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地球最期の日も桃鉄をしていたい

この間、友だちA子と久しぶりに電話をした。A子とは大学が一緒だった。バイトがない日はいつも決まってA子の家に集まり、延々と酒を飲みながら桃鉄(総資産が一番多かった人が勝ちのゲーム)をしていた。何かを語らうわけでもなく、目をぎらつかせながらひたすらゲームに明け暮れた。そんな学生時代を過ごした私たちは、今や住む場所も遠く物理的距離があるにも関わらずたまに電話をしたり数年に一回は旅行に行ったりする。

10代の終わりから20代、30代と共に過ごしてきて、それなりに生活の危機や煩わしいあれこれを抱えなければいけない状況に出くわすこともあった。それでも「まぁ、なるようにしかならんから、今度会ったらうまいもの食べに行こう」とお互い励まし合いながら過ごしてきた。その根底には、学生の頃に何か壁にぶつかっても「とりあえず桃鉄しとくか」「とりあえず酒飲もーぜ」(結果酔っ払って忘れる)で乗り切ってきたことがあるように思う。「ちょっとしんどくない?」ということがあると、私たちは桃鉄や酒に逃げて、そしてまた逃げた。逃げグセ上等である。問題に真正面からぶつかるなんて、無理無理。それより楽しいこといっぱいあるし。うへへ。そうやってヘラヘラ笑ってなんとかなったりならなかったりしてきた。「現実を見つめなさいよ」という声が聞こえてきそうな気もするが、どんなときも逃避先があったのは幸いなことだったとも思う。生きていれば現実を直視できないときや、実際人間の力ではどうにもならないことだってあるからだ。必要以上に自分を責めたり誰かを責めたりせずにいられたのは、私にとっては救いだった。

ところで、最近私たちの話題が変わりつつある。それは御多分に洩れず明らかに「健康」の話が増えたのだ。筋トレをはじめたり、片やウォーキングをはじめたりと少しでも動ける体を維持するために忙しい。とはいえ「ほんとヤバいよねー」と言いながらどこか呑気に構えているところもある。ただ言いたいだけなのだ。で、結局「まぁ、なるようにしかならんから」に行き着く。それでつくづく思った。これまでも私たちは何か問題があっても呑気に桃鉄をしてきたし、これからもヘラヘラ桃鉄をしていくんだと思う。これは比喩だけど。大袈裟だが私の人生観はそこにある。
たとえ地球最期の日がきても、呑気に桃鉄をしていたいと思う。


⭐︎見出し画像はぷんさんのイラストを使わせていただきました。

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