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(連載6)クラファン出版を行う人のためのガイドライン



連載6クラファン出版を行う人のためのガイドライン


1.橘川のクラファン出版を参考にしてみよう

出版の原価構造は、こちらを読んでいただくと、基本構造が分かります。


これによると、書籍の制作項目と費用はこうなります。
(四六判で初版5000部)
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・編集者の人件費 45万~60万
・印税      なし
・デザイン費   15万円程度
・DTP費    20万円
・構成費     MAX10万円
・イラスト費   5万円
・印刷代・用紙代 80万円

合計       ざっくり180万円
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橘川のクラウドファンディング出版は、判型は四六の変形で、初版は1000部を考えています。編集もDTPも基本的には内製・友人に協力を頼む感じ。クラファン出版で欲しいのは印刷外注費。

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・編集者の人件費 0円
・印税      0円
・デザイン費   5万円程度
・DTP費    5万円程度
・構成費     0円
・イラスト費   0円
・印刷代・用紙代 30万円

合計       ざっくり40万円
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クランドファンディングは目標金額が50万円だが、本だけの提供ではなく、パーティなどの費用も含まれているので、計算は複雑になるが、とりあえず
本だけのクラウドファンディングを実施したとしたら、以下のコストがかかる。

50万円募集して、一口2000円として、250人の支援をもらうとする。

必要なコストは以下。

手数料が10%で、5万円
(通常、入金額の20%を取られるが、橘川はグリーンファンディングと個別契約をしているので10%で出来る。クレジット課金手数料含む)
本の郵送料は、メール便がなくなったので、ゆうメールで1件200円ぐらい。250人に送って5万円。

ということで、これで裸の原価で合計50万円。
*印刷費は最近、見積もりとってないので、もうすこし高いかも知れない。その場合は印刷部数を500部にすることも検討。

これに諸経費が10万円として、60万円は集めたいところ。
それ以上集まれば、著者の原稿料になる。協力してくれた人に、メシでもおごりたい(笑)


2.出版流通

クラファン出版で印刷費が出て、1000部印刷したら、手元に750冊残る。これは、クラファン終了後に一般流通で販売する。書店やAmazonで購入出来るが、配本はしない。店頭には並べない。配本や返本処理のコストがばかにならないのでやらない。

関係の出版社であるメタ・ブレーンから発行してもらう。メタ・ブレーンは、30年ぐらい前に、仙台で行われた「スピリット・オプ・プレイス」というシンポジウムで、大谷ゆみこさんに出会い、彼女が「未来食」という本を出したいと相談が来て、既存の出版社に相談したが、どれも面倒なので、それではと、鈴木書店(今はなき書店取次)に相談したら、口座を出してくれて、トーハンや日販その他も窓口をあけてくれた。大谷さんの「未来食」を出すために作った出版社(笑)。その後、仲間たちで「みんなで使える出版口座」を確保しようと、代表の太田さんに維持してもらつている。

それで、どうせクラファン出版を始めたのだから、長年の懸案を追求してみたい。

◇定価を高めに設定したい。これは本の価格というのは、あくまで中身で評価されるべきなのに、書店店頭で販売するしかないという条件のため、1冊だけ通常の価格より高いと、異常な感じになる。書店店頭は、本を購入したい人のために陳列しているので、どうしても、他の本との価格比較をされてしまうのは仕方がない。その比較というのは、頁数だったり、装丁の仕様だったりして、ハードウェアの価格評価しかされないから、結局、大量印刷で価格
下げた書籍の定価に合わせた価格設定にならざるを得ない。

◇クラファン出版で、初版の印刷費をクリアーしているので、そうした読者にこびることなく、こちらの判断で定価を決めたい。そのことにより、クラファン出版で支援してくれた人が、「早く・安く」手に入ったというメリットを提供出来る。

◇また、取次を通した新刊委託配本はしないが、書店からの注文は受付る。そして、現在検討中だが、書店での買取を考えている。通常、書店は販売価格の1.5割から2割ぐらいが取り分だから、それを3割にして、配送費も当方が負担する。その代わり返本なしの買取にしてもらう。書店以外のカフェなどからの買取も歓迎する。

3.今後のこと

今回のクラファン出版をスタートとして、友人たちに、クラファン出版の可能性を説明している。すでに検討に入った友人もいる。今後、クラファン出版のスキームを整備して、新しい、出版発行の流れを模索したい。

僕のイメージは、「書籍バンド」だ。「著者、デザイナー、編集者」が書籍バンドを組んで、自分たちの出したい本をプランニングする。それをクラウドファンディングで実施して、出版する流れを作りたい。

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