その場で電話してくる担当者、メールで予定を連絡する担当者

 ある取引先には、複数の担当者がいる。
 仕事を発注するとき、Aさんはいつも、その場でいきなり電話してくる。「◯◯というゲラがあります。今日これから発送します。◇◇日に戻してほしいんですが、できますか(いかがですか)」と聞いてくる。
 Bさんは、メールで連絡をくれることが多い。それも、わかっているときは少し前に。「△△というゲラがxx日(yy日になるかもしれません)に出ます。▢▢日に戻していただきたいのですが、ご予定はいかがでしょうか」と聞く。
 もちろん、前もって予定を教えてくれるBさんがありがたい。Aさんの仕事は、すでに予定が入っていれば受けられない。先週この予定を知っていれば別の仕事を調整できたかもしれないが、いま電話してきて、明日から数週間拘束される案件の話をされても困ることもある。
 取引先は他にもいくつかあるし、仕事だけではなく私用(通院など)の予定も入っている。それをパズルのように組み直してまであなたの仕事を受けたいか。いいえ、そうしたくない。
 でも仕事はほしい。固定給で毎日仕事のある会社員とは違って、こちらはフリーランスである。仕事がなければ収入はない。だから結局は、私用を調整できる場合はそのようにして、Aさんの仕事を受けることが多い。けれども、嫌な気持ちが残ったまま仕事をすることになる。もちろん仕事に私情は入れないが、「仕事とAさんへの(嫌な)気持ちは別」と常に思いながら仕事をしなければならなくなる。この流れがほとんどだ。
 一方、Bさんはきちんと「予定」の連絡をくださる。この人の仕事は優先で受けたいと思っているし、実際にそうできている。ちゃんとフリーランスのことをわかっているのだろう。いきなり電話ではなく、メールを送ってくださるところも重要。
 わたしのように電話嫌いで「いつもスマホを手元に置いてるわけではない」者は、メールをもらうほうがはるかにありがたい。さらに、電話がかかってくると、いま進めている仕事が急に中断される集中力を戻すのにも時間がかかる。フリーランスにとって時間はまさに金なのだ。
 そういうこともすべてふくめて、「前もってメールでスケジュールの連絡をくれる担当者」であるBさんとのつながりは大事にしたいし、多少きつい仕事でも受ける。フリーランスとはそういうものである。
 AさんとBさんは同じ会社にいるのだ。Aさんには、Bさんを見て「フリーランスが喜ぶ仕事を発注するやり方」を学んでほしい。いや、「相手の立場を想像してみる」というだけなのだけれど。

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