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200年以上の老舗企業が世界シェアの65%を占める日本、すごいな

日本について私が好きなことの一つに、老舗企業の数が世界一だということがあります。これは意外に知らない方も多く、お知らせすると驚かれる方もいるので書いておこうと思います。

まずは、とても驚くとともにロマンを感じてしまうのが何と1,000年以上続く企業が7社もあるということです!

一番古いのが「金剛組」で、神社仏閣を専門とした建設会社ですね。その他には生花・茶道、旅館、宗教用具、清酒などが10位までを占めており、まさに「ええじゃないか!ええじゃないか!」と全国から集まってきたお伊勢参りの時代を彷彿とさせるような顔ぶれです。日本民衆の思いや行動がこれらの必要事業を創り、永らえさせてきたのですね。

ちなみに世界では、日本を超える老舗企業がある国はありません。ヨーロッパなどにはありそうな気がしますが、金剛組が設立された1400年代、ヨーロッパは宗教を基にした勢力が土地を奪い合う侵略戦争を繰り返しつつ、海の向こうに食指を伸ばす大航海時代の始まりのころです。コロンブスが新大陸を発見したのが1492年だそうですから、新たな土地が最も魅力的な時代だったのでしょう。

対して日本はざっくりと戦国時代。(歴史弱いです。。)お伊勢参りが流行ったのは江戸時代(1603年〜)ですから、それよりも150年も前に金剛組は出来ていたのですね。

詳細記事は「周年ラボ」さんから引用させていただきました。

100年以上で50.1%、200年以上で65.2%の世界シェア!しかし、2位が歴史が比較的短い米国なのが意外でした。

その業種的な内訳も興味深いです。日本は圧倒的に「製造業」が多くて、やはりモノづくりの国なんですね。

2位が小売業ということですが、これまでを支えてくれた百貨店やコンビニ、ドラッグストアなど世界には見られない発展を遂げている日本の小売もまた歴史的な強みがあるのですね。

しかし私が一番注目したのは3位にある「卸業」でした。世界と比較しても圧倒的に高い。(海外 6.7% vs 日本 19.1%)これは、卸が幅をきかせていたとも読めますが、私的には文字通りの「卸業」だけではなく、付加価値を持っていたからだと思いました。

実際の私の体験ですが、地方である飲食店をプロデュースした際にお世話になったお酒の卸業の方が本当にすごかったです。某○ントリーの営業さんを従えて登場しましたが、メニュー構成から価格、他社製品含めてのご提案が的確で、それはまさにお酒コンサルティングでした。さらに言うと○ントリーさんの飲食店支援事業も半端なくて、メニューのデザインブックから自由にデザインを選んで無料でメニューを作ってくれたり、グラス類も無償提供、ビアサーバーも提供の上にトレーニングもしてくれる…と、業界の方には当たり前なのかもしれませんが驚きの連続でした。日本の飲食店はこういう方達に支えられているんだなーと感動しました。

話はズレましたが、卸業ってすごいというお話しでした。

そして、現在の業種構成と比較してみると反対に歴史を重ねるのが難しい業種も見えてきます。

「サービス業」は文字通りサービスの淘汰や新興が激しくて長くは続けられないのでしょうか。「建設業」は技術革新に追いついていかなかったり、もしくは新興系が多く出来ているため?「医療・福祉」も日進月歩で多様化もしつつ、昔はそれほど必要なかったのでは?などなど、全て私の妄想です。

翻って「製造業」は、小さくてもイノベーションをし続けないとこうは長く続かないので、日本人は本当に器用で勤勉かつ創造性も高いのではないでしょうか。実際に製造業のクライアントさんのお話を聞いたり工場見学をすると感銘します。「THE 日本企業 ここに極まれり」です。

「小売業」については、取引先のネットワークや商習慣、おもてなしの進化や正にブランドなどが参入障壁となって新参者が日本市場では受け入れられません。数ある海外巨大ブランドが挑戦し、あえなく敗退していきました。(コスメのBOOTSやカルフールなど)以下は参考記事です。

さて、なぜ日本に老舗企業が多いのかについては様々な分析がされているようですが、その中でも「家督制度」が大きいようです。「家督制度」とは旧民法(明治31年7月16日~昭和22年5月2日)で基本的にその家の長男が全ての家督(家名・家業・家族)を引き継ぐというものです。

現代的には重く感じますが、長男は生まれた時からそれを前提として育ち、帝王学をほどこされ、代替わりしてもうまく回るように番頭さん他スタッフも育て上げ、みんな家族のように暖簾を守っていく…こんな風習で老舗企業が生まれてきたのでしょう。賛否両論あるとは思いますが、私は良い制度だったのではないかなと思います。民法改正で財産は遺族に公正に分配されることになった訳ですが、それで事業継承が難しくなるケースも多々あるでしょう。それを見越して事業と財産を分けたり、番頭さん的存在の人に家督を引き継いだり、対策もまたいたちごっこ。人間ドラマが生まれる訳ですね。

私は、仕事の役割がほぼ終わったら(老境に入ったら)やりたいことがありまして、このような老舗企業の文化を探るドキュメンタリーか書籍を創りたいなと思っているのです。そこには何がしかの秘訣、共通項、不文律、精神的支柱などがあると思ってまして、それらを探る旅に出たいです。外資系をテンテンとしてきた私が言う、おまゆう案件ではありますが、だらこそなのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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