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【エッセイ】本音と建前①。

こんばんは。

ブライダル業界で出会った人シリーズ。締めくくりは、この人にしようと思っていました。リンゴさん(仮名)です。彼女のSNSから取った名前でお送りしていきます。



リンゴさんは、私がブライダル業界に入り、挙式を担当し、しばらくして一般応募でうちの会社に応募してきた人でした。

挙式の奏者は、ほとんど伝手で入社していたので、一般応募は後にも先にもリンゴさんだけでした。

奏者は、面接+演奏のオーディションがあります。事前に課題曲の楽譜を渡し、会場で演奏してもらいます。

リンゴさんは、声楽を学んでいたので、聖歌隊(挙式で讃美歌などを歌う人)としてでした。

面接もオーディションも、私が担当して、入社してもらいました。

声楽をやっている方は別ですが、楽器奏者の場合、大概お金に余裕がある家系の出身の方が多く、少し一般常識から逸脱した方が多かったです。

なぜなら、一般企業で働いた経験がなく、自分の人生の殆どを演奏に注いできたり、親御さんもある程度の地位にいたり、演奏者だったりするので、なかなか理解し難いものがありました。

リンゴさんは、それとは違い、自分自身で道を切り開いてきた人だったので、苦労人でした。大学を卒業し、弁護士になる為の勉強もしながら、演奏活動もし、派遣で働いていたからです。

私は、あまり仕事関係の人と外で会うことはありませんでしたが、リンゴさんとは感覚的に近いものがあったので、私が会社を辞めたあとも、仲良くしていました。

リンゴさんが、派遣の仕事を辞めた後、IT企業の法務関係の仕事に就きました。私はその頃、保険会社に勤めていて、たまに近況報告も兼ねて、2人でご飯を食べに行っていました。

リンゴさんは、弁護士を目指していた彼氏が居たんですが、その彼氏とはお別れをして、心機一転といった感じで順調そうに見えました。

一方、私は保険会社に憧れを持っていたものの、営業が向いておらず、人と話すのも辛く、成績を上げられず、このまま働いていていいのだろうかと思い悩んでいました。

リンゴさんは、自分の勤めている会社の人事部で人を募集することになったと話してきました。よく話を聞くと、自身が上京して新たな仕事をするように動いているから、仕事を引き継いでくれる人を探しているということでした。

元々、人事部にいた別の方も、家の事情で地元に帰ることになり、その代わりも併せてしてくれるような人をと。

そこで、リンゴさんからうちに入らないか?と声を掛けられました。

私は、リンゴさんは暫くぶりに出来たちゃんと話の出来る友人として信用していたので、まずは会社に行って話を聞いてみたいと伝えました。

それを持ち帰り、上司に話した結果、後日簡単な面接をするから、履歴書を持ってきて欲しいという話になりました。

とんとん拍子に進み、面接、契約書面の提示があり、保険会社に退職の意を伝え、1カ月後にこちらにお世話になることになりました。

これが、私の人生において奈落に落とされる経験になるとは、この時は想像もしていませんでした…。

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