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お客さんを好きになってしまった話②
「仕事辞めて欲しい。嫉妬をコントロール出来ない、辛い。お金ならサポートするから。」
思いが通じ合ってから間もなくこう言われてしまって、(きたか…)と思った。
風俗で働いてる女と付き合って、その仕事を心から応援出来る男などほぼいないだろう。
だけど私は応援して欲しかったのだ。
彼は元々お客さんだし、私が頑張って働いてる事を知って見ている存在だからこそ。
でもお客さんだからこそ、それが無理なんだろう。
「…正直昔の仕事に対していい加減な私ならそんな風に言ってくれたら嬉しくて辞めてたかもしれない。でも今はお客さんの事ちゃんと大切に思ってるから、辞めたいとは思わない。」
「……じゃあ俺がお客さんに戻っても会ってくれる?」
「どういう事?」
「今の関係が辛い。他のお客さんと同じ様にお客さんとして大切にして貰えるならその方がいいのかもしれない、俺は。勝手だけど。」
「……貴方がその方が楽になれるならそれでもいいよ。」
その日の話はそこで途切れ
翌朝LINEが入っていた。
(やっぱりめちゃくちゃ会いたい)
(どうしようもないや)
同じセリフを私の方が言いたいわ、とツッコミ入れたい。
私だって辞めたいよ。
好きな人が好きになってくれて、お付き合いして好きな人にだけ抱かれる生活を夢見たりするんだよ、女だからさ。
でも絶対に辞めないの。
それは貴方が既婚者だから。
LINEのやり取りを始めて2日後に、打ち明けられてものすごくショックだった。
なんで嘘ついたの?
最初から言ってくれたら好きにならなかったのに、って。
この時点では仕方ないや、癒しのお客さん枠として気持ち切り替えよ~!と思ってた。
それなのにLINEのやり取りを重ねて、お店に会いに来てくれるのを重ねるうちにどんどんどんどん好きになっていってしまって止められなくなった。
そのうちお店以外で会いたいって言われる様になって、私もめちゃくちゃ会いたかったけど、会ったらダメだ既婚者なんだから…と頑張って交わしていたのに、度重なる誘いに根負けしてしまったが最後だった。
夜道を散歩して
カラオケに行って
軽いキスをして。
高校生みたいなデートで完落ちしてしまった。
これは地獄のはじまりなのかもしれない。
それでもどうしても止められなかった。
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