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K-POPから平成ギャル文化を逆輸入。Z世代にギャルマインドが根付いた理由

 こんにちは。MERY Z世代研究所の西村です。
令和の今「平成のギャル文化」が新しいかたちに生まれ変わって、Z世代に広く受け入れられています。

 確かに、ファッションなど”目に見える”分かりやすい形でのギャル文化は、少し前から流行っていたため、特段今になって取り上げる事象ではないように思えるかもしれません。しかし2022年下半期では特に、その中でも”目に見えない”ギャル文化が根付いたように感じます。

 そして、その背景を語るうえでK-POPアイドルの存在は欠かせません。流行の最先端にいるK-POPアイドルが、日本でもさらに注目を集め、ギャル文化の再ブームを牽引しました。「令和の韓国アイドル」と「平成の日本のギャル文化」という、時代も国も超えた2つの事柄は、深い繋がりがありそうです。

1. K-POPアイドル第4世代の躍進

 最近のK-POP、特にガールズグループは戦国時代に突入したと言われています。いわゆる第4世代といわれる世代のガールズグループです。たくさんの事務所から続々と新しいグループがデビューしているため、ファンたちの間でも、2022年の新人賞は熾烈な争いが予想されています。

 Z世代には「流行や話題を消費するスピードがとても速い」という特徴があります。新しいグループが続々とデビューして、それぞれのグループが続々と新曲を出すという、第4世代のスピード感がZ世代に受け入れられやすいというのは必然のようにも思えます。

 そして、K-POP第4世代で日本のギャル文化が流行する→日本のZ世代がギャル文化に再注目する、という「ギャル文化の逆輸入」が起こりました。

 第4世代グループのうち「IVE(アイヴ)」の日本人メンバー・レイちゃんが”ギャルピース”を流行らせました。たくさんの韓国アイドルがギャルピースを真似した自撮り写真をSNSに載せ、ギャルピースという単語は世界中に知れ渡るようになりました。

 特に、第4世代は日本人メンバーの活躍がめざましいことも相まって、日本にいるZ世代が今まで以上の興味関心を向けるようになったと感じます。「aespa(エスパ)」の日本人メンバー・ジゼルちゃんは、誰とでも仲良くなれる陽気な性格から、「Billlie(ビリー)」の日本人メンバー・ツキちゃんは、その表情管理の高さから注目を集め、華やかなメイクや衣装から”ギャルたち”と呼ばれることも多いです。

 同じ日本人がK-POPで活躍しているという親近感から、日本人メンバーに注目するようになり、そしてその多くがギャル要素を身に着けていたことから、改めてギャル文化に着目するようになったのです。

2. ギャル文化が加速した2022年

 このようなK-POP第4世代の流行を背景に、ギャル文化はさらに加速しました。厚底シューズやミニスカート、ルーズソックスなどのギャルを彷彿とさせるようなY2Kファッションが少し前から流行っていたことからも分かるように、ギャル文化を受け入れる下地は既にできあがっていました。

 そこに、”相手のことも自分のこともポジティブに尊重する”というギャルマインドへの憧れが加わりました。多少美化した理想像かもしれませんが、Z世代はギャルを多様性の象徴として捉えています。

 TwitterなどのSNSでは、ギャルが出てくる漫画をよく見かけます。そこで登場するギャルは共通してみんな寛容です。みんながあまり話しかけないクラスのオタクくんにも分け隔てなく接する。みんなが異質だと遠ざけるものも、偏見なくすぐに受け入れる。みんなが変と言うものでも、自分がそれに好きな部分を見出したら、好きなものは好きだと臆せず言う。

 このようなギャルマインドは、まさに多様性や個性を重んじるZ世代にマッチするものでした。多感な時期からSNSと一緒に成長してきたZ世代は、毎日のように新しい価値観に接しています。SNSの世界では「オタクくん」も「異質なもの」も「変だと言われるもの」も、平等に自己表現の機会が与えられていて、Z世代は常にそれを目にしています。

 まるで川の上流にある角ばった石が、流れていくうちに削られて下流では丸い石になるように、Z世代は、SNSの世界でたくさんの価値観に接して、いわば良い意味で”削られている”人が多いように感じます。排他的な性格でいるよりも、寛容な性格でいることを選ぶ方が生きやすいため、そのようなマインドをもっているギャルの生き方に憧れを抱くのです。

 ギャルマインドを持つことを、ときに「ギャルを心に住まわせる」と表現することがあります。キャッチーで分かりやすい表現ですよね。

3. 傷つきたくない調和性重視のZ世代

 Z世代は、誰も傷つかない調和性に心地よさを強く感じる傾向があります。特定の人をしつこくイジって笑いをとったり、外見など本人の努力で変えられないことをとやかく言ったりするのはダサイ。そして「誰も」の中には、もちろん自分自身のことも含まれています。

 SNSの普及の弊害といえば、それまでは接することのなかった界隈に触れて、他人と自分を比べてしまうことです。Z世代は多感な時期から、この弊害と隣り合わせで生きています。

 自分より充実しているように見える人をインスタで見かけたり、自分より可愛い女の子が踊っている様子をTikTokで見かけたりして、本当なら知らずに済んだような「上には上がいる」ものに触れる機会が多いZ世代。そのような劣等感を抱きやすい環境で、差異を”自分らしさ”として受け止めることはすぐにできることではありません。

 だからこそ、その僅かな差異で苦しんでいる相手を尊重することが、巡り巡って自分を尊重することに繋がるとZ世代は直感で分かっています。

 あまりにも価値観が細分化している今、いつ自分がマイノリティになるか分かりません。だからこそ普段から自分がマイノリティを受け入れることで、いざというときは相手も自分を受け入れてくれることを期待します。ギャルマインドは、傷つきたくないというZ世代の強い思いに寄り添ってくれたということができるのではないでしょうか。

4. 多様性を裏付けてくれたギャルマインド

 「Z世代といえば多様性」ということは、今まで何度も言われてきたことですが、それを裏付けてくれるような具体的な文化や例はあまりなかったように思います。今となっては、まさにギャル文化がZ世代のありかたを象徴してくれるような存在になりました。

 思ったよりも繊細な方法で、自己肯定をしているZ世代。それをポジティブに、かつわざとらしくないフラットな方法で受け入れてくれるような文化はこれからも長くZ世代に刺さりそうです。



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