亀の歩み⑤(880字)【完】
夢を見た。
小さい頃の夢だ。体が熱くてだるくて、遊びに行けず泣いている私のおでこに、誰かが優しく触れた。
「あゆみ、大丈夫か?かき氷、食べるか?」
「……うん」
誰だろう。顔が見えない。
「他にもいっぱい買ってきたぞぉ」
その人は持っているものを一つずつ見せてくれた。たこ焼き、りんごあめ、チョコバナナ、ヨーヨー、お面……そして、
「これは、あゆみの好きな亀だ!」
「かめ?」
「そう!あゆみのリュックにも、亀の絵が付いてるだろう?」
水の入った透明なビニール袋の中に、小