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2021年のフットボール(近況報告)


1.新しい関係性の場

 昨年からのコロナ情況の中で、それぞれが苦労したり模索したりしていると思う。
 私も、自宅で過ごすことが多くなり、外部との関係はZoomによることが多くなった。これまでの仕事もZoomに移行して、打ち合わせや会議はオンラインになっている。
 大学は、昨年は全面オンラインだったが、今年は対面授業が復活したので、講義のある日だけは通っている。
 リアルでの会合がなくなり、会合での新しい出会いもなくなった。人間関係は、コロナ以前の関係をオンラインで継続しているわけだが、私の場合、現在の人間関係によるコミュニケーションの2/3は、コロナ情況以後に出会った人たちとのものだ。
 つまりZoomで知り合った人たちとの関係を深めている。

 昨年の8月から「YAMI大学 深呼吸学部」という私塾を立ち上げた。Zoomでの関係性を主体に、紹介の紹介という形で人が集まってきた。ほとんどが、私のことを知らずに、コロナ以後に知ったという人ばかりだ。

 それまでも「リアルテキスト塾」というのをやっていたが、リアルな場で月1回とか2回とかのペースだと、やはり非日常のイベントになり、参加者同士の関係性も深まらない。現在のようにオンラインで「つながりっぱなしの世界」で生活していると、日常的に、さまざまなテーマでZoom会議が立ち上がり、交流が促進される。

 深呼吸学部は、毎週土曜日の夜、4時間から5時間という長い時間の講義を行ってきた。このヘビーな講義を、40回続け、いまだに熱心に受講してくれる20人余人と、深呼吸学部は新しいステージに突入している。

 
2.今、何をすべきか?

 私はもともと勉強が苦手で嫌いだった。先生の話をそのまま理解して覚えるということに生理的な抵抗を覚えていた。別に反抗的になったのではないが、生理的に学習というものが肌にあわなかった。その代わり、10代の若い頃から神田神保町や、日比谷図書館に通い、見たこともない知識に触れることが楽しみだった。

 学校の魅力は、授業ではなく、同じ空間に同世代の異質な人が集まり、彼らの交流がなによりも楽しく刺激的だった。「教育の本質はクラスメートだ」と、かなり若いうちから自覚的に語っていた。そして今、インターネットに普及により、知識の大半は個別の教師から吸収する必要がなくなった。私は、大学と私塾で教育を行っているが、基本的な態度として、知識を教えるのではなく、受講生が考えるためのヒントと例題を出すというものだ。正解は、ひとりひとりの自分自身の中にしかない。そういうものだけを問題にすればよい、と思っている。あとは機械がやってくれる世の中になる。

 深呼吸学部の第一ステージは、私の、ほとんど未来社会(参加型社会)に向けてのアジテーションだったと思う。そして第二ステージは、具体的に、参加型社会を建設するためのプロトタイプ・デザインに突入している。

 企業、学校、行政などの近代組織が、参加型社会に向けて変容していくための、さまざまなプロジェクトが同時多発で起きている。コロナ情況の中で、どれだけ「新しい関係」「新しい模索」を実現したかが、やがてこの事態が収束した時に、人々の生き方を左右するはずである。


3.コロナ収束後の世界

 大学の講義のこのHISの話をした。観光産業は、コロナ情況で最も打撃を受けた業界の人である。HISは、格安海外旅行で大量に観光客を世界に誘導して、巨大な組織になった。それがいきなり回路を遮断されたのである。世界中にスタッフがいるから、何もしないわけにはいかずに、「オンラインツアー」を開始した。それぞれの現地スタッフが企画し、魅力的なラインアップが1200コースほどある。参加費は1000円から3000円程度なので、海外旅行ファンでなくても体験したくなるだろう。

HISオンライン体験ツアー

◇インドの有名占い師ラブ氏によるオンライン占星術&手相占い / プライベート / 当日予約可能

◇ライブ中継!南アフリカ発 チーターや絶滅危惧種の動物たちの生活を見学しよう!

◇3都市同時中継 !世界三大料理レッスン トルコ料理(前菜)→中華(メイン)→フレンチ

 HISのこの模索は、オンラインツアーで獲得した新客は、コロナが開けたら実際に旅行に行きたくなるだろう。そして、コロナ開けいごでも、このサービスは、継続して行えば、
旅行初心者や、海外旅行に行く資金や時間のない人向けに、新規開拓やつなぎとめに効果的なサービスとなるであろう。

 なぜなら、世界中の多くの人間に対して「オンライン」というノウハウを教育したのがコロナ情況だからである。コロナ以前には、ほとんどの人はZoomを使ったことがなかったはずだ。学生たちは、オンライン教育で、大半は、経験を獲得した。

 コロナ以後は、半分は、コロナ以前のビジネスがそっくりそのまま復活するだろう。しかし、もう半分はコロナ情況で模索した、企業と生活者が新しいビジネスを付け加える。オンとオフのハイブリッドなビジネスモデルが広がるであろう。ロックフェスなどのライブイベントや、ビジネスシヨーなどの企業フェアも同じである。コトビジネスのハイブリッド型になっていくと思われる。

 私の仕事である「メディア」もまさに、同じである。今は、深呼吸学部の塾生たちと、新しい時代のビジネスモデルや考え方を追求することが、楽しくて仕方ない。


●参考

深呼吸学部・41回目の講義(動画)


深呼吸学部の入会案内


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