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しあわせの定義



人から聞かれた


「自分の幸せの定義ってなに?」






普段から

ちっちゃいことに悩んで
クヨクヨするのに


そのくせ

深い思考をしない癖があるわたしは


返せる答えを
持ち合わせていなかった







中学生の書き初めの授業で

<自分の夢>を書いて提出する機会があった



廊下に飾られた同級生の書き初めには

「スチュワーデス」
「学校の先生」
「サッカー選手」
「公務員」



眩しい夢ばかり並んでいた



わたしは

小さい頃から
大それた夢を持ったことがなかった


思い返してみると


「しあわせの定義」を
聞かれたときの今のように


ずっと答えをもってなくて


まわりの人から


なんとなく勧められたものに

なんとなく乗っかっていただけのような。




幼稚園の卒業アルバムで

"しょうらいのゆめ"に"おはなやさん"と書かれた

わたしの夢が


すごく他人事に見えて

そのページを見るのを嫌がった




夢なんてないくせに笑




高校生のころには

中学時代お世話になった先生から



絶対に先生に向いてる

教員免許取れる学部の大学目指してみなよ



と背中を押してもらったことがある



一応

教職課程の取れる学部には入学するのだが



成人式で先生と再会したときに


期待に応えられなくてごめんねと伝えた



夢と向き合うこともせず

ただ気の合う友人たちと日々を過ごしたわたしは


先生の顔を見たとたん


固い約束とまでははいかない

当時の"やくそく"を思い出して



なんだかむなしくなった



その気が合う友人のひとりは

同じ学部から

しっかり教職課程を修了するのだけど苦笑


(そしてその"先生"を今でも続けてる尊敬)





成人になっても


誇れるものがなにもなくて


ちょっぴり恥ずかしくもあった




むかしから

いろんなことに
興味はあったし

やりたいことがあれば

自分のできる世界のなかで


それなりにやってきていた



だけど


夢を持っている人が

ずっと羨ましかった




正確に言うと



書き初めの題材に

文集に



悩まずに書くことがある人が

ただ羨ましかった




書き初めに選んだ
自分の夢を

今でも覚えている




「幸せに暮らすこと」





中学生のわたしの

精一杯のアイディアだった



授業参観に訪れた母からは

微妙な笑顔をされた気がする


それでも

なぜかまわりから
意外と評判は良かったので



この路線でいこう



とその時

小さくひっそり決心したのだった




とはいえ



夢に描いた

「幸せに暮らす」の

「しあわせ」の部分について


深く考えたことは
人生一度もなかった



あれから20年以上が経ち

思いもよらないタイミングで

向き合わされることになる





普段わたしが幸せだと感じるときって

どんなときだっけ



会話はなんとく終わってしまったが


ずっと心に残っていて


思いつくかぎりの
幸せっぽいこと


書き出してみた


・日向ぼっこコーヒー好きだなあ
・誰かとおいしいものを食べるときいいよね
・すきなものをすきなひとに共有できる有難さ
・久々に会った友人とマジでどうでもいい話してる瞬間最高
・すきなアーティストの新譜が神だったとき
・ライブの高揚感たまらん
・祖母の笑顔もたまらん
・朝焼けとか夕焼けとか綺麗な空は無条件に泣けてくる
・1日が長い夏の日は無駄にテンション上がる
・キンモクセイの香り見つけたときは紛れもなく幸せ




なんかすべてが
小さい好きの集まりだ


しかも
片手分の幸せばかり



そこでぼんやり気付いた


わたし

小さい幸せを抱えているときが
しあわせなんだな


たぶん

ひとつじゃない


複数の[すき]な要素が重なって


わたしの
「しあわせ」ができているんだな





わたし

しあわせの定義、見つかりました


小さな[すき]と[幸せ]を持ち合わせていること




うわ。


少し気持ちが晴れやかになった



昨日より


じぶんの人生が

誇れるような気がする


変わったのは

定義がぼんやり見えたこと


たったそれだけなのに。







中学生のわたしへ


わたしはいま

幸せに暮らしているよ



もしかしたら

思い描いていたような

生活とは

ちょっと違うかもしれないけど



それなりに



まわりのひとや

環境に

恵まれて


ちいさなしあわせ抱えて
暮らしているよ




すてきな夢だったね

教えてくれてありがとう



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