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原隊ニ帰レ〜宮部みゆきさん短編『8月の雪』を思い出す

 泥棒猫です。


 明日から6月。

 私の住んでいる地域では会社も学校も普通に戻るところが多そうだ。この土日は大型ショッピングモールもなかなかの人出だったようだし。


 本当に不謹慎な言い方で申し訳ないけど、何事も終焉するときはあっけない。今回のことにしても沢山のことが変わっていくのだろうけど、それでも日常は続いていくのだから、営業はそろそろ訪問できなかったお客さんのところに行くだろうし、出張だって7月にはフツーに行くだろう。


 そう。みんな持ち場に戻るんだね。

 明日から在宅勤務から普通に出勤することになる彼と話してたら、頭に浮かんできた言葉。


『原隊ニ帰レ』


 なんだっけ、これ。

 2.26事件だよね。

 そうだ。宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』にも出てきたし、短編の『8月の雪』にも出てきた。

 手元にないのでうろ覚えだけど、今の心情は『8月の雪』に近いかな。

 確か、いじめグループに絡まれて不幸な事故で脚を切断する大事故に遭ってしまった主人公の中学生男子が、死んだおじいちゃんの文箱から若い頃のものと思われる遺書を見つけて、立ち直る一歩を踏み出す話だった。その遺書が、2.26事件に関わることだったんだ。

 

 私たちは、今回のことでちゃんとできたことも、愚かな行動をしてしまったことも、必要以上に不安になったことも、同調圧力のような息苦しさも、それでも心温まることや新たな繋がりも、いっぱいいっぱい経験したし、見聞きした。

 ちょっと熱に浮かされたような、非日常感は絶対にあった。と、私は感じた。でも真剣だった。


 そこから、自分の守備に戻ろう。

 

 原隊ニ帰レ。です。



※写真は2年前、仕事の関係で見ることができた自衛隊の記念式典時に撮影したものです。一度にたくさんの精悍な男性と女性を見ることができ、福眼でした。

 


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