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【歌詞を読む】宇多田ヒカル 「花束を君に」

※2016年のブログ記事を転載

NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の主題歌、宇多田ヒカル「花束を君に」

朝ドラ「とと姉ちゃん」は、「あまちゃん」や「カーネーション」「マッサン」のように毎日泣ける!笑える!ハマる!と言うほどではないが、なかなかの佳作で毎朝、見ている。
だから主題歌も毎日、繰り返し聴いているので、いつの間にやら無意識に歌えるようになった。

宇多田ヒカルさんの曲は以前から好きなのだが、この曲もやはりいい。
彼女の歌には、なんとも言えない悲壮感がうっすらと漂う。

「花束を君に」は、大切な人に自分の愛情や感謝など
言葉にしきれない想いを花束に託して手渡したい、という内容なのだが、
根底に深い悲しみを感じるので、大変切ない。

自分が大切に思う「愛しい人」に

♪どんな言葉並べても
♪真実にはならないから

と歌う。

それほど大切な人なら、愛しいなら、
もっと必死になって、力の限りあらゆる手段で、自分の気持ちを全て伝えたいのが人情じゃないか?
愛しい人には、自分の想いを受け止めて、理解してもらいたいものだ。
そこから二人の関係は始まるのだから。

ところが、彼女はこの歌詞中でそういう人間として基本的な、
要求して当たり前のところを、既に完全に諦めている。
そこを諦めてしまうのか?それでいいのか?と思うくらい。

相手への気持ちが複雑過ぎて、自分でも
上手く表現できないくらい様々な感情が入り乱れてしまうこともある。
だから、とても一言二言の言葉では「真実にはならない」。
 
それと…
宇多田ヒカルさんはお母様を突然亡くされたので、
愛情や感謝の気持ちを贈るのに、
今からでは直接伝えようにも伝えられない、
苦しい悲しみをたたえた曲になっているのだろう…。
だから、花束は涙色。
 
曲全体の強弱で、張ってくるところが
「真実にはならない」「足りない」と
自分の非力を強調する歌詞になっている。
 
愛しい人へ花束を贈る曲なら、強調するところは相手への感謝だとか自分の気持ちの部分がくるべきだ。
ところが彼女は、そういうところをバッサリと諦めて、
自分の万の言葉より小さな花束のほうが、より伝わるとしている。
 
そこが逆にリアルで、共感を呼ぶ。

今は亡き人への深い想い、
或いは…
言葉を尽くして相手に思いをぶつけて、正確に伝わらない、ちゃんと受け止めてもらえない悲しさやつらさも
皆、それぞれに経験のあるところだから。

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