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【エッセイ】元自衛官。

こんばんは。

今日は、ブライダル業界で出会った人、3回目です。

私が入社して、1年半くらい経過した頃、取引先が増えてきたこともあり、増員しようという話になりました。

と言うのも、当時、私は挙式を1人で任されており、私の代わりがいない状況でした。

ですから、風邪を引いて熱を出そうと、そんなのお構いなしで出勤させられていました。

拘束時間12時間、ランチもなければ、トイレにも行けないそんな状況でした。

そこで採用されたのが、Eさんです。Eさんは、20歳の元自衛官。色白で目鼻立ちのハッキリとした子でした。

私の直属の部下として配属されたのですが、不思議な子でした。

まず、生い立ち。両親が離婚していて、今は血の繋がらない末期がんの母親と2人暮らしで、血の繋がった身内はいない。元自衛官で、戦闘機の訓練の時は、毎回気を失っていたそうです。

高校生のころ、病んで精神的疾患(確か双極性障害と言っていたはず)になって、現在もその状況が続いていて、幽霊が見えると言っていました。(私、個人的には幽霊ではなく、幻覚だと思っていました。)

彼女は、私の仕事を覚えなければいけなかったので、挙式での責任者として動いてもらわなければなりませんでした。

その内容は、挙式当日のご新郎ご新婦さまへのリハーサルから、式本番までです。

また、牧師、奏者はうちから派遣されたスタッフが執り行うので、そこへのフォローだったり、挙式に参列されるお客様への接客も含まれます。

トータルで、多い時は100名くらいの方の動きを見て、即判断し、式が滞りなく終了させなければなりません。

まず、リハーサルは、15分以内に終わらせる(間に写真撮影もあります)必要があり、そのリハーサル原稿はA4用紙3枚分にも及びます。

それを、1組1組の進行に合わせて言葉を変えて説明しなければなりません。

Eさんは、これが全く出来ませんでした。何度かやってもらいましたが、とても本番でやれるレベルではありませんでした。

多分、Eさん自身もそれが分かったのだと思います。

ある日、引っ越しをして、自分がアパートの管理人になったという話をしてきました。20歳で、アパートの管理人?とおもいましたが、まぁそう言うのもあるんだろうなぁくらいに流していました。

その引っ越しでは、自分の背丈以上の冷蔵庫を2階まで運んだと言っていました。いくら元自衛官でも、それは無理では?と思いながら…。

数日後、今度はそのアパートの郵便受けにいたずらをされるようになって、テレビが取材にきたと言い出しました。

その日の夕方のニュース番組を見ましたが、そんなニュースは流れていませんでした。

暫くして、今度は生き別れた父親が自分が使っていた軽自動車も持ち逃げされたと言い出したのです。

そもそも、鍵はどうやって入手したんだい!と思いつつ…。

しまいには、持ち逃げされた車を取り返す為、父親と裁判で争うことになったので、会社を辞めて裁判に集中したいと。

多分、半年くらいしか持たなかったように思います。

私のようになりたい!と目をキラキラさせていたのですが、実際どれもが本当だったのかは、疑わしいです。

1つ付いた嘘に、更に嘘を重ねてしまったのかもしれませんね。

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