NYダウ下げ幅1000ドルを超える、新型コロナウィルスの世界的拡大を懸念

世界の金融市場は新型コロナウイルスの「見えない恐怖」に身構え始めた。アジア・欧州株安の流れを引き継いだ24日の米株市場では、ダウ工業株30種平均が急落し、終値で下げ幅は1000ドルを超えた。
下げは2018年2月以来の大きさだ。米国債など安全資産が買われ、米長期金利は過去最低水準が視野に入る。
経済や企業業績への影響がよめないなか、投資家は一斉にリスク回避の動きに出ている。

🇺🇸米国、国内感染は14人

米疾病対策センター(CDC)は24日、米国での新型コロナウイルスの感染確認数が14人だと明らかにした。
これとは別に、中国・武漢市から帰国した人やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の退避者で感染が確認されたのは39人に上っている。
CDCは先週21日の時点で、国内感染例は13人で、帰国した米国人の感染は21人と発表していた。
米保健当局は、帰国した人の感染が今後増えるとの見方を示していた。

🇮🇹イタリア、国内の感染者数は220人超え

イタリア保健当局は24日、新型コロナウイルス感染で新たに3人が死亡したと発表した。3人はいずれも高齢もしくは重い病気を患っていたという。これで国内の死者は6人に達した。

最新のデータによると、国内の感染者数は220人を超えた。うち23人が集中治療室にいるという。

中東4カ国で感染拡大、感染元はイラン

中東のクウェート、バーレーン、オマーン、イラクの4カ国で24日、新型コロナウイルスの感染が初めて確認された。4カ国で確認された感染者は全員、イランへの渡航歴があった。

オマーンではイランから帰国したオマーン国籍の女性2人の感染を確認。同国はこの日、イランに向かう航空便の運航をすべて停止した。
イラクは中南部のナジャフでイランの神学生1人の感染を確認。この学生はイラクが自国民以外のイランからの入国を禁止する前に入国していた。

クウェートでは、イランのマシュハドから22日に退避させた自国民700人のうち、3人の感染を確認。当局はクウェート国籍の53歳男性とサウジアラビア国籍の61歳男性の感染を発表。3人目の感染者は年齢が21歳で国籍は不明としている。

バーレーンではイランから帰国したバーレーン国籍の人物の感染が確認された。
イランではこれまでに61人の感染を確認。感染による死者は12人。こうした中、アラブ首長国連邦(UAE)は24日、自国民のイランとタイへの渡航を禁止した。UAEでは1月28日以降、13人の感染が確認されている。

WHO、「パンデミックは時期尚早」

世界保健機関(WHO)は24日、新型コロナウイルス感染拡大について、「パンデミック(世界的な大流行)」と宣言するのは時期尚早との認識を示した。

テドロス事務局長は「新型ウイルスの食い止めはなお可能」とした上で「パンデミックという言葉は事実にそぐわない」とし、「パンデミックの可能性に備えながら、パンデミック阻止に注力すべきだ」と語った。
「新型ウイルスがパンデミックとなる可能性を秘めているかとの質問に対しては、絶対的にそうだというのが答えだ」としつつも、「パンデミックの状態にあるかと問われれば、われわれの評価に基づくと、その状態には至っていない」と述べた。
イタリアやイラン、韓国での感染例急増については「深刻な懸念」と表明。同時に、世界的に制御不可能な状態に陥ってはおらず、多くの死者も出てないと指摘した。
イランではこれまでに61人の感染を確認。感染による死者は12人。

WHO緊急事態プログラムの責任者マイク・ライアン氏は、イランで死者数が高いのは、深刻なケースのみが確認されていることを反映している可能性があると指摘した。また、WHOのチームが25日にイラン入りする計画を明らかにした。
WHOは1月30日、新型ウイルスについて、国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言したが、その後パンデミックの宣言には踏み切っていない。
WHOは2009年、新型の豚インフルエンザ流行の際にパンデミックを宣言したが、想定されていたほど深刻ではなく、ワクチンや治療薬の迅速な開発を迫られた医薬品業界から非難の声が上がった経緯がある。

出典

日本経済新聞 2/25 NYダウ一時900ドル超す下げ

ロイター 2/25 米国内の新型ウイルス感染は14人、帰国者の感染39人に増加

ロイター 2/25 イタリア、新型ウイルスの死者計6人・感染者220人超 欧州で最悪

ロイター 2/25 中東4カ国で新型ウイルス感染初めて確認、イランから拡大

ロイター 2/25 WHO「パンデミック宣言は尚早」、新型ウイルス阻止に望み