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わかったつもりになっていたこと

私は今猛烈に反省している。
昨日娘が夏休みの課題図書で、学校から絵本を借りてきた。

くすのき しげのり・作 石井聖岳・絵

「ねぇ、これ夏休み中に読むんだよ。みんなも読んでいいんだよ」。娘はそう言って私に見せてくれた。

「お・こ・だ・で・ま・せんように?どういう意味?」私は片言のように呟き、絵本を読みはじめた。

実はこの絵本は、娘からの私に向けたメッセージだったのだ。

主人公のぼくは家でも学校でも怒られてばかり。おかあちゃんも先生もぼくの本当の気持ちをわかってくれない。だから怒られるとぼくは黙って横を向く。目には涙をいっぱい溜めて、何も言わずに横を向く。
そんなぼくが、七夕の日に短冊にお願いを書いた。

「おこだでませんように」より

小学一年生のぼくが覚えたばかりのひらがなで、ひとつずつ、丁寧に紡ぎ出した言葉。

「おこだでませんように」

この絵本を読みながら私は涙が止まらなくなった。ぼくの気持ちが我が事のように伝わってきて、居た堪れなくなった。そんな私を見た娘が言った。

「ママ、いつも怒ってばっかだから。ママ絶対泣くと思ってこの絵本借りてきたの」

「わぁぁぁ、ごめーーーん」

私は何度も何度も娘に謝った。
娘は私に伝えたかったのだ。怒ってばかりいないで私の気持ちをわかってよ。もっといっぱい褒めてほしいよ。私のことをちゃんと見てよ。絵本をとおして伝えたかったのだと思う。

最近娘が私に反抗的だったのにも理由があった。口先だけの大好きよりも、娘の気持ちをちゃんとわかろうとすることが大切だった。娘が伝えたい言葉の裏側にあることを感じられていなかった。

それをママはわかったつもりになっていて、わかっていなかったね。


絵本の最後におかあちゃんがぼくをぎゅっと抱きしめる場面がある。
私はそれを見て娘に言った。「ママもさ、こんな風にしていい??」すると迷うことなく「いや、それは無理。でもママ1ポイントゲットしたから、話しかけてきてもいいよ」。

この間「話かけてくるな」と言われたばかりだったので、だいぶ進歩したのである。今回の件で1ポイントゲットできたので、娘に話しかけるのは許可が降りたのである。

「2ポイントゲットしたら手繋いであげる」

「え!どうやったら2ポイントゲットできるの?」

「それはひーみーつー」

2ポイントまでの道のりは、まだまだ険しいことが明かされたのである。自分で答えを見つけるしかないのである。

それはさておき、作者のくすのきさんのあとがきは何回読んでも泣いてしまう。涙だけでは事足らず鼻水もだらだら流れるくらい泣いてしまう。本当に素晴らしい絵本だった。私も子どもたちの内にある思いを見落とさないようにしたいと思う。

肝心なのはここからだ。

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