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ワクワク臨床の第一歩 Vol.2

ワクワク臨床の第2歩は…

さて、前回まで患者さんから症状について話を聞いた。
 前回記事は  こちら ↓

ここでやっと診察に入るのだが、我々のファーストタッチがその後の理学所見の取り方に影響を及ぼす。

患者さんは、相手が医師とは言え今日初めて会った見ず知らずの人間に、自分の体に何をされるのか不安な気持ちでいっぱいのはず。

だからこそ、ファーストタッチは患者さんの話から絶対に痛みなどの症状を出さないところを探して「触れる」ことが大切になる。
この時、患者さんが力を抜いて触らせてくれたら、その触診は「大成功!」。


ファーストタッチの後は、ちょっとだけ力を入れて、等尺性収縮をしてもらう。
正確な等尺性収縮、つまり2つの骨の位置が変化せずに収縮が行え、痛みもなく、患者さん自身が「大丈夫」と思えるのなら、次は2つの骨の位置関係、関節の位置を少し変えて、再び等尺性収縮を行ってもらう。


続いて、指示した動きで等張性収縮を行ってもらう。
この時、疼痛の発現だけでなく、正確な等張性収縮が行えず、患者さんの意図した方向とは異なる方向に動いてしまうことも多い。

この時が、治療を考える上でのキーポイントとなる。

「患者さんが意図した運動ではない動き」に関わる様々な筋活動の関与などを1つずつ見つけていく。
つまり、筋肉を活動させて、意図した動きを再現してもらう事で、疼痛などの症状の発現だけでなく、関節運動の正確性を診ることがポイントとなる。


最後に種々のストレステストを実施し症状を再現することで、ようやく病態診断に行きつく事となる。

ストレステストは、ご存知の方は多いとは思うが、関節その他に非生理的な条件を人為的に与え、組織に対し刺激・負荷をかけるテストである。
そのため ここで注意しなければならないのは、症状を誘発させるテストなので、機能的な診断をした後、つまり、「ここまで書いてきた事の最後」に実施するようにする事が大切である。

その結果、症状が誘発されたとしたら、患者さんはストレステストの様な非生理的な状態を、日常の動作時に無意識に強いられ、結果、組織を損傷し症状が出てしまっていると考えられる。

この様な症状を出させるような機械的刺激が患者さんに加わっていると考えると、それが治療の選択材料になる。


ここまでくれば、治療はその関節や筋、腱に負荷の加わる動作を強いられている組織に対して、機能的に頑張ってもらえる環境づくりや、そのための機能改善の方法を会得してもらうことで、患者さんは症状から解放されることになる。


こんなシャーロックホームズの謎解きのようなことが出来るのが、臨床の現場、特に外来診察だと思う。

臨床はなんとも楽しい。

ワクワク臨床の第3歩は…(予告)

肩や肘、膝などが「痛い」「動きが悪い」といった症状の患者さんが来た時、皆さんはどこから診ますか?

臨床の醍醐味は、「なぜ症状を出しているような事象を、この人の身体は起こしたのだろうか?」と考えること。

(筒井 廣明)


次回更新までお待ちください。


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