本日は宣伝です。
 JAT(日本翻訳者協会)セッションにてスピーカーを務めることとなりました。JATの公式Xからポストを貼っておきます。

 本セッションの実現にいたった背景を書いておく。
 わたしは毎日文化センターやJTFなどで翻訳校閲のセミナーをしてきた。翻訳者や校閲者の方がわたしの話を熱心に聞いてくださるが、いつも最後の「質疑応答」に大量の質問がくる。誇張ではない。まさに「大量」に寄せられるのだ。それも毎回である。みなさんが校閲者に聞きたいことって、ほんとうにたくさんあるんだなぁと、ずっと思っていた。
 そこへ先日、JATBOOK「1冊の本が出来上がるまで――編集者から見た翻訳という仕事」というセミナーを受けた。編集者であり翻訳者でもある上原弘二さんが講師で、セミナーの内容はとても興味深かった。そして、最後の質疑応答で、翻訳者からの「質問」がこれまた大量だった。時間を30分近くオーバーしたが、それでもまだ足りない、もっともっと質問したい!という場の雰囲気を感じた。Zoomであっても「雰囲気を感じる」ことができると悟ったセミナーでもあった。
 やはり翻訳者は「編集者や校閲者に聞きたいこと」を、とてもたくさん抱えているらしい。ならば、翻訳者が「聞きたいこと」を尋ねて、編集者と校閲者のうちどちらか、あるいは両方がそれぞれの立場から答えるというセッションがあってもよいのではないかと思った。
 セミナーというのはどうしても、メインの内容があって、質疑応答はサブというかおまけの位置づけになってしまう。けれども、いつも大量に質問が来るのなら、QAをメインにもってくるセッションがあってもいいではないか。
 編集者と組んでそういうセミナーをやりたいな、そうしたらもっと編集者/校閲者と翻訳者とのあいだの溝が埋まるかもしれない。ひいては「校閲者がこんな信じられない指摘をしてきた」という翻訳者の嘆きや怒りも少なくなるのではないか。
 などと、つらつら考えた。考えているだけでは仕方ない、行動しなければ。というわけで友人の編集者、川月現大さんに「出版ん翻訳者を対象に、QAメインとしたセッションを2人でできたらいいんじゃないかな」と持ちかけてみたら、言下に「やりましょう」と返してくださった。
 ではどこに持ちこむか。出版翻訳ということで、やはりJATBOOK(日本翻訳者協会 出版翻訳分科会)が適切だろうと思った。
 JATBOOK委員長の矢能千秋さんはこれまた友人である。それをいいことに「こんなセッションやりませんか?」とメールしたら、すぐに委員にはかってくださり「是非!」とおっしゃっていただいた。
 というわけで、わたしが編集者(川月さん)に持ちかけてから2日後には日程まで決まったのがこのセッションである。タイトルは「翻訳書制作の現場から――」として、編集者(川月さん)と校閲者(わたし)が少しずつ話をすることになっているが、メインとなるのは質疑応答である。
 オープンな場ではなかなか聞けない疑問や突っ込んだ話もできるよう、「録画(アーカイブ)なし」にしてもらった。出版翻訳者のみなさま、編集者にいろいろ聞きたい、校閲者にいろいろ言いたいという良い機会である。ぜひご視聴、ではなくて「ご参加」ください。答えられることには何でもお答えする所存である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?