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笑わずにはいられなかった、彼女の言葉。

サラリーマン時代、仕事帰りの駅のホーム。僕は、乗り換えの駅のホームのベンチに腰掛けていた。

斜め後ろのベンチ、反対方面へ向かう人用に設けられたベンチに大学生のカップルが座っていた。

ロングな前髪をいじりながら、「マジかー」を連発する彼氏。韓流メイクの失敗作みたいな顔面の彼女の口癖は「ってかさー」。

そんな風貌Fランクな大学生カップルは、険悪な雰囲気を漂わせていた。どうやら彼氏の浮気を、彼女が隠れてiPhoneチェックした時に発覚したようであった。

彼女は「浮気をしたことを謝れと言い」

彼氏は「iPhoneを隠れて見た事を謝れという」

時々何を議論しているのか?忘れてしまう程、話があっちこっちに飛びながら平行線を辿る二人の口論はまさに、終わりなき旅。浮気した彼氏の逃げ道は、勝手に携帯見た事への怒りのみ。

彼女が何か言う度に「ってかマジかー?勝手に携帯とかマジかー」のマジかーの一点張り。

そんな彼氏の態度に遂に、彼女の堪忍袋の緒は切れた。勢いよく立ち上がり、彼氏に向かって強烈ビンタ。

地下深く、大江戸線のホームに響き渡った 

ビンタ音と「マジかー」

その音が地下鉄劇場の開演を告げ、ホームにいた野次馬達の視線は一斉に舞台の主役二人に注がれた。

アカデミー賞を受賞した女優が壇上で放つ第一声を待つ眼差しで、彼女の言葉を待つ、大江戸線の野次馬達。

彼女はアカデミー賞女優の喜びの涙とは異質な、悲しみに満ちあふれた涙を目にためて、

大声で言い放った。


「あんたなんてうんこの塊なんだよ!」


そして彼女は、地上の世界へと去っていった。

地下に取り残された僕らは思った。


うんこの塊って、うんこだろ。


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