フランク・ゴーブル著「マズローの心理学」

久しぶりにフランク・ゴーブル著「マズローの心理学」を読んでいるのですが非常に示唆に富んだ内容があったので今回はこれについて皆さんに共有したいと思います。

「22年間の臨床実習と、20年以上の研究を通して集成さしたマズローの資料は、ほとんどの神経症は尊敬、受容、所属感のような他者との安定やつながり欲求が満たされていない事を示していた。基本的欲求を満足させれば、基本的にノイローゼ治療が成功し、改善するということは、彼の第三勢力の心理学に強い支持を与えている。
言い換えれば、心理学的に病気の人は、良い人間関係を作りあげるように学んだ事がない人である。本能的欲求というのは、それがたやすく無視されうという意味において弱い欲求なのである。しかし、それらを満足させるのに失敗するこてゃ心理的問題となるから、別の意味において、それは強いと言えるのである。」


この文章の中で特に興味深いのが「心理的に病気の人は、良い人間関係を造り上げるように学んだ事が無い人である」という指摘です。これは非常に鋭い指摘です。

「上司にパワハラされて心理的病気になった人はどう説明するんだ?」

という意見もあると思います。しかし、このマズロー博士が言う「良い人間関係を造り上げるように学んだ」という言葉はただただ善人的な人と人間関係を築くというだけではなく、「自分に危害を加える人間とは関わらない、人間関係を築かない」という事も含めた学びです。
ただ、良好な人間関係を築くだけではなく、関わらない方が良い人間とは関わらないというのも人間関係の造り方なのです。これは心理学者でなくとも「誰と関わるかよりも、誰と関わらないかが重要である」と提唱している人は大勢います。
つまりは「関わらない事も一種の人間関係の造り方である」にも関わらず、心理的病気を患ってしまう多く人が攻撃的で加害的な人間と関わってしまう、という過ちを犯してしまうからこそ対人関係において心理的な病気になってしまうと考えられるのです。

ちなみに私は心理・精神的衛生を保てないと判断した人とは一切関わらないようにしています。例えそれが上司であっても、そういう人と関わっても良いことなど一つもない事をよくよく理解しているので、どうしても関わらなければならないのであればその職を辞します。
それくらいそういう人間とは関わらないようにしているので、一般的な人よりも精神的にも心理的にも健康で居られています。
しかし、組織にいると分かるのですが、精神病や神経症を患う多くの人がそういう人間と必要以上に関わってしまう、距離を置いたコミュニケーションが取れていないのです。
結果的に攻撃されたり、心的外傷を負わされた結果、心の病を患って辞めていくのです。
こういった事例は正に「心理学的に病気の人は、良い人間関係を作りあげるように学んだ事がない人」の典型であると考えられるのです。

なので、私は誰が辞めるか、誰が精神的にダウンするかがだいたい分かります。その予測も8割以上、当たります。
何故ならば心理的・精神的に弱い人と言うのは本当に分かり易くて
「自分自身の精神的・心理的な安全圏を持っていない・保てていない」という確固たる特徴があるからです。彼らは非常に従順で、警戒心が薄いが為に誰にでも愛想よくしてしまい、その結果利用されたり、酷い扱いを受けてしまうのです。ちなみにドードーはあまりにも警戒心が薄いがために人間に狩られまくって絶滅してしまいました。

とは言え、私は基本的に人は善人であるとする性善説よりの思想を持っています。
だから人が好きですし、心理学も特に好きなジャンルです。ですが、生理学的にコルチゾールに影響を受けた際にアドレナリンの分泌が多い攻撃的な人間とは基本的に関わらないようにしています。
何故なら自分自身もそういうタイプで攻撃されると攻撃し返すタイプで、なおかつ口論が得意なのでだいたい相手を負かしてしまうから関わらないようにしています。
大学でディベートをやっていた兄貴にも口喧嘩では余裕で勝つ実力で特に上司の鼻をへし折るのは得意なんですが、若かりし頃にこれを兄貴にやってボッコボコにされた経験から今は上司を言い負かすのではなく「逃げるが勝ち」で関わらないようにしています。非人道的な上司はフルボッコにしますがね。
これはわたくしが「心理学的に良い人間関係を作りあげるように学んだ」経験のひとつであります。笑

またマズロー氏はこうも話しています。

「精神身体医学の研究では、恐怖・不安・心配・不安定などが望ましくない身体的かつ心理的結果へと発展しがちであるということを、繰り返し示している。不安・緊張・懸念といったこれらの態度は安全欲求がくじかれた結果、起こるのである。この観点からフロイトの偉大な発見の一つは、恐怖と罪とはたいがいの精神的な病気の根本原因であるという事である。」

先ほど申し上げた「精神的にダウンしてしまう人たち」はこの不安・緊張・懸念といった精神の安全性が担保出来ない人間とも人間関係を安易に築いてしまう人たちであるのです。
つまりは人間関係における取捨選択ができず、社会の仕組みに従うしか出来ないがために本来関わるべきでない人とも関わってしまった結果、過度の不安・緊張・懸念を繰り返すうちに心身を害してしまし、心的外傷や精神病を患ってしまうのです。

ここで生理学的に考えたいのが「自分自身が「脅威である」と感じる人間は実際的に脅威である」という事実なのです。この場合の脅威というのは生理学的かつ脳科学的に考察すると自身の体の中でコルチゾール由来の「闘争と逃走の反応」が発生していることを示しているのです。
つまりは本能的に「危険である」とする反応が体の中で起きているはずなのです。なのに、その恐怖や不安に従わず、「無理やり」自分に何かを言い聞かせて自身にとって脅威になるかもしれない人と関わっているのです。
これは自分自身の認知を歪めている紛れもない証拠なのです。
これについてF・ゴーブル氏はこういっています。

「精神的に健康で自己実現している人の重要な特徴の一つは、彼が世界を現実的に認識していることである。反対に障害を持つ人は、情緒的に病気であるばかりなく認知的にも彼は間違っているのである。」
自分の知覚をゆがめたいという願いを自分に許してしまう人は自分の心理的健康を減退させる。真に成熟した個人においては、現実を、その人がかくあれと望むのでなくありのままにみる。神経症はまた、賢明な選択をしえない。ある貧弱な認識力しかもたない人々は、真実が明々白々なものとして絶えず目の前にさらされていてさえ、毎年嘘を信じることが出来るのである

またマズロー博士はこうもいっています。

「神経症、精神病、成長阻害などはべてこのような見地からは認知の病気でもあり、知覚・学習・注意・思考を汚すものである」

彼らの知見はまさに、精神的弱者や自己防衛能力がなく精神病を患う人たちが自身が感じている恐怖や不安、緊張に従うことなく、自らの認知・認識を歪めていることを示唆しているのです。そしてそういった人たちが実際に心理的・精神的におかしくなっていく様をみてきた私はまさに「その通りである」と言いたいのです。

「認知の歪み」が精神的病理の原因であり、それを出現させるのがセロトニン神経の衰弱であると私は考えているのですがこれを心理学的に正に言い当てているマズロー博士の研究にはいつも感動させられます。

この本は本当に現代を生きる我々に必要な考え方や正しく生きるアイディアを提示してくれてます。今後も追って皆さんに共有していきたいと思いますので、ご興味がある方は是非、フォロー頂ければと思います。

ご意見などもお待ちしておりますので、宜しく御願い致します。


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