見出し画像

屋久島を学ぶ②山の日:楠川前岳

■実は!屋久島は山がすごく多い

屋久島の山の数は正式に調査&公表されていないと思いますが、2016年の岳人で太田五雄さんが「屋久島の山134座」と仰っています。(屋久島の地図作りに人生を捧げた男より)

屋久島って「島」だから小さいと想像している人も多いと思いますが、急峻でカッコイイ山、岩壁ヤバイ山、自然アスレチックな山、森がおもしろい山、巨石のある山、苔がたまらん山、ヤブヤブすぎて報われない山(笑)などなど、さまざまな特徴をもつ山が連なる場所でもあります。

九州最高峰であり、100名山の100座目は屋久島の宮浦岳。
九州内で山の高さ1〜8位は屋久島!

画像1

すごくないですか?

134座ぐらいの山がこの島の中央にギュンッ!!とつまってる。わたしはそこに度肝を抜かれました。そんなにあるのかー!!いつか全部行ってみたい!!なんて。

画像12


■山に詣でる岳参り

島には岳参りの文化があって、山には江戸時代から置かれている祠もあると聞いたときは、興味がむくむく!

岳参り(タケメイ)
鹿児島各地方で一般的に行われる行事で、(中略)山祠に参り、ツツジなど花木を折り取って持ち帰り、麓ではサカムカエの宴でこれを迎える。
(中略)
屋久島では、屋久杉伐採に伴う神事としての意味が強いようである。各集落によって期日はさまざまで、春秋2〜3回行われていたところも多い。現在は廃れたり、登る山を減らしたところが多いが、その一方で、廃れていたが世界遺産登録以降に再興した、という集落もある。

引用:屋久島公認ガイド読本 屋久島学ー屋久島町エコツーリズム推進協議会

現在では五穀豊穣や家内安全などを願いに、年1〜2回行われているみたいです。昔は天然痘をさけるためか「疱瘡退散」と刻まれた石碑も山で見かけました。そのときそのときの願いや想いを託して、岳に参っていたんだろうなぁ。

■今回登った山:楠川前岳

主に岳参りの山には一品宝珠大権現が祀られていますが、ポツリポツリと違う名前がかかれた祠があるらしく、今回はそこへ行きたい!!のリクエスト。

そのひとつが楠川前岳。
一品宝珠大権現も右から二番目にちょこんとあります。

画像2

画像3

祠は同時期に置かれたものではなく異なる時代に置かれたもので、山頂で推察を聞きながら、物がもつ時間を考えていました。

屋久島には祠や石碑の歴史的な記録がほとんど残っていないようで、これはいつ誰が置いたのだろう?とか、彫られた文字が苔や地衣類の浸食でみえなくなりつつあって、祀ってるもの自体が不明だったり。けど「きっと推察するに○○ではないか?」とか、その時代背景から考えたりする(ほぼ教えてもらってるだけ)のも楽しい。

そして記録は大事だと改めて感じる。今を生きるわたしたちは、後世に残すなんて全然意識してないよなぁなんて思ったり。

画像4


■山頂以外の道も、発見が多くてたのしい!

画像5

ツチトリモチ。
最初キノコだと思い込んでました!実は植物の根に寄生する植物で、この地上に出ている部分はお花なんだってー。えー!なんてことだ!驚き!!
主にハイノキに寄生しているらしく、こやつをみかけると「あ、ここはハイノキエリアなんだなー」と思うようになります。


画像6

ヌメリツバタケ。
食べれるキノコ。味のないナメコみたいな感じらしい。角度をかえて撮ったら粘菌の子実体みたいに見えました、笑。わたしは粘菌の変形体と子実体を観察したいと切望していますが、まだそれを見つけられる目をもっていないようです…。


画像7

この裏はモッサモサの苔。ヒノキゴケかな?
剥がれで落ちてひっくり返ったら、ニューフェイスな苔たちが住居し始めた感じ?環境・状況が変わったんだね。隙あらば!!な感じのいきものたちは、みてておもしろいなぁと思う。


画像8

「そこは危険ですよ」

見上げると枯れたツガの樹。
枝が折れて落ちてきたらたまんないとのこと。ツガは枯れやすいのかぁ。近くを通ったときはすぐ上を確認するということを学びました。

そして歩いていると、前回の植物を見る目をつくる講習の追加課題が!「これと、これと、これはなんでしょう?」ウルトラクイズドン!!似たような枝葉を3つもらうが、全部違うらしい。ううう。
なんだかデザイナーになりたての新人時代を思い出す…笑。何が良い悪いデザインかが全く見分けつかなかったなぁ。

答えばかりを急がず、ちゃんとポイントを観察する!とにかく考える!は、共通項だとおもう。

初心…


■目にみえるも全てが、たのしい

画像9

※こちら写真をお借りしました!

小原さん(YNAC)と歩いていると、気にしてなかったものが実はすごい仕組みだったり、そこから派生する話がおもしろい。聞いたことの単純な答えだけではなくて、なぜそうなったかの背景まで含めて話をしてくれるから、興味が爆発しちゃうんだよなぁ。

ツチトリモチの話ひとつにしても、寄生植物の話や宿主との関係、根茎から鳥黐(とりもち)というものが取れて昔はそれで鳥を獲っていて〜とか、どんどんどんどん派生する。一緒に歩くと100くらいは知らない言葉を耳にするので、「はい!メモさせてください!!」と単語をメモしています。その言葉をなんとなく認識していると、目につくようになったり、あれ?この前この話…とか繋がってきたりします。

しかも最近おしゃべりした研究者の方々や、ほぼ日の学校(ダーウィン講座)で学んだワードも出てきたりしてダブルで勉強になる!

点が線でつながってきて、たのしい。


画像10

※こちら写真をお借りしました!

楠川前岳は、岳参りで集落の方が歩くぐらいなので、道は整備された登山道とは全く違います。登山口にも警告があります。歩いていて、踏み外したら危険だなと思う箇所もありました。

ひとりで入ると滑落時に助けてもらえない、また道迷いのリスクも高いので、ガイドさんと2人以上で入りましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?