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幸せのリハビリ

1年半の休学と半年の逃げ、合わせて2年間の足踏みから一歩踏み出した今学期、復学して半年を終えた。

学期中はするべきことのストレスでいっぱいで、色々なことができなくなった。
休学期間に始めて週に2,3回行っていたダンスは、この4ヶ月の間、一度も行けなかった。
大好きだった映画鑑賞も、心にも時間にも余裕がなくて、感情を揺さぶられるのが怖くなって、観られなくなった。
ご飯が食べられなくなった。美味しいと思えないし、ずっとお腹がいっぱい。生きるために無理矢理押し込んでいた。
友達と遊ぶのが怖かった。ずっとto doが頭を占領していて、元気に笑えない時間が来るから。
ネイルに行くのが苦痛だった。待っているたったの2,3時間が何十時間にも感じられて、その場から逃げ出したくて、楽しみが恐怖に変わってしまった。

他にもたくさん、趣味という趣味が、苦しみの中やり過ごすために息のできないまま無理矢理していた記憶がトラウマになったり、すべきことが頭から離れず先の不安が不安を呼んで幸せだという感情が消えていったりして、綺麗になくなってしまって、悲しかった。

春休みに入って、少しずつ幸せのリハビリをしている。
最近の幸せを綴ろうと思う。

まず4ヶ月ぶりにダンスに行った。
やっぱりトラウマがこびりついて、不安でいっぱいだったけれど、ストレッチと共に心もほぐれていった。
体をいっぱいに使って、気持ちの良い音楽に合わせて踊るとそれだけで多幸感に満ち溢れた。
小さな頃から、踊り続けて18年くらい。
いつだって踊ることは私を明るくさせてくれるはずだった。
踊りを嫌いになりたくない。
だからこの4ヶ月は、必要な空白だったんだと思えた。
途切れ途切れでもいいから、ゆっくりでも少しずつでもいいから、ずっと踊っていよう。
踊りをずっと好きでいよう。

『夜明けのすべて』を観た。
長回しのエンドロールがよかった。
PMSもパニック障害も、それと自死も、遠くない存在ではあるけれど、そんな「タイトル」は関係なくて、とにかく優しかった。
どんな人にも幸せでいて欲しい。そしてそれは不可能ではないと思えた。
映像の美しさに暖かみがあって、それを感じられる私になれたことが嬉しかった。
ずっと見られなかった映画が、好きだと知れた。

「Laura day romance」のライブに行った。
ずっと好きだったバンドではあるけれど、半年くらいはじっくり聴けないでいたし、1人で夜を過ごす恐怖もあって、やっぱり楽しみだけで足を運べたわけではなかった。
結果、とてもとてもよかった。
『魔法は魔女に』の歌い出し、「最近の僕らといえば」が聴こえた瞬間、涙が出た。
2年近く前、恋人と買い物の帰り、無人駅で電車を待っていたことがあった。
私は人が少ないのをいいことに、『roman candles』を流し、曲に合わせて踊っていた。
「恥ずかしいよ」と笑う彼に、聴きすぎてすっかり曲順も覚えている私は、『little dancer』の「冷めた体温でもステップを踏む」のあと、「次は『最近の僕らといえば〜』だよ」と得意気に言った。その通りに曲が流れて、「ほらね」と2人で笑い合った。
その時の何気ない幸せな空間が鮮明に思い出されて、同時に色々なことを乗り越えてきた自分たちを振り返って、思わず泣いてしまった。
音楽には思い出が綺麗に結びつく。
もちろん奏でる音は素敵で素晴らしかったけれど、そんなふうにかつての幸せを思い出せたことが幸せだった。

恋人と覚王山の街を歩いた。
何か目的があるわけでもなく、せっかく空いた時間をゆっくり贅沢に使って、ぶらぶらと歩いた。
いつかの夢の話をした。
「社会人になったら、東京で2人暮らしをしたいね。」「あんな街に住んでみたいね。」
「仕事から帰ってきたら、2人でスーパーに行って、好きなものを買ってきて、ご飯をつくろうね。」「片付けはきっと2人ともサボるから、ちゃんとルールを決めてやろうね。」
お花屋さんを覗きながら、「2人暮らしをしたら、時々お花を買って飾りたいね。」「それならお部屋を綺麗にしておかないとね。」
就活はしたくないけれど、将来は怖いことでいっぱいだけれど、きっと社会人になるのも悪くないな、それはそれで結構楽しみだな、と思えた。

会うべき友達と会って、美味しいご飯を食べた。
それぞれ環境は変わっていくけれど、いつもの明るさは変わらなくて、大して中身のない話をすることも変わらない。
最初から最後まで楽しいと思えたことが嬉しかったし、何よりご飯がおいしかった。

今月のネイルは辛くなかったし、「光る君へ」の柄本佑がイケメンすぎるし、ラッシュで入浴剤を買って入るお風呂がマイブームで、真空ジェシカをテレビで追って、数組の芸人さんのラジオを車で聴いて笑っている。
日々が明るい。明るくて強い。

今日は幼少期からの大親友に会いに行った。
地元でご飯を食べて、ドライブをして、それから古民家のカフェに行った。
よく頑張ったね、偉かったねと互いをたたえた。
4月になったら、簡単には会えなくなる。
1歳だった私たちが、社会に出て、それぞれの場所で自分の力で生きていく。
不安なことでいっぱいで、強くない私たちはちゃんと生きていけるのかわからない。
でもね、きっとあなたなら大丈夫だよ、とお互いがお互いを想っている。
そんな関係の友達がいて、幸せだ。

それから今日は、なんとなくこの幸せを絶ちたくなくて、友達を家に送り届けたあと、ドライブを続けた。
「roman candles」を流しながら、途中で本屋に寄った。
なかなか本を読むことがない私が珍しく本を読みたい気持ちになったので「汝、星のごとく」を買った。
映画「流浪の月」を観て、小説を買った凪良ゆう先生の小説だ。
大好きな映画。楽しみだ。
アルバムが一周して、暖かい気持ちになりながら、お家に入ってこれを書いている。

たくさんの苦しみを越えてきた。
学期中の苦しみは辛かったけれど、それよりも暗くて恐ろしい夜もかつていっぱいあった。
それでも私は生きている。
生きているのだから、幸せを感じたい。
それくらいの傲慢さがあってもいいと思う。
生きているなら幸せになれるということを忘れないために、少しずつ幸せを摂取する。

私は幸せになることを絶対諦めない。

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