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屋久島を学ぶ④山の日:1074峰とカンカケ岳

11月末のこの日は、1074峰とカンカケ岳の縦走でした。
ん?1074峰??

■1074峰って?

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屋久島の西にある山で、名のない山です。
岩壁が好きなわたしに「1074峰は、いい山ですよ。」と、この 屋久島を学ぶシリーズではお馴染み?の YNAC 小原さんがオススメしてくれました。

さすが…!!!無名の山でも、おもしろそうな場所は歩きに行っているのがすごい…。その嗅覚はなんなんだろうか…いや、好奇心?探究心??


■無名だけど、実は昔は道があった

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手前の石段しかわからないけど、たしかに道の跡だ!

屋久島は、今でこそ沿岸に国道が通って街を行き来するのには便利ですが、整備されていない時代は危険な岩場であり崖でした。そこを通るよりは、山を歩いたほうが同じ険しさでも短距離かつ安全だったので、山には昔使われていた道の跡がちょこちょこと残っています。
この1074峰に向かう道にも、栗生という町にぬける旧道がまだ少し残っています。こんなところを歩いていたのか…と、歩きながら昔を想像してみたり。


■道がないので沢を登る

道自体は途切れながら3分の1くらいは残ってて、あとは崩れたり倒木があって通れませんでした。そう、屋久島の山の特徴のひとつは、崩れるところ。

島のほとんど(約9割)は、マグマから地表をググググ〜〜ッと押し上げて冷え固まった花崗岩でできています。そのため岩の上に蓄積した苔や砂や土などの層は薄く、台風や大雨の影響で斜面からよく崩れ落ちます。なので整備されている登山道でも、通行止めになったり迂回ルートが作られることもしばしば。人がこない山は、ルートファインディングが必須になります。
(ただ、この崩れは悪いことばかりではなく、新たな植物が育つ循環でもあり、豊かな森ができる理由のひとつなのかなと思います。)

そしてここでも道が崩れていたので、地形を読みながら沢をよじよじよじ登る。

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わたしはついて行ってるだけなので、ひとりだったら「うん、帰ろ…」となるルート。「周囲をよくみてください。谷がありますね。ほらここにも。ということは、いまこの地点です。」と地図を指差しながら教えてくれます。
目の前の景色と地図の地形が一致するのはおもしろい!ただ、ひとりじゃまだまだすぐにピンとこないなぁ…。


■沢登り以外は藪漕ぎ

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沢以外は藪漕ぎで、ホウロクイチゴのトゲトゲが絡みつきながらブッ刺さってきたり、アセビやハイノキの葉に顔をなでられまくったり、サクラツツジに身を任せながら下ったり。(腐りにくく安定していて、なおかつ掴みやすいので、サクラツツジパイセンと呼んで気に入っている)
そしておニューの軽量化ザックには穴があきました!あたー。でも全身で触れながら歩くのってなんだか好きなんだよなぁ。大変だけど。

大きい樹が倒れると、そこに陽射しが入るようになって藪になるらしい。だから距離的には割と短い藪が何度か続いていました。人が入らない場所はどこでも派手な藪になると思ってたから、びっくりした!


■知っていても口に出して再確認

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倒木に粘菌がいて萌える

藪を抜けて、ちょっと急な斜面を歩く。

「枯れ枝に気をつけてくださいね。」

以前、枯れ枝をつかんでバランスを崩したことがあるので、頭では理解していました。けど2度あることは3度あるし、意識してても 疲れ・見落とし・タイミングなどの要因はいくつもあって、可能性はゼロじゃない。都度の口頭確認って大事だなと改めて感じながら歩いていました。「慢心はケガのもと。つねに初心…」と、そのときふと思いました。

人が入らない道は、枯れ枝をつかんだり、落ち葉が堆積した樹の根の隙間に落ちたりするので慎重に。


■山頂は突然ひらけたパノラマ絶景

ガサガサ藪をかき分けていたら、突然ひらけた!!

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目の前には国割岳。左奥には障子岳!

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右をみても左をみても海!!海岸まで続く山のシルエットも美しい…

1074峰の山頂は絶景で、国割岳の岩壁もカッコいいし、わたしの大好きな障子岳もみえるし、国割正面にすると両サイド海だし、いろいろ「わー!!!」ってテンションあがる!素敵だったー!

山頂で食べるご飯は、なんだかうれしかったなぁ。

ただ、1074峰自体は左右とも急斜面。
落ちるとヤバイ。
体はそこまで、はしゃげない…!!


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1074峰を見ながらカンカケ岳へ向かう。

このあとはカンカケ岳へ。カンカケまでは藪漕ぎ多し。あと小ピーク超えるのに2回ぐらい緊張走る。写真を撮る余裕がなかったので、レポートはここまでー。


■全工程を通して

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ただ山頂を目指すだけではなく、植物や樹や藪の状態からその場の環境、古い森・新しい森などを教えてもらったりもしていました。
自分で見ただけでは「言われてみれば樹がちょっと細いかなー?」とか「藪はずっと続くのかなー」ぐらいしか思わないけれど、それってすぐ目の前のことだけしか見てないんですよね。過去を含め、いまのこの状態はどうなっている?って予測しながら見ると、また見え方が違うんだなぁと感じました。

そして以前に小原さんが「屋久島では行けない山はないですよ。」と言っていたことがあって、その意味が今回やっと理解できました。
整えて用意された道を行くのは安全性が高いけど、地形を理解して地図を読めばアプローチは増えるし、安全に行動するための知識や技術を持てば実行可能ってことなんだろうなぁ。それができる人は、なんだかすごすぎてまぶしい…

けど、それって自分の仕事に置き換えてもそうだよね。というかプロフェッショナルってそういうことだよねと考えていたのでした。

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最後、カンカケ岳からおりて林道を歩いていたら、大好きな障子岳がみえたー!!大興奮っっ!!かっこいいー!!!

森歩き山登りを通して、時代の余韻や、森の状態、屋久島の地形のすごさ、プロの仕事などを、まるまるっと学べた1日となりました。

すごくいい経験だ!!

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