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「ドル円相場と○○の関係」という都市伝説⑥政治的要因

第1回の調査では次のことが分かった。

・アメリカが不況になると、安全な円資産が買われて円高になる。

これは「為替相場は市場原理によって決まる」という見方である。

一方で、次の政治的要因を重視する見方もある。

・ニクソンショック以降の円高進行(1971年8月~)
・プラザ合意以降の円高進行(1985年9月~)
・非自民党政権時代の超円高(93年8月~94年4月、および2009年8月~12年11月)

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上図の通り、非自民党政権時代に円高になっている。

このあたりは、市場原理と政府介入のいずれを重視するかによって、見方が変わってくる。
市場原理の力を信じるか、それとも政府の力を信じるか。
こうなってくると、もはや信念の領域ですね。


私は次のように理解している。

・ニクソンショック:
米政府は円高ドル安への誘導を公式に宣言する。

・プラザ合意:
日米欧の各政府は円高ドル安への誘導を公式に宣言する。

・細川政権時代の超円高:
宣言なし。水面下で何らかの政治的な合意があったかどうかは不明だが、少なくとも日米両政府間の繋がり(力関係)を反映している。

・日本の民主党政権時代の超円高と、アベノミクスによる露骨な円安誘導:
同上。


93~95年、および2009~12年の円高進行の要因は、アメリカ不況にあったのか、それとも非自民党政権にあったのか。もちろん、どちらも作用していたと言ってしまえばそれまでだが。

§ まとめ
試行回数が少なすぎる。


§今後の見通し

米国株ブロガーである、たぱぞう氏の見通しがとても参考になる。同氏の見通しを私なりに整理すると、次の通り。

・米ドルと日本円は、互いに先進国・主要貿易相手国の通貨であり、基本的に1ドル=100円±20円のボックス相場が今後も続く。一時的にドル高や円高に振れることはあっても、そのまま元に戻らなくなるとは考えにくい。一方的な円高やドル高の継続は、両国に経済的な不利益をもたらすため、政治的介入により心地よい水準に復帰させると思われる。ただし長期的には、円安が進む可能性がある。

同氏の見解を踏まえると、今後、日米両政府による大幅な介入が行われるとしても、それは円安誘導やドル安誘導というより、投機筋による一方的な円安やドル安の進行を防ぐために行われると理解すればよいだろう。
要するに、日米通貨当局による為替介入は、自国通貨安のためというより、為替相場を安定化するために行われる。しごく凡庸な結論です。

ちなみに長期的な円安の可能性は、同氏が日本人に米国株を推薦する論拠でもある。ということは逆にいえば、米国株を推薦する人が長期的な円高の可能性を日本人に対して表明することは、立場上ありえないともいえそうだが……。とはいえ同氏は長期的な相場予測など不可能であることを予め留保していたように私は記憶している。とても良心的と思う。


§ 以下、個人的なメモ。

●短期(2020~23年) ※影響力の大きい順
・過去3年の傾向が継続→ドル円は動かず
・米中貿易摩擦、EUの不安定化など、リスク要因の存在→リスク回避のため、安全な円が買われ、円高に?
・2019‐20年消費増税に伴い、異次元の金融緩和は縮小→円高に?
・日米における左派ポピュリズムの台頭→影響なし。

●中期(2020~2030年) ※順不同
・過去3年の傾向が継続→ドル円は動かず
・アメリカが基軸通貨国の特権を使って、政治的介入によりドル安誘導→円高に?
・日本国債を圧縮したい→インフレ誘導→円安に?
・日米金利差、日米インフレ率の違い→あまり関係ない。

●長期(2020~2060年)
・日本の人口減少→衰退国の通貨は下落する→円安に?
・アメリカは覇権国の地位を失う→??


§ 参考webサイト
・たぱぞうの米国株投資 https://www.americakabu.com/


§ 次回から有料記事です。
有料記事では、生煮えのアイデアや、私的な備忘録を好き勝手に書き散らしています。投資の参考にはなりませんが、居酒屋談義のネタにでもしていただければ幸いです。
拙文にご付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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