地下82mから標高1963mへ、谷川岳の夏山登山 〜 2024年・夏 青春18きっぷの旅 その3
「近くてよい山、谷川岳」といわれている谷川岳に登ってきた。
この「近くてよい」は、近いことが良いということよりも、近くにある「よい山」ということかと思う。
鉄道でのアクセスは上越線の土合駅から。
「近い」というのは都心からのことで、自分は横浜駅から上野東京ラインで高崎駅まで一本、早朝のグリーン車で仮眠と朝食をとる便利な旅程となった。
高崎からは水上で乗り換えがあるものの、上越線の乗り継ぎは便利だ。
土合駅といえば「日本一のモグラ駅」として知られる、下り線の乗り場が地下82mに位置した駅で、長い階段を上って地上に出る。
「遠足は、家に帰り着くまでは遠足」という人がいるように、谷川岳の登山は「電車を降りてからすぐ登山」という感じで、地下82mから地上まで一直線に登ることになる。
トンネル内は湧水が豊富で、階段の左右からも勢いよく水が噴き出している箇所がある。
階段左は川というか滝というか、水が流れている。
Wikipediaを読むと、水路ではなくエスカレーターの設置スペースだったということらしい。
山小屋のような意匠の駅舎を出ると、そこはもう山の中!
駅からは、すぐに登山に挑むこともできるし、ロープウェイとリフトを乗り継いで天神平まで上がることもできる。
日帰りの場合はロープウェイを使うのが良いだろうと考えた。
ロープウェイの本数は多いがチケットの窓口が週末もワンオペで長蛇の列となっていた(この日だけか?)
リフトで天神平に上がった場合でも、そこから泥の多い急な下りを通りロープウェイからの登山道に合流するので、リフトで楽ができるということではなさそうだ(リフトを使わないコースを歩いていないので不明)
帰りの列車が少なく、15:34の次が18:19でありこれが終電。15:34で帰るには登山の往復を短くする努力が必要。18きっぷにこだわらなければバスが便利そうだ。
自分の場合は18きっぷ縛りを厳守したいので、15:34の水上行きに乗るつもりで時間配分を考え、最悪18:19になったら食事をしようくらいに思っていた。
ということで駅から徒歩でロープウェーに向かうべく駅から坂を上る。
上り線を渡る踏切からは、沢を渡る鉄橋、すぐに深い山に潜り込むトンネルが見える。
本数が少なく山深い路線でも電化されている。
坂を上っていると眼下に上り線の線路が見える。
さきほど見上げたトンネルの上を歩いているということか。
すかさず時刻表を確認して、列車が来ることがわかったのでアングルを色々考える。
列車の近付く音、停車、発車、そして反対側のトンネルへ…
何枚もシャッターを切る。
上り続けるとスノーシェッドを備えた急カーブに差し掛かる。
強い日差しが綺麗な影を作っていた。
しばらく歩くと宿泊施設やビジターセンターがあり、ロープウェーの駅に着く。
ロープウェー単体の往復チケットと、リフトとセットの往復チケットがあり、「リフトの方がより楽だろ」と想像してセット券を選択。(これが何も楽ではなかったように思う)
谷筋に沿ってロープウェーは標高を上げていく。
気圧の変化で耳がこもって聞こえる。
ロープウェーを降りると公園のような場所に出る。
普段着でも遊びに来られる、ちょうどいい避暑地といった感じ。
自分はすぐにリフトに乗り継ぎ天神平を目指した。
すでに高い山に来た感じがする。
雲が近い。
風は涼しく気温が下がったことを感じる。
しかし夏山、日差しが強い。
空気がきれいで、標高が高いので、日差しはとても強い。
登山道に入る。
ほぼ誰ともあわない登山道だ。
リフトを降りてからゴツゴツとした岩の多い尾根を歩く。
しばらくすると森の中に。
そして水分の多い赤土の急な斜面のアップダウンに。
雨の後にたくさんの水が流れたような溝もおおい。
滑りやすいし、垂直に近いところもある。
人が滑ったような足跡もちらほら。
避難小屋を過ぎ、しばらく森を歩く。
すると森林限界をこえて低木の斜面に。
自分にとっての夏山登山は、森の中よりもこういう低木や高山植物で視界の開けた場所をイメージしていた。
これこれ! と意気揚々と登り続けられた。
谷川岳は日本海と太平洋の境目で、日本海側からの湿気たかぜがぶつかり天候・気候が激しいそうだ。
この日も雷注意報が出ていた。
ひたすら登り続け「肩の小屋」に到着。
飲食物の販売がある。(現金のみ)
周辺ではガスコンロで調理をしている人たちも。
山小屋からどんどん登る。
途中、ガスで周囲がよく見えなくなり、タイムラプスを撮ってみたり。
小型三脚を持ち歩いていてよかった。
尾根道は高山植物が咲き乱れ、遠くの景色も眺められ、とても美しい。
しかし一歩先には切り立った急峻な崖。
谷川岳はギネスに載るほど山岳事故による死者が多い山だそうだ。
トリカブトが満開だった。
ひたすら歩き、ついに山頂へ。
まずはトマの耳。
谷川岳は双耳峰といって、山頂が2つあるような形だ。
山小屋側が1963mのトマの耳。
そしてまた尾根伝いに下って上って…
もう一つの山頂、1977mのオキの耳に。
休憩をしたら帰りの列車までの時間が怪しくなってきた。
ついつい撮影に時間を使ってしまった…
鎖場がいくつかあり、目の前の斜面を登り続けるのは楽だったけれど、
下りとなると転換したりすれ違いがあったりと、特に注意が必要だった。
前後の人の歩いた後からの落石もあり、トレッキングポールを横持ちするおじさんも多数いて、雨の日の駅のような「目に刺さる」危険があった。
この斜面でポールをどう使うのかとくわからず…
途中でロープウェイの駅へ向かう道と、リフトのある天神峠・天神平に向かう道に別れ、往路でドロドロだった天神平方面のアップダウンに戻った。
帰りの登りが、掴むところの少ない泥の斜面でなかなかきつい。
リフトもロープウェーも、列車の時間を気にしてハラハラして過ごす。
15:34間に合うか?!
ロープウェイを降りたのが15:17。
これはまずい、ということで飲まず食わずの登山で消耗した後に猛ダッシュ。
12分で土合駅に着き、上りホームで水分補給。
山へ行くときは、山の大小や近さに関わらずYAMAPで記録している。
今回はタイムラプスを撮ったりしながら登ったこともあり、帰りの時間がギリギリだったのでゆったりしていたつもりなのだけれど、ペースが早かったようだ。
八丈富士の時は150%、円海山は190%で、若干このペースの考え方がわからずにいる。
トレランしているわけではないし撮りながらなのだけれど…わからない。
往路は歩き始めてから、復路はロープウェーを降りるまでを黒くしてしまっていたからかもしれない。
ということで、念願の「日本一のモグラ駅」と谷川岳を訪ねることができた。
18きっぷ1回分(2,410円相当)で横浜-土合往復6,160円を移動できた、この夏3回目の18きっぷ旅を終えた。
カメラとレンズは Nikon Z6 II + NIKKOR Z 24-120 F4S のみ。
ロープウェーとリフトからはiPhone 15 Pro Maxの超広角側で。
どれか1セット、となったら24-120 F4Sが便利だと再認識。
遠くへ行きたいのです。サポート頂けたら何か撮ってきます!