見出し画像

GroundbreakinG(BMSパッケージ)を紹介した(かった)記事

今はBMSからだいぶん距離を置いていた自分ですが、twitterでフォローしている現役BMSerのツイートから、GdbGが最新のBMSのスターター向けパッケージを出したという話を知ったので、久々にBMSに触れてみました。今回はそれを今の自分の活動している界隈の人たちなどに紹介したかった……記事となります。(?)

この記事の対象は、おそらく今の自分(MetaFormer名義)をよく知っているであろうunity界隈やUGDGの方々と、BMS界隈の自分(wosderge名義:過去にしたわけではない)を知っている方々と、GdbGパッケージに対するインプレッションを読みたいGdbGスタッフ勢に向けたものとなります。それ以外でも、もしこの記事にたどり着いた方がいるなら、もちろんぜひ読んでくださいまし。

■序:Who are you?

◆BMS周りのしょうかい(unity界隈向け)

かつてwosdergeという名義でBMS界隈で活動していました。BMS界隈での活動が活発だったのは2007~2010あたり。2015年くらいまでは多少頻度を落としつつもちょこちょこ活動していましたが、それ以降は稀に顔を出すくらいの頻度まで落ち込んでるので最近BMS界隈に参入した人は知らないかも。

BMS界隈的には
woslicerつくったひと
・無名戦復活させた人
・bmson提唱した人
あたりでだいたい伝わります。(過去の威

たぶん作品としてBMS界隈にかかわったのはこれが最終かな(2019年)
「切踏」BGA(映像)担当

「自分の作品」として大きく出したのはこれが最後のほう
(この次の年も出てはいるので最終作ではない)


◆あのwosdergeはいま(BMS界隈向け)

今現在はunity界隈、インディーゲーム周りの活動がほとんどです。

unity界隈ではMetaFormer名義のほうが主になっています。意図的に変えたわけではなく、サークル名義的なノリでやったら俺自身の名義として認知されてしまったので、そのまま流れでなっ(てしまっ)た。

現在はunityroomというブラウザ上で遊べるゲームを投稿できるサイトへの投稿が多いです。BMSをリリースするのと同じノリですね。詳細な説明は割愛しますがunity1weekという、BMSイベントに相当するゲーム投稿イベントにも定期的に参加しています。気になる方は以下の記事からどうぞ。

一応Twitterも継続してはいるんですけど、普段の交流はUnityゲーム開発者ギルドという場所が多くなっています(使用サービスはslack)。なのであまり表には出ていない。


一応steamにもゲームをリリースしてるので、よかったらよろしく(隙あらば宣伝

■BMSとは

「なんとなく名前だけは知ってる」くらいの人もいそうなので
かるくふれておきます。

IIDX(beatmania)というKONAMIによる音ゲーのクローンゲームから始まったインディー音ゲー文化です(包み隠さない)。

じゃあ法的に黒いのかというと、法的には黒ではありますが、実際にはビジネス的なアレコレがありまして、一口に黒とは断じれない文化です。そのあたりは今回はあまり深く首を突っ込むつもりはないのでこの辺にしましょう。 ……いや、寧ろこのあたりの詳しい事情知ってる人が減ってきてるから、これもいつか資料として残したほうがいいのか??「BMSの歴史」いいかげんな記事を書くと識者に袋叩きだな!

……話を戻して、そのBMS界隈を多くの音系同人の方々が拠点としていまして、なのでBMS活動と音系同人活動を兼て運用している人も多いです。そしてその中に、「GroundBreakinG」というプロジェクトが存在します。

■GroundbreakinG(公式略称:GdbG)とは?

ものすごくかいつまんでいえば、BMS発祥の楽曲をまとめたアルバムを制作するプロジェクトです。もう少し詳しく説明すれば、THE BMS OF FIGHTERSという、年に1回の間隔で開催されるBMS界隈最大規模のイベント(数百作投稿される。unity1weekと同じくらい登録されてるぜ!)の中から数十曲をピックアップし、アルバムの形で毎年まとめているプロジェクトです。

1998年に生まれた音楽ゲーム「BMS」は、独自の文化として世界中で親しまれています。GroundbreakinGは、そんなBMSの音楽面に注目して楽しむためのプロジェクトです。

GroundbreakinGトップより

アルバムとしてのリリースの他、クラブハウスでリアルイベントも開いていたりします。 ↓は2022年のGdbGアルバムを流している公式配信です。

どんな感じの楽曲があるか興味ある方は、いろいろシークバーをポチポチして聴いてみるといいと思います(フルで聴くと5時間近くあるので……勿論フルで聞いてもいいですが)

今回(ムービー込みで)イチオシのMESMERA君です。

そんなGroundBreakinGは2009年より存在しているそこそこ老舗のプロジェクトなのですが、今回(2022年)は従来のアルバム形態でのリリースに加えて、冒頭で書いた通り特製のBMSパッケージも制作したとのことで、これを導入してみます。(↑のライブ動画でも説明あり。4:40:00あたりから)

◆BMSパッケージを遊ぶ

この項は、実際にBMSパッケージをダウンロードし、遊べるまでの手順を説明したものとなります。……まあほとんど公式ページでガイドしてますが。

↑のページにアクセスして、全BMS + Original SkinをDLしてください。
5GBあるけどまあ受け入れてください。後は公式ページの「パッケージ導入・遊び方」を見れば遊べる所まで行きつくと思います。(投げやり説明

あれ、これしか書くことがないぞ??

……それだけ公式の導入手順がそれだけ優れているということですね!!


■本題


……とまあここまでが建前で、ここからがある意味本題。

いや、その……遊んでみたんですけど……



これ、BMSにこれまで全く接点がない人(かつIIDXも馴染みがない人)
に勧めるの厳しいな??


GdbGの楽曲は悪くない。悪いわけがない。
GdbGスタッフも、スキン制作者も頑張ってはいる……

、beatoraja自体がIIDXのコンテクストを知らない人には不親切な作りで、現代のBMSシーン(とその元となっているIIDXシーン)そのものが音ゲーのメインストリームからすでに外れているために、まったくそれらを知らない人に勧めるには厳しいものになっていると感じました。正直に言うと、このUI(スキンではなくbeatorajaのシステム)そのものが、IIDXのコンテクストを知らない人からするとまるでわけがわからないと思う。今の音ゲーのスタンダードってプロセカとかそのあたりですしね。それにしても、かつてIIDXとの競合を避けるために導入された奥スクロール方式が、今や音ゲーのスタンダードになっているというのは皮肉な話だ。

選曲画面からして情報量が多い。BMS(IIDX)慣れしてないと混乱必至
プレイオプション。さらに大量の情報が襲い掛かる。
そもそもこれの呼び出しが「Qキーをホールド」であることもゲーム中に説明がない。
ユーザ側にコンテクストがないとかなり厳しい。

余談ですが、今、音ゲーのデファクトスタンダードでまず求められる設定はスクロールスピードとタイミング調整らしく、この2つがどこで変えられるのか直感的にわからないとその時点でユーザのモチベーションが下がる可能性は高いです。そしてbeatorajaのスクロールスピード変更UIは(IIDXのUI準拠とはいえ)最悪の部類だと思う。

■乖離するBMS"ゲーム"とBMS"文化"

大前提として、GdbGがこのパッケージで目指すものはなんなのだろう?
それを鮮明にする必要がありそうだ。

仮にGdbGパッケージの目的が「BMS導入への入り口」であるなら、これは問題ない。beatorajaのUIがアレな点はあるが、IIDX慣れしてる人ならむしろ慣れ親しんだUIではあるし、BMSに深く足を突っ込むのならいずれも必要なUIではある。

しかしGdbGパッケージの目的が「BMSシーンを広めたい」であるならば、これはかなり怪しい。先述したように、スキンの出来云々の次元ではなく、今のBMS界隈のIIDXを前提とした構造自体が音ゲーのデファクトスタンダードから外れてしまっているために、beatoraja自体もとっつきづらいものになってしまっているからである。

「BMS界隈を拠点とするインディー音楽文化」は間違いなく需要がある。それはBMS出身の作家が(いろいろな音ゲーアプリなどに進出して)人気を獲得したり、もっと言えばBMS発祥の楽曲がいろんな音ゲーに移植されているところからも伺える(そしてその層が楽曲経由でGdbGアルバムに流れ着くケースが多い、らしい)。……そういう意味では、「BMS界隈発祥の楽曲を、現代の流れに適合したUIの商業音ゲーがどんどん移植する」という流れは理には適っているんですよね。キー音ないけどね。

しかし、それは「第三者に選ばれたもの」つまり主導権が第三者にある、受動的な文化である。GdbGがコンセプトとしてユーザに勧めているのは、ライブ動画後半のプレゼン内容にもある通り、各々のユーザがBMSシーンを開拓する能動性であり、つまりこれは今、いろんな音ゲー開発者(企業含む)が行っている「第三者による選出・移植」とは相反するものであると思う。(それを言ってしまうとGdbGアルバム自体も「第三者の選出・移植」の一種には違いない。それは無論当事者も知っていて、だから「GdbGはあくまでとっかかりにしてほしい」というスタンスを標榜しているのでしょうが)


ごちゃついてきたな。話を整理しよう。

まず、GdbGがコンセプトとして掲げているものは、あくまでGdbGアルバムはとっかかりとして提供していて、そこから無数の魅力的な音楽があるBMSシーンにもっといろんな人が注目してほしい、そして自分で開拓してほしいという点にあると思う。もっと強く言えば、「第三者に選ばれたもの」ではなく、「無数の楽曲が存在するBMSシーンから自分で『好き』を探して見つけてほしい」というメッセージ性がそこにある。

そしてその「BMSシーンに入る、無数のBMSを自分で開拓する」ための入り口として、今回のBMSパッケージが作られた。経緯はこういうところにある。そしてここで、そのBMSプレーヤー(本体)があまりに今の音ゲーのメインストリームから乖離しているという問題が鮮明化する。

これはプレイする側の視点だけではなく、BMS製作者側も、「BMSヘビーユーザー」の割合が下がってる話は聞きます。譜面は完全に譜面制作者にお任せしたり。今まで説明した音ゲー文化の背景を考えれば当然なんですよね。

この「同人音楽界隈と隣接しているBMS文化」と「かつてはスタンダードだったがいまはそうではない、IIDX準拠のBMSゲーム」の乖離は、年を経るごとに開くことはあっても狭まることはないと思われる。

◆つまるところ

BMS界隈は、そろそろ本気でIIDXスタイル以外のフォーマットを開拓しない限り、シャレに慣れない規模のユーザ流入的な観点の機会損失が進行していると思う。もっと広いユーザの開拓を望むなら、おそらくIIDXスタイルに拘泥していてはダメな気がする。それこそ今のスタンダードな音ゲーに似たスタイルを開拓するくらいに。ここでIIDXとは懸け離れたフォーマットを作ったとして、それはおそらく既存のBMSプレイヤーからは怪訝な目で見られるだろうが(bmson文法ですらLR2で遊べない、という理由で普及が阻害されているのだから)、それは今の音ゲーのメインストリームとは全く交わらない人々なので、なに気にすることはない。(一応補足すると、今のIIDX準拠のBMSを享受しているユーザを否定しているわけではなく、それ以外の潜在的ユーザの可能性を見出したほうがいいのでは? という話です)

あ、キー音は必須な!!

(……これまた余談というか半分くらい諦観だが、音ゲーに対して「知ってる曲をやりたい(≒知ってる曲がないとモチベーションにならない)」「キー音がある音ゲーは曲が崩れるからやりにくい」って意見を聞いたときは、さすがに隔絶の感を感じてしまった……後者はともかく前者はGdbGのコンセプトと絶対に交わらんな……はい、老人の戯言です。)

■試案

じゃあどういうのが理想なんだろう、ていうこねくりまわし。

◆まずトレンディな譜面フォーマットを作る

いやあ7鍵+SCっていうのがもう現代的じゃない。PCでやる音ゲーである以上、ボタン形式なのはさすがに免れないが、例えばDFJKの4鍵、多少広くてもSDFJKLの6鍵、それくらいのカジュアルさが今の時代に合ってるんじゃないかな……ていかZSXDCFVスタイル、それこそIIDXに合わせたゆえのフォーマットで、ぶっちゃけ狭っ苦しくて押しづらいよね……。

で、それを再生できるBMSプレイヤー。
まあ6鍵ならbmeに内包できるので、エディタも既存のBMSエディタの拡張でひとまずはどうにかなるだろう。あと5鍵ならそのまま流用できる 

◆どこで遊ぶか?

令和の時代、本体をDL、bmsをDL、リストに登録して~ みたいなのがもう冗長なんですよね。

これはunityroomの自作ゲーム(の宣伝)ですが、もう今の時代、このレベルのゲームがブラウザ上でたやすく遊べてしまう。キー音のラグなんかも全くありません。つまりキー音のなる音ゲーは技術的にブラウザ上で作れてしまうわけです。楽曲データも専用の形式で鯖に埋め込んで(AssetBundle)、随時レジストリに落とさせることができる。

ただ、この形式だと先述した「自分でBMSシーンのいろんな曲を開拓する」にはならず、「第三者が選んだ曲」しか遊べない。第三者がBMSを移植する受動的な文化となんら変わらないことになってしまう。

とすると……「ブラウザ上でカジュアルに遊べるものを用意しつつも、それと同じ機能を持つプレイヤーをスタンドアロンでDLできるようにして、もっとヘビーに遊びたい人はネット上のBMSをダウンロードできるようにする」といった方式が浮かび上がる。

そんな感じだろうか。

……まあ理論上はできる。そして今の自分にそれができる技量はある。が、そこまで肩入れする余力があるかは……どうだろうね?(ほかにも作りたいもの・やるべきことが山ほどあるので……)それでもやるならば、シリーズ化してるBMSパッケージあたりから狙っていくのが筋かなと思ってます。ほらそこのゆるい感じのやつとか。

■ここまでのまとめ

・BMS界隈というIIDXをベースにした同人音楽界隈がある
・GdbGというBMS界隈のアルバムプロジェクトがBMSのスターターパッケージを出したので、それを紹介したかった
・しかし掘り下げれば掘り下げるほど、現在の音ゲーのメインストリームと、かつてメインストリームだったIIDXの構造を引きずっているBMSのフォーマットとの乖離を感じずにはいられず、IIDXのコンテクストを知っている人以外には今のBMSを勧めづらい現実が顕在化した
・今、IIDXのコンテクストを熟知している人以外にBMSを勧めるには、従来のBMSとは全く違うアプローチを試みねばいけない気がする
・そのアプローチはやりようがあるし自分なら技術的に可能だが、真っ向からやろうとすると工数が結構重い
キー音は譲れない
・GroundbreakinG自体は素晴らしいアルバムなのでみんなも聴こう!

て感じです。

■で、あなた今、なにがしたいの


「なにがしたいの」今の自分がいる某コミュニティでの流行語です。
他人に対して使う言葉です。治安が終わってるな!!
 

それなりの間BMS界隈から離れていた自分が、唐突にBMS界隈に触れる記事を書いたのは、自分なりに目的が(狙いが)あるからです。

包み隠さず言うと、今現在、私が画策しているのは「あらゆるジャンルの創作界隈の接触・融合」です。とかく創作界隈は「同じジャンルの創作者」で固まりがちで、それでいで別界隈との接点を渇望する節がある(特にゲーム系が)ので……。

そんなわけで、私のtwitterの固定ツイートなんかにも書いていますが、今年から「unity1week Team-Up!!」という企画を発足しています。公式記事は以下となります。

簡単に言えば、先述したunity1week(unityで1週間でゲームを作って投稿するオンラインイベント)を軸に、いろんなジャンルの創作者がつながるコミュニティを作り上げよう、という趣旨の企画となります。今年(2023年)の3~4月に試験実施をし、その後正式に始動しました。

現在はゲーム系と創作(お絵描き)系の2ジャンルの創作者が所属しています。ここまで記事を読んだ方なら私が考えていることはうっすら察することができるだろうし、実際その通りで、次のunity1weekで、音楽系の創作者との交流も試験的に導入してみようと画策しています。

つまり、この記事を読んだと思わしき方には、かつてのBMS界隈の面識を盾に突撃するかもしれないからよろしくな!!(強引
※もしこれを読んでる方で当企画に参加してみたい方がいるならば、それはもちろん大歓迎なので何かしらメッセージを送ってください。

まあ強引であるかはともかく(強引だろ)、GdbGの中に「BMSシーンをもっといろんな人に知ってもらいたい」というコンセプトがあるなら、それと本質的には何も変わらないってことです。BMS界隈をメインとしている方で、より広い世界に視野を広げてみたいなどと考えている方が居たらうってつけの企画になると自負しています。そんな感じでよろしくたのむます。

※さらに余談中の余談ですが、今unity界隈でインタラクティブミュージックがひそかに関心を集めています。楽曲をパーツごとに分解するなんてBMS作家の大得意分野だぜ!! という意味でも需要があるかもしれぬ。



この記事過去最長じゃね????

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?