう一つは呼びかけの「目的」です。すみだメタ観光祭で実施するワークショップの成果品はメタ観光が掲げる新しい「観光」要素となります。まちの資源発見・共有というまちづくりのためのワークショップでもなく、「声なき想いを物語に」するというデジタルストーリーテリングを主たる目的としたワークショップでもありません。ただし、一見目的が違うように見えますが地域の方々が自分たちの地域の魅力に気づき、またその過程を通して個人の声を発するということは、本質的には共通しています。この一見の「目的の違い」、観光ということに関わってもらうという目的がどのような影響を持つかが2つ目の注目点です。

いずれにしても、すみだメタ観光祭では、観光という切り口でこれまでのまちづくり的活動を生かしていきます。もちろんそれだけではなく芸術祭的な要素、アーティストによる地域の魅力発見や、アーティスト・専門家と地域の方々の協働による観光資源の創造も魅力的で注目すべき取り組みだと思っています。
コロナ禍で十分な活動ができない部分もありますが、ぜひ皆様もご参加ください。

■ 参考URL
https://sumida.metatourism.jp
https://www.facebook.com/groups/imabari.konjyaku/?ref=share

■ 参考文献:
真鍋陸太郎(2018), コミュニティ・アーカイブのための「あなたの名所ものがたり」, 日本生活学会第45回研究発表大会梗概集, pp. 82-83
小川明子(2016)『デジタル・ストーリーテリング―声なき想いに物語を』, リベルタ出版

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