中国が景気支援か、新型コロナウィルスは経済影響の火消しへ

19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、15時現在は前日比158ドル88セント高の2万9391ドル07セントで推移している。
中国政府が積極的な景気支援策を打ち出し、新型肺炎の経済的な悪影響を和らげるとの見方が買いにつながった。

中国の景気支援、米経済は楽観視

19日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙などが、中国政府が新型肺炎の影響を受ける企業に、供給網の安定や資金繰りなどで様々な支援を講じると報じた。
政府の景気支援策が景気を支えるとの観測が広がった。中国では感染者数の増加ペースがやや鈍化しており、感染拡大に歯止めがかかるとの期待も強まった。

中国事業への懸念から前日に下げたスマートフォンのアップルが反発。
中国売上高の大きい半導体関連株も上げた。
債券市場では米長期金利が上昇する場面があり、ゴールドマン・サックスなど金融株の買いを誘った。

米連邦準備理事会(FRB)が午後に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、参加者が米景気への楽観を強めていることが分かった。
半面、政策金利は当面据え置かれる見通しで、株式市場に資金が流入しやすい地合いが続くと受け止められた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、同101.712ポイント高の9834.455と18日に付けた過去最高値を上回って推移している。

中国本土での新型コロナウイルスによる肺炎の死者が2000人を超えた。ただ、新たな感染者は2日連続で減少した。
ウイルスの発生源とされる湖北省武漢市の当局は、感染拡大抑制に向けた措置を一段と強化している。

中国国家衛生健康委員会は19日、中国本土の感染者が18日に1749人増えたと発表した。新たな感染者は17日の1886人から減少、1月29日以来の低水準となった。
湖北省で18日に確認された新たな感染者の数は2月11日以来の低水準となった。
中国本土での感染者は累計で7万4185人、死者は計2004人に達した。死者の約4分の3は武漢市で確認された。
中国本土以外での死者は、香港で19日に新たに報告された1人を含め6人となっている。

ダイヤモンド・プリンセス号の下船が始まる

中国以外で感染拡大の状況が最も懸念されているのがダイヤモンド・プリンセスの船内だ。
新型コロナウイルスの集団感染が発生し、横浜に接岸しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号では乗客の下船が始まった。検査で陰性が確認された人が対象で、3日に分けて下船する。この日は約500人が船を下りる見通し。
同クルーズ船には当初、約3700人の乗客と乗員が乗船。香港で下船した男性の感染が発覚し、横浜に到着後、2週間検疫のため待機していた。これまでに540人以上の感染が確認されている。
米国人300人超が政府チャーター機ですでに帰国。韓国は19日、同クルーズ船から7人を帰国させた。オーストラリアも同日、チャーター機で169人を退避させる予定だ。このほか、英国やカナダ、香港、イタリア、台湾も乗船者の帰還を計画している。

WHO、中国の対応は適切

中国国営の新華社によると、湖北省は感染者の発見に向けより広範で強制的な措置を導入する方針だ。
感染拡大を阻止するため、すでに実施している事実上の封鎖措置に加え、対応を強化する。
新華社が湖北省の疫病管理当局の通達として報じたところによると、同省は1月20日以降に病院で診察を受け、発熱が認められた全ての市民の記録を調べる。また、実店舗やオンラインの薬局でせき止めや解熱剤を購入した市民も対象にするという。
世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、中国の対応について、湖北省でまず「火を消し」、春節(旧正月)休暇から北京に戻る人々の健康観察を確実に行ううえで成功していると指摘。
「現時点で、中国における戦略・戦術的アプローチは適切だ」と述べた。
同氏はまた、北朝鮮で新型コロナウイルスの感染者が出た兆候はないと語った。
湖北省を除く中国本土の新たな感染者は15日連続で減少している。18日時点では56人と、最多となった2月3日の890人から減少している。

世界的な影響

新型ウイルスによる経済への打撃が懸念される中、中国の欧州連合(EU)大使は、影響は「限定的かつ短期的なもので、制御可能」との認識を示し、中国政府には必要に応じて介入する十分なリソースがあると述べた。
中国国営テレビによると、習近平国家主席は、ウイルスの影響にかかわらず、中国は2020年の経済成長目標を達成できると表明した。
こうした中、株式と債券に投資する中国のバランス型投資信託が18日、目標額の20倍に当たる約1200億元(171億4000万ドル)の資金を集めたと、関係筋が明らかにした。ウイルスの感染拡大が懸念されているものの、投資意欲が健在であることが示された。
ただ、短期的には世界各地で企業の活動などに影響が生じている。

英自動車大手ジャガー・ランドローバー(JLR)は、生産を継続するためスーツケースで中国から部品を運んだが、2週間後には在庫が尽きる可能性があることを明らかにした。
エコノミストらは、新型ウイルスの流行が早期に収束しなければ、中国で今年、大規模なレイオフが行われる可能性があるとみている。
ノムラのアナリストの試算によると、休暇で帰省した労働者の70%が都市部の職場に復帰しておらず、操業が停止された事業の再開比率は40%を下回っている。

総括

新型コロナウィルスのニュースを見ていて不思議な点が1点あった。
それは感染スピードである。

抗体のない新たなウィルスだったとしても、こうも感染が拡がるのであろうか?
もしかすると、答えはダイアモンド・プリンセス号の中にあったのかもしれない。
拡大防止と予防を徹底していないことである。

これについては私たち個人にも当てはまる。
意識と知識についてである。

このような騒動でも、意識が低く、予防をしていない人も、実に多い。
また、マスクだが、予防という観点ではその効果は実はない、という見解もある。
もちろん、感染者がつけることでウィルスの拡散の防止は多いにあるが、平常者が着けてもウィルスほどの粒子はマスクを通過してしまうとのこと。
なので、最も信頼のある予防は手洗いうがいである。

そうとは知らず、マスクさえやっていれば良いと思っている人、その意識もなく日常と変わらず何もしない人。
これが変わらなければ、日本の感染率が上がってしまうとたちまち中国と同じような状況になってしまうだろう。

これまで何度も主張してきたが、大切な人を守るためにも、手洗いうがいを徹底したい。

出典

日本経済新聞 2/20 NYダウ158ドル高で推移、中国の景気支援策に期待

ロイター 2/20 新型肺炎、中国本土の死者2000人超える 新たな感染者は減少