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アプリアイコンを超えて

MESON主催の「Apple Vision Pro 1ヶ月記事投稿チャレンジ」第21日目の記事です。前日の投稿はこちらからご覧いただけます。


「アプリアイコン」をデザインしていて思ったこと

私は、MESONのデザイナーの楳村です。先日、弊社から発表されたSunnyTuneのアプリアイコンもデザインしております。アイコンを作っていてふと、「アプリアイコンという概念って、なんか古くさくないか」と思うことがあったので、それについて記事を書いてみます。

進化する日常生活の「始め方」

私たちの日常生活における物事の始め方は、時代とともに変化し続けています。
例えば、「本を読もう」と思ったら物理的に本棚へ行き、読書を始めるという流れは普通だと思います。
しかし、デジタルの時代に入ると、「調べ物をしたい」と思ったときは、端末を手に取り、アプリを立ち上げる行為を挟み、それからブラウザで検索を始めるというプロセスに変わりました。さらには音声で操作するデバイスも今や一般的になりつつあり、私たちの生活はさらに便利なものへと進化しています。

空間コンピューティングが普及した未来

そして今、空間コンピューティングの台頭によって、私たちはさらに大きな変革の中にいます。私たちMESONが取り組んでいるのもこの領域です。
未来では、何かを調べたいと思った瞬間に、目の前の空間にブラウザが現れ、声やジェスチャーだけで検索を開始できるようになります。天気やニュースのアプリケーションも、部屋のどこかにそっと置いておく家具や雑貨のようなものになるかもしれません。弊社がリリースしたVision OS向けの「SunnyTune」もこの考え方のもと開発されています。
私たちの生活は、デジタル情報が物理的な世界と直接統合されることで、より自然で直感的な活動へと、ある意味「戻っていく」とも考えられます。
本棚の例で言うと、日常生活で何かのアイコンを押して本棚の存在そのものを呼び出すことはありません。本棚の置いてあるところへ自ら移動し、読書を開始します。デジタル情報が物理的・空間的な性質を持つようになった未来では、アプリケーションも同じような扱い方になるかもしれません。

「アプリアイコン」はどう変わる?

私はデザイナーなので、アプリアイコンなどもデザインします。このニッチな領域に目を向けてみても、未来はこう変わっていくのではないかと考える時があります。
「アプリアイコン」というものはそもそもPCやスマホの普及によって誕生しました。仮にスクリーンのデバイスの時代が終わるとなると、アプリを立ち上げるためにアイコンを探し、タップするプロセスが過去のものになります。
思いついた瞬間に、空間に組み込まれたインターフェースが立ち上がるような未来があるとすれば、起動するためにアプリアイコンをタッチするのも、2Dのインターフェースさえも、「そんな時代あったね」とネタにする時代が来るかもしれません。
一方で、黎明期においては、現実との乖離を減らし、一般ユーザーにとって使いやすいものにするために、2Dのインターフェースやアプリアイコンを「あえて」デザインし、実装することはとても重要です。新しい技術への適応をスムーズにし、段階的に適応させていくことは、特に技術の移行期において、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためには不可欠です。

この時代に必要な態度

未来に進むことは、慣れ親しんだものが過去のものになることを意味します。
デザイナーはしばしば、フレームワークやルール、システムなど、先人の知識・経験、作法のようなものを大切にし過ぎます(自分のことですが)。必ずアプリにはアイコンがあるという思い込みも、インターフェースは2Dでなければならないという考えも同じです。AIなどの文明の進化には目を奪われてしまいがちですが、役目を終えて失われていくものを探すのもまた、積極的な未来考察だと私は思います。
四次元空間では、ピンポン玉を裏返すことができるそうです。三次元空間で生きる無知な私にはとてもその様子を想像することができないのですが、情報の処理が2Dから3Dへと移行しつつあるということは、それと同じくらい想像ができない未来が待っているということでもあると思います。
未来を正確に捉えようと難しく考えるのではなく、「遊び」や「実験」として捉える姿勢も、テクノロジーが加速度的に発達している現代を生きる上で、必要な態度と言えるでしょう。



体験会・勉強会実施のご案内

MESONでは、オフィス環境でのVision Proデモンストレーションや企業向けトレーニングプログラムを提供しています。今回ご紹介の"SunnyTune"も装備されておりますので、ご関心がおありの方は是非、お問い合わせフォームからご連絡ください。

MESONではともに空間コンピューティングシフトを起こす仲間を募集しています

MESONは、多様な企業と協力し、空間コンピューティングの力を借りて人々のまなざしを拡げる共創プロダクト開発を主力事業として取り組んでいます。私たちは空間コンピューティングの新たな波をリードするため、現在、さまざまな職種で積極的に人材を募集しています。このnoteを通じてVision Proや空間コンピューティングに魅力を感じた方、MESONと共に空間コンピューティングの未来を切り開きたいと考える方は、是非、以下のリンクからお問い合わせいただければ幸いです。

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