初めまして、恋でした。|第3話



大地はトイレから戻り、再びコスモワールドの入り口に立った。ポップなアルファベットの看板が夜空に輝き、人々の楽しげな声が辺りに響く。

しかし、大地の心はざわついたままだった。時計を見つめ、時の流れが遅く感じられる。

「本当に来るのかな?」大地は自問した。友人にはここで待つと伝えたが、具体的な時間は決めていなかった。時計の針はじわじわと進み、夜の空気が少し冷たくなってきた。

「待っている間に何か食べようかな。」大地は近くの屋台に目をやり、

カラフルな綿菓子を見つけた。子供の頃から大好きだったその甘いお菓子が、今の自分を少しでも和らげてくれるかもしれないと感じた。

綿菓子を手に取り、ゆっくりと口に運びながら、過去の思い出が蘇る。あの初恋のひととの思い出。学校の帰り道、一緒に寄り道して食べた綿菓子の味が蘇る。笑顔で話す彼女の姿、手を繋いだ

瞬間のドキドキ。そんなことを思い出すと、自然と笑みがこぼれた。

現実に戻り、再び時計を見つめる。彼は本当に来るのだろうか?いや、もしかしたら別の誰かが来るのかもしれない。でも、それも悪くない。新しい出会いが待っているかもしれないし、新しい友人ができるかもしれない。

そんなことを考えていると、遠くから人影が近づいてくるのが見えた。大地の心臓が一瞬、高鳴った。もしかして彼なのか?近づくにつれて、その姿がはっきりと見えてきた。彼ではなかったが、その人は明るい笑顔で大地に手を振っていた。

「初めまして、大地くんだよね?」その人は友人が話していた人だった。

「そうです。初めまして。」大地は少し緊張しながらも、手を差し出した。

「今日はありがとう。友人から聞いて来ました。実は、ずっと君に会ってみたかったんだ。」

その言葉に、大地の心は少し和らいだ。彼が来なかったことは少し残念だったが、新しい出会いが待っていることに気づいた。そして、その出会いが新しい物語の始まりになるかもしれないと感じ

た。

「こちらこそ、ありがとう。じゃあ、少し散歩しながら話しましょうか。」大地は綿菓子を手に、相手と一緒にコスモワールドの輝く灯りの中を歩き始めた。夜空には星が輝き、彼らの前には無限の可能性が広がっていた。

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