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風をあつめて

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小さな小さなメルヘン集 風をあつめて 目次 1、くものバス停 2、花てまり 3、月見草のおもいで 4、よもぎが原の魔女 5、さよならのわすれもの 6、ぼくをうたないで 7…
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#短編小説

いつか 大空へ

 四年生の教室で、ひとりの少年をかこんで七、八人の男の子たちが、くちぐちにさけんでいました。
 女の子のしらせで、先生がとんできました。
「どうしたの?」
 先生のしつもんに、少年は、こたえようとはしません。かわりに、
「じゆんが、空をとびたいなんていうんです」
 少年をとりかこんだ男の子のなかで、いちばん大きな子がいいました。
 先生は、なんだそんなことなのという顔で
「どうして それがおかしい

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ぼくをうたないで

ぼくをうたないで

 小さな国のおはなしです。
 

 森のはずれに、ロコという少年がすんでいました。
 ロコのとうさんは、狩り人。けものうちの名人です。
 ある日、とうさんが大ケガをしました。足をすべらせて、ガケからおちたのです。ロコは、うごけなくなったとうさんのかわりに、てっぽうをかついで森にはいりました。
 しんぱいするかあさんに、「ロコだって、ウサギぐらいならやれるさ」と、とうさんはわらぃました。
 ロコは、

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