見出し画像

「KAGAYA 星空の世界展~カメラがとらえた天空の贈り物たち」

 わたしの仕事部屋にはカレンダーが2本かかっている。1本は、世界の美しい街が月替りで登場する2023年度のカレンダー。もう1本は、12枚の「星空」をめくる2022年度のカレンダーである。昨年10月、市場にカレンダーが出回っている時期ではなかったけれど、どうしてもほしくなって購入したものである。
 購入した10月の星空写真を楽しみ、11月、12月とめくっていくのが嬉しくてたまらなかったが、2022年は終わってしまった。たった3か月しか使わないのは惜しい。というわけで、今年になってからも、月日の部分を表示せず、毎月写真だけを掲示している。
 このカレンダーの星空を見ていると、気分がとても落ち着いてくる。それがKAGAYA「奇蹟の風景~天景からの贈り物 2022」である。
 そのフォトグラファーが東京で個展をやるという。絶対に行かなければならないと思っていたが、ついに観てきた。
 「リアル」の写真て、こんなにすごいんだ……どれもこれもカレンダーの何倍も「迫力」と「静けさ」が同居している。
 わたしの誕生日星座は「蠍座」。だがこの星座は、東京付近では夏の空低くにしか上がってこないので、なかなか自分で見る機会がない。だから、蠍座が写っている作品は「せっかくだから自分の星座をよく見たい」と、どうしても見入ってしまう。
 とくに月と神社、船の灯りと蠍座が1枚に入っている「神磯の月」は不思議な作品で、すぐ近くの茨城県にこの世界があるというのが信じられない。
 不思議な世界といえば、「宇宙を映す鏡」がいちばんだった。風のない夜、湖に「冬のダイヤモンド」がはっきりと映っている。反転しているオリオン座、ふたご座、おうし座が、はじめて見る星座のよう。まさに異次元、鏡の国に入ったようだ。『鏡の国のアリス』を数十年ぶりに想い出す。アリスが目的地を目指して歩いていても、なかなかたどり着けない。逆の方に行くことでたどり着ける、そんなストーリーが含まれていたはず。そうそう、こうやって人は「別の世界」に行くことができるのだと、改めて知ることとなった。
 丘の頂上にベンチのある(たぶん、わたしは実際の場所に行ったことがある)「星空の特等席」や、アラスカの空がオーロラでイルミネーションのように7色に輝く「極北の空を染めて」も、地上ではないところのようだ……。
 展覧会でひとつだけ残念だったのは、自分がとくに惹かれたこれらの作品のポストカードがなかったこと。おそらくわたしの好みはふつうの人とだいぶ違うのだろう。だから製品化は難しいのかもしれない。
 でも、「宇宙を映す鏡」は新作であるし、来年のカレンダーか次の写真集にはきっと入るんじゃないかなぁ。それを楽しみに待つことにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?