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これまでの記事で書かなかったことのまとめ,2024年1月27日

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注意

これらの物語の重要な展開を明かします。

小説

『華やかな三つの願い』(星新一)
『はじめての例』(星新一)
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(web原作,書籍)
『AΩ』(小林泰三)

漫画

『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』
『ドラゴンボール』
『ドラゴンボール超』
『NARUTO』
『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』
『キミのお金はどこに消えるのか』
『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』
『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』

テレビアニメ

『ドラゴンボール超』
『NARUTO 疾風伝』
『新世紀エヴァンゲリオン』

アニメ映画

『ドラゴンボールZ 神と神』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
『銀魂 万事屋よ永遠なれ』

テレビドラマ

『相棒』

『ギフト無限ガチャ』の書き下ろし

 『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』、(以下『ギフト無限ガチャ』)では、弱いことから種族差別で苦しむヒューマンの中でも特に貧しい農家の次男のライトが、信じていた他種族のパーティーに突然殺されそうになり、そこからギフト「無限ガチャ」でダンジョンの魔力を吸収して強い仲間や武器を召喚し、強くなり復讐し種族差別を覆そうとします。また、今回重要なこととして、ライトは家族の村を何者かに滅ぼされ、原因は不明でした。
 web原作で本編が再開するようなので、この機会に書きます。
 web原作で、最強の部下のナズナが差別に憤り「他の種族を滅ぼしてご主人様が世界を支配した方が良い気がする」と言ったときに、「ヒューマンにも悪人がいるし、他種族にも中立の人達はいる」とライトは止めています。
 web原作でも、ヒューマンの奴隷商人や山賊や、ライト達に味方する獣人種やドワーフ種もいました。
 この意味で重要なのは、書籍版の書き下ろしの、オリジナルの種族の鬼人種の姫巫女のヨツハについてです。
 鬼人種は他種族をよく知らないのでほとんどが差別をせず、ヒューマンを生贄にしていた上層部が例外なのですが、それに利用されていた姫巫女も、ヒューマンの中で例外的に強い「巨塔の魔女」に協力を依頼するつもりが、その「ヒューマン絶対独立主義」に反し、彼女と親しいヒューマン冒険者のダークを差別していました。
 その依頼が鬼人種のオボロにだまされており、ダークこそライトであり、「巨塔の魔女」がライトの部下のエリーであることを知らずに振り回されていました。
 しかし、ダークを差別したことを根拠に協力を断ろうとするエリーにすがるヨツハに、ライトはとりあえず協力を始める程度の感情だったのですが、ヨツハが裏切られて家族ごと犠牲になりかけていたことを知り、「自分と同じ」と判断して、復讐に協力することにしました。
 この結果、ライトはヨツハに「運命様」と崇拝されるように好かれています。
 これまで例外的に強いヒューマンのライト達に屈する他種族や、研究のために好意的になるドワーフ種の味方はいましたが、差別的な言動のあとに本気でライトに好意を抱く他種族は珍しかったので、これが何かの変化をもたらすかもしれません。
 なお、ライトの影武者であり、一段階劣るレベルの扱いである部下のカオスが、ヨツハの妹に「お前が今まで訓練で勝てたのは周りの手加減のおかげだが、基本は出来ている」と評価して、そこから好かれているというのも、何かの対応が出来そうです。

「自己責任」論についての考察

 私は現代日本で起きている「自己責任」論について、様々な形で考察をして来ました。
 「自己」、「責任」という言葉の定義が曖昧な印象もあり、佐藤優さんが『メンタルの強化書』で書いたように、そもそも対応する英語があるのか、とも言えますし、『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』の監修の飯田泰之さんによると、「自己責任という言葉は外国人に説明しにくい」そうですが、「中国にはある」という記述もあります。
 また、飯田さんは経済学における格差の再生産について、「本当に自己責任ならば相続禁止、相続税100パーセントで良いではないか。そうすれば格差の再生産もなくなる」と書いており、現代日本の「自己責任」論者は「親子や家族だけは助け合え」という美談の防波堤のようなものを持っており、完全に冷たいとは言い切れないと考えています。
 『相棒』シーズン20の「自己責任」論者の中には、自分の家族だけは大事にするときもありました。
 私は社会現象を法律、貨幣、遺伝子、文化の繋がりで分類しており、「自己責任」論は、現代日本の場合は、「貨幣で困ったことは法律の共同体である国に甘えるな。遺伝子の共同体である家族に頼れ」という意味になりやすいと考えています。「自分の力で生きていけ」」という主張が、実のところ「家族だけは助け合え」という美談に支えられているからこそ、相続税を上げろという主張にはなりにくいのでしょう。
 また、今回「自己責任」論について考えたのは、「100パーセントのエゴイストを黙らせるために、エゴを逆手に取った主張」が「自己責任」論なのではないかという説です。

「100パーセントのエゴイスト」を、「エゴの逆用」で黙らせる「自己責任」論

 『ドラゴンボール超』では、破壊神や全王に、「自己責任」論をぶつけて黙らせるところがあります。
 『ドラゴンボール』シリーズには、武闘家を指導して地球や宇宙を守らせる優しい神がいますが、『ドラゴンボール超』シリーズでは、むしろ生命や惑星を破壊するのが仕事の破壊神や中立の天使が登場し、人間の危機を放置することがあります。
 主人公の孫悟空すら、破壊神のビルスに「誰かの心配をするのは珍しい」と言っています。
しかしそのビルスも完全な悪とみなされないのは、自分で過去に言い出したことには律儀なとき、天使の注意を聞き入れることもあるためです。
 ここからは、元になった『ドラゴンボールZ 神と神』と区別して、『ドラゴンボール超』に絞ります。
 ビルスは悟空の種族のサイヤ人が、他の惑星を侵略するなどをしており、「むかつく奴」であるのを、子供もいる惑星ごと上司のフリーザに破壊させました。「面倒だった」と考え、そのフリーザを善人とはみなしていなかったようです。その善悪の曖昧な、というよりいい加減な言動に天使のウイスは、直接批判はしていませんでした。
 しかし、ウイスはビルスがあとでサイヤ人と戦いたいと言い出したのを、「フリーザにサイヤ人の惑星を滅ぼさせたのはビルス様です」と言っています。善悪の曖昧な行動や命令をするのはかまわないけれども、そのあとで自分が困るのなら覚えておくべきだと主張したようです。
 このあとも、ビルスは兄弟のシャンパと地球を巡る争いを試合でするときに、自分達の決めたルールで自分が損をするのを天使に指摘されることがあります。破壊神として慣れない野球のルールに振り回され、比較的弱い元武闘家のヤムチャが活躍したこともあります。
 この結果、圧倒的に強い破壊神のビルス達も、自分の過去の発言によって縛られ、それを逆手に取った自分より弱い人間に出し抜かれることもあるわけです。

 中立の天使はそのような主張をしているらしく、逆に天使のウイスも、自分の約束の不備を突いて、まだ自分より弱い悟空が爆弾を押し付けてダメージを与えたのを苦笑しつつ「なかなかやるじゃないですか」と言っています。
 破壊神の恐れる最強の神の全王も、負けた人間の宇宙を消す「力の大会」を実行させたときに、天使の父親である大神官に止められなかったものの、「いつ開くか」については、「お約束は守りましょう」と言われています。
 つまり、破壊神や全王のような、力で圧倒する、相手の心配をしない完全なエゴイストでも、自分の過去の発言だけは守る、それがエゴの一部だからこそ、弱い人間や、部下の天使が、それを逆手に取り、「約束」で縛っていくと言えます。
 ウイスはビルスの行動を「結局、ご自身のためなんですね」と呆れるところもあり、「ビルス様はビルス様ご自身のことしか考えないから、結局ご自身が困ることになる」と言いたげなときもみられます。

「自己責任」論の爽快感とリスク

 この「弱者が強者を縛る」意味で、「自己責任」論が爽快感を持っている物語もあるでしょう。
 たとえば『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』もそのような圧倒的に強い悪魔を、「勝負」のルールで出し抜いています。
 星新一さんの小説『華やかな三つの願い』、『はじめての例』などでは、人間に容赦なく契約をする悪魔を、その契約を逆手に取り困らせるところがあります。
 それが、「自己責任」論を流行させるきっかけなのかもしれません。
 しかしそれは、「渡る世間は鬼ばかり」とでも言うべき、相手を底なしのエゴイストとしか思わない人間ばかりが、相手をそれでも黙らせるための安全装置として、相手の過去の発言を逆手に取る「自己責任」論で縛っているに過ぎないと言えます。
 そこまで現代日本は無情なのか、とも言えます。
 さらに言えば、「家族だけは大事にしろ」という先述した「自己責任」論の防波堤があるとしても、それも「勝手に結婚したのだから夫婦は大事にしろ」、「勝手に出産したのだから子供だけは大事にしろ」という、個人の行動だけにその繋がりの他者を守る義務の根拠を求めている可能性があります。
 その結果、「家庭を持つ人間は自己責任で守れ、国や職場に甘えるな」という「自己責任」論も生まれるのかもしれません。

政治家と経営者を縛る「憲法と労働三法」という「自己責任」論

 しかし私は、そのようにして「エゴイストを黙らせる」ために「そのエゴイストの過去の発言や行動を逆手に取り、責任というルールで縛る」のならば、家庭を持つ個人や労働者などの社会的弱者だけでなく、政治家や公務員、経営者などの社会的強者にも「職業選択に伴う義務」、具体的には憲法や労働三法を守らせるべきだと考えます。

 日本国憲法は99条に、「政治家や裁判官や警察官や公務員に守る義務がある」と書かれており、国民の義務は勤労、納税、子供に教育を受けさせる3つだけです。国民の義務は法律で定めるもので、憲法はむしろ国民の権利です。
立憲主義によると、権力者は国民に法律を守れと命じる代わりに、国民はその権利である憲法を守れと権力者に命じるものです。
政治家は、だからこそ改憲派も護憲派も、あくまでその時点の憲法を守らなければならないのでしょう。
 しかし、それが政治家になることを「選んだ」人間の義務、「自己責任」だと考えます。
 日本には職業選択の自由があるのですから、生まれながらの政治家はいないはずです。たとえ二世議員でも、親からなれと強制することは法的に出来ないはずであり、その二世議員も自分の意思で政治家の職業を選んだはずです。「国民に選ばれている」ということから国民に選んだ責任を要求する前に、立候補した責任があるはずです。
 つまり、「自分でその仕事を選んだならばその義務を守れ」という「自己責任」論は、むしろ政治家にこそ、「二世議員であろうと、立候補したからには憲法を守れ」と言うべきになるはずです。
 経営者にしても、家族経営で親から引き継いだとしても、職業選択の自由がある以上は、自分で選んだのでしょうから、「経営者の義務」として労働者の権利である労働三法などを守るのは「職業選択に伴う義務」のはずであり、「自己責任」のはずです。
 つまり、政治家や経営者などの社会的強者こそ、その強い立場になることを選んだ以上は、憲法や労働三法などのルールを「自己責任」として守る必要があると考えます。
 そのような主張がなかなかみられないのは、「自己責任」論が社会的弱者の選択にばかり責任を求めているのだと考えます。
 政治家や経営者が仮に100パーセントのエゴイストだとしても、「自分でその仕事を選んだのだからこのルールは守れ。嫌なら辞めろ」という「自己責任」論により、憲法や労働三法などで縛れると考えます。
 飯田さんも、現代日本は累進性の高い税を下げてばかりなので、「経営者こそ自己責任と国際競争から減給に耐えるべきだ」と書いています。

中枢や脳が複数ある設定

 『ギフト無限ガチャ』漫画版で、巨大な海の海水全てを体とするスライムがいましたが、操る脳と副脳があり、同じ特徴を持つキメラのヒューマンのメラに後者を破壊されて倒されました。
 メラは体が切断されても問題ない、細胞全体が独立した構造のキメラなのですが、その分離可能なキャラクターはSFやファンタジーにしばしばいます。
 そこで私が疑問に思うのは、「脳などの中枢が複数ある生物は何故現実で目立たないのか」です。
 タコは心臓が複数あり、神経が分散して腕にも独立した感覚があるらしいですが、そのような生物はファンタジーなどで、倒せるのか難しいと言えます。
 『ドラゴンボール』原作のラスボスの魔人ブウも、いくらでも分裂したり、穴を空けられても平然としていたりしました。
 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や『銀魂 万事屋よ永遠なれ』にも、「コアが複数ある」ために倒すのが難しい生物やロボットがいました。
 そのような設定で、残酷さや論理性を重視すると言える『AΩ』では、中枢がどこにあるか分からない巨大生物を倒すために大爆発を起こしたり、複数の急所らしいところを2枚の刃で攻撃したりしています。
 中枢が複数の生物は、強さにきりがなく、どう倒せば良いか収拾のつかなくなるかもしれません。
 

『ギフト無限ガチャ』の何種類かのコピー

 『ギフト無限ガチャ』では、「コピー」と言える設定が幾つかあり、それが鍵になるかもしれません。
 まず、敵であるエルフ種のミカエルは、圧倒的に強いライトの、手加減したものの、攻撃を跳ね返す特殊な盾を持っています。『NARUTO』のマダラの「うちは返し」を連想します。
 また、漫画版のダークエルフ種のシオンが周りに構わず呼び出したソウルドラゴンが様々な種族の魂を奪い複製した「ゴースト」は、シオン自身の劣化したコピーや、被害者のヒューマンの、悪意のないコピーも生み出しました。この敵味方関係ないコピーは、『AΩ』の「影」によるレプリカントを連想します。
 また、ライトのギフトである「無限ガチャ」はボタンを押すことで確率的に強いカードが出るのですが、ライト自身が自由に活動出来るのは、カードによる「ダブルシャドー」というやや劣化したコピーが24時間動いているためです。また、ライトを「神」のように崇めるカードの部下もいます。
 「神の分身」を、その神の目的のためにも奴隷のように扱うとすれば、『新世紀エヴァンゲリオン』を連想します。
 また、この「ダブルシャドー」は、ライトの妹のユメが別の場所で働いているのを連れ出すための身代わりと、ユメを助けた恩人のヒューマン王国王女のリリスと協力関係を結ぶための実験台としても用意されています。
 しかし、ユメの代わりは、ユメ自身がリリスのもとで働く意思もあった時点でライトが「とりあえず」というように代えさせた、ユメの意思より安全などをライト達の判断で優先した存在であり、リリスの分身は、リリスがライト達に逆らったときに「代わりがいるから殺せる」と保険をかけるための、リリスの安全や意思よりライト達の利益を優先した存在だと言えます。
 書き下ろしのオボロがライトをコピーしたときは、それが半分程度のレベルでしかなく、ライトは「本当の仲間だからこそ出来るコピー」として、仲間の技を、観察込みで真似るカードを使いました。
 このように、コピー1つ取っても様々な解釈が出来るようです。
 また、ライトは復讐相手を殺さずに監禁していますが、行方不明になったために、復讐相手を共通して恨むライトが生きている可能性を徐々に悟られています。そのとき、その復讐相手のコピーを用意しないのは、ダブルシャドーのカードが不足しているという事情もありますが、彼らが差別的な言動ばかりの悪人であり、身代わりに同じことをさせるわけにもいかないという事情もあるのでしょう。
 コピーにも出来ないことがあるというのは、考えるべきのようです。
 たとえば、『AΩ』では、人間の記憶を引き継ぎながら凄惨な姿になるレプリカントがおり、主人公は「自分の記憶を引き継ぎ苦しむコピーが生まれるのはごめんだ」と合理的に恐れていました。記憶ごとコピーするというのが、かなりの悩みになるかもしれません。
 『NARUTO 疾風伝』では、主人公のナルトが、影分身の消えたあとの記憶を引き継ぐ設定を効果的に活かしたところもあります。

「ざまぁ」して来た主人公達もいずれされるのか

 『ギフト無限ガチャ』は、弱いヒューマンを差別する他種族に、例外的に強いヒューマンのライト達が復讐と「ざまぁ」するのが主な展開です。しかし、そのライトの部下のネムムなども、徐々にそれをされる可能性があると考えています。
 ネムムはライトの部下の女性に多い、ライトに忠誠心と恋慕の感情を抱くところが多く、また他種族も認める美人とされます。しかし、ライトの情報収集のための冒険者活動に同行するときに、ライトのカードによるもの以外の食事を嫌がったり、不潔な身なりの冒険者に言い寄られるのに苛立ったりします。
 また、ネムム以外の女性のカードの部下達も、弱いヒューマンを守るときに「強くする」方針が少なく、ただライトのカードの物資などを与えるなどで一方的に守るだけの傾向があります。
 一方同行する男性の仲間のゴールドは、ライトに敬語を使わず、「人がいる中で殺気をまきちらすなよ」と注意したり、他種族の行いを力でたしなめてもかえって心を入れ替えさせて味方にしたり、ネムムが「低レベル」と言った真面目なヒューマンに指導したりしています。ライトの部下の男性冒険者の「モヒカン」達も、弱いヒューマンに読み書きや調理法などの、カードによらない指導をしています。
 それと比較して、ネムムはライトを誉めたり守ったりする感情を、ライトの守りたいヒューマンなどの安全や成長より優先するところがあります。その結果、特に悪いことをしていない冒険者などもやがて見下すようになる可能性があります。
 Web原作の現時点の最新話で「言い寄って来る冒険者が臭い」というのは、ライトのカードや設備による入浴や洗浄が出来ない以上、貴族などを除けば仕方のないところもあり、それを責めるネムムがぜいたくだとも言えます。ナンパをする冒険者ならまだしも、「罪のない」と扱われる奴隷などにもそう言うつもりなのか、という反論の余地があります。
 さらに、冒険者として元々弱く貧しかった頃の経験から忍耐強いライトも、初めてカードの部下のメイを召喚したときは負傷していて分かりにくかっただけで、元々は入浴の経験がない以上体臭がきつかったかもしれません。そのライトの過去の暮らしにも批判が降りかかることを、ライトの過去を知りながら伝聞でしかないネムムなどは認識が曖昧です。
 ネムムは漫画版で、敵対する男の急所を蹴って、そのブーツも「汚いものに触れた」と言わんばかりに新調しようとするなど、冒険者でありながら汚れるのを嫌がるぜいたくさもみられ、それがやがて、「ざまぁ」されるべき要素は主人公の部下にもあるのではないか、という展開にもなるかもしれません。
 


『ギフト無限ガチャ』の「中程度の強さの悪役」



 『ギフト無限ガチャ』で、レベル9999が現時点で最強であり、主人公のライトなどのごく一部がそうなっているのですが、ライトの護衛のネムムとゴールドが5000となっています。
敵のほとんどは、ヒューマンの通常の限界が100、見下す他種族の通常の限界が1000程度となり、5000以上が多いライトの部下は規格外なのですが、漫画版でヒューマンとして珍しい敵のカヴァーが5000でした。
また、それが露呈したあとも奥の手として強くなっていたので、5000のレベルに加わった強さがあるようでした。主人公達がレベルの強さだけで戦っているのではないことを証明するには、このカヴァーにゴールドやネムムが工夫してぎりぎりで勝つ展開なども有り得たかもしれません。

『ギフト無限ガチャ』の一般人への希望



 また、ネムムなどの部下が最初は軽視していた「レベルの低い」ヒューマンのミヤやエリオが、徐々にライト達に個人的にも社会的にも大きく関わっていくのですが、エリオはレベルで100倍近くあるエルフ種のカイトを転ばせたことがあり、本作でも珍しいレベルを覆す攻撃があります。また、そのとき漫画版で、珍しく「ざまぁ」と言っています。
 また、ミヤもカイトの攻撃をきっかけに、レベルが低いままとはいえ工夫した戦いを覚えています。
 そこでこの作品の結末として考えたのは、エリオやミヤが突然、ライトのように強くなることです。
 元々ライトは、部下のメイやエリーの協力で、なるべく安全に、レベル1000程度のモンスターを少しだけ攻撃してメイに倒してもらったり、レベル9000台のモンスターを9999のエリー達と共に倒したりすることで経験値を分けてもらう「横殴り」により強くなりました。
しかし、これは、それ以降他のヒューマンを強くすることには使えないようでした。部下のアオユキが1000程度のモンスターを「仲間」にしたので殺せない、9000台のモンスターは余波だけで危険なので「横殴り」も出来ないという状況であるためです。
 しかし、初期のライトは、レベル1000のモンスターに一撃加えてとどめを刺してもらうだけで数十もレベルが上がったので、今後エリオやミヤが何らかの、ライト達に本来不要な協力をして、「横殴り」で規格外に強くなる展開もあるかもしれません。
 現在「聖女」として出世したミヤや村長に選ばれたエリオなどが、そのように成長すると、主人公達の独占した強さだけでない物語にもなるかもしれません。

参考にした物語

小説

星新一/作,和田誠/絵,2005,『宇宙のあいさつ』,理論社(『華やかな三つの願い』)
星新一,1985,『夜のかくれんぼ』,新潮文庫(『はじめての例』)
明鏡シスイ,『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,小説家になろう(掲載サイト)
https://ncode.syosetu.com/n9584gd/
2024年1月24日閲覧

明鏡シスイ,tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,ホビージャパン

小林泰三,2004,『AΩ』,角川ホラー文庫

漫画

作画/大前貴史,原作/明鏡シスイ,キャラクター原案/tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,講談社
鳥山明,1985-1995(発行期間),『ドラゴンボール』,集英社(出版社)
鳥山明(原作),とよたろう(作画),2016-(発行期間,未完),『ドラゴンボール超』,集英社(出版社)
岸本斉史,1999-2015,(発行期間),『NARUTO』,集英社(出版社)
平方昌弘,2020-(未完),『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』,集英社
井上純一/著,飯田泰之/監修,2018,『キミのお金はどこに消えるのか』,KADOKAWA
井上純一/著,アル・シャード/企画協力,2019,『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』,KADOKAWA
井上純一(著),アル・シャード(監修),2021,『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』,KADOKAWA

テレビアニメ

大野勉ほか(作画監督),冨岡淳広ほか(脚本),畑野森生ほか(シリーズディレクター),鳥山明(原作),2015-2018,『ドラゴンボール超』,フジテレビ系列(放映局)
伊達勇登ほか(監督),吉田伸ほか(脚本),岸本斉史(原作),2007-2017(放映期間),『NARUTO 疾風伝』,テレビ東京系列(放映局)
庵野秀明(監督),薩川昭夫ほか(脚本),GAINAX(原作),1995-1996(放映期間),『新世紀エヴァンゲリオン』,テレビ東京系列(放映局)

アニメ映画

細田雅弘(監督),渡辺雄介(脚本),鳥山明(原作),2013年3月30日(公開日),『ドラゴンボールZ 神と神』,東映(配給)
庵野秀明(総監督・脚本),摩砂雪ほか(監督),2012,『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』,カラーほか(配給)
藤田陽一(監督),大和屋暁(脚本),2013,『銀魂 万事屋よ永遠なれ』,ワーナー・ブラザーズ

テレビドラマ

橋本一ほか(監督),真野勝成ほか(脚本),2000年6月3日-(放映期間,未完),『相棒』,テレビ朝日系列(放送)

参考文献

佐藤優,2020,『メンタルの強化書』,クロスメディア・パブリッシング
飯田泰之/著,雨宮処凛/著,2012,『脱貧困の経済学』,筑摩書房


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