20/03/29 日記

 社会の一般的な元気を100として(この比喩もあまり意味がないけれど)、メンタルの弱い自分は、いつも、30ぐらいしかない。ところがいまの情勢で、社会の元気が40〜50ぐらいになってしまっている印象があるから、相対的に、自分は元気なほうなのかもしれない。

 在宅ワークの必要に迫られる中、自分はいままでもやってきたことが実践できるわけで、比較的、恵まれているともいえる。しかし、明日から、日本全体が適応していけるのだろうか。ぼんやりと考えている。

 友人に手紙を書いたものの、やはり自分の字の汚さで落ち込む。改善していかなくてはならない。

 いまはメンタルの薬こそ、飲んでいないのだけれど、睡眠がどうもひどい。入眠は遅いわ、早朝に覚醒するわで、たまに少量の睡眠導入剤を飲んでいた。しかし、これも夢をよく見たり、記憶を飛ばして恥ずかしいツイートをしていたりで、よくない。意識をシャットダウンするような入眠で、肝心の眠りが浅く感じられるのもつらかった。ただ眠りに入れるだけ、という実感しかないのだ。

 そのようなことを医者に相談したところ、ベルソムラという薬を処方された。うっかりすると「ベルソ村」と頭の中で変換されてしまい、南フランスあたりの山村を思い浮かべる語感だ。

 原理的には、日中に増加して夜間に減少するオレキシンの働きをブロックすることで、睡眠をうながす作用があるという。睡眠薬の多くが脳の機能を低下させ「くたくたになった状態」を作り出すのに対し(いままで飲んでいたものもそうだった)、睡眠と覚醒の周期に関係する物質の働きを調整して眠気を強くするのだそうだ。

 入眠よりも、中途覚醒や熟眠障害に対する薬だそうで、その点に不安はすこしあったものの、後者のほうが嫌なので、これはこれで、という感じ。副作用として、悪夢が増えることがあるというけれど、まあ、それはしょうがない。メンタルが悪いと、自然と、そうなるようなものだし。

 飲んでみると、自分に合っている感じがして、このところ、助かっている。自然に眠気を増やす感じで、なかなかよい。翌朝に眠気が残る感じはあるけれど、早朝に目が覚める不快感はないし、寝覚め自体も悪くない。助かった、という感想。

 睡眠というのは、一般的には、安らぎなのだろうか。逃避なのだろうか。

 自分にとっては、なかなか寝付けないという狼狽、目が覚めるのではないかもしれないという不安、起床したら気分が沈んでいるのではないかという恐怖が、そこにあった。どうにかして抜け出そうと、読書をしたり、SNSを眺めたり、友人と話したり。いま思うと、振り回されていた気がする。

 睡眠にまつわる苦い記憶は多い。そう、夜は怖いものだった。科学的にいえば、このような不安にまつわる止まらない思考も、オレキシンを増やしているわけだから、なかなか眠くならなかったのでしょうね。

 ベルソムラは光と湿度の影響を受けやすいのだそうで、銀色のPTPシートにしっかり包装されて入っている。銀色の薄いシートの中でぽっこり錠剤が盛り上がっていて、なんだか、UFOみたいな外見だ。これからも、睡眠という広大な宇宙に連れて行ってくれるとよいのだけれど。


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