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「サピエンス全史」とVTuber・因幡はねる大好き芸人2より

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先日、ふくめん秘書さんのSHOWROOMのチャンネルで、「因幡はねる大好き芸人2」という番組に出演させて頂きました。そのときの私のプレゼンを、許可を得てこちらで公開します。お題は「因幡はねるの魅力について考える」ですが、VTuberの魅力とは何かについて考察?しています。

ゲストに、VTuberで「美しすぎる試食販売員」の麻倉由衣さんがおられたので、それに絡めた部分があります。

因幡はねるの魅力について考える

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今回、「因幡はねるの魅力とは何か」がテーマですが、それについて突きつめて考えてみました。そうすると、

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人類とは何か、まで掘り下げる必要がありました。これからその話をします。

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これは「サピエンス全史」という本ですが、世界的にベストセラーになりました。200万年前から現代までの人類の歴史を俯瞰して、人類についてより理解するという、そういう趣旨のものです。

この本によると、人類の最大の発明で、人類が他の動物と決定的に違うのは、「虚構」の概念を生み出したことだと。虚構というのは、国家とか、宗教とか、お金とか、実在しない概念的なものですが、その発明が決定的に重要だったということです。それはなぜか。

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サピエンス全史によると、2万年前くらいまでは、地球上にはネアンデルタール人とかデニソワ人とか、いろんな種類の人類が暮らしていました。しかし今は「ホモ・サピエンス」、つまり今のこの人類しか残っていません。

そのホモ・サピエンスだけが、「虚構」を理解して、宗教や国家などを作ることができました。

チンパンジーなどの群れは、最大で50匹くらいなのですが、ボスを頂点とした家族的な集団で、直接お互いを知っていないと成り立ちません。ネアンデルタール人など昔の人類も、それと同じような社会だったと言われています。

でもホモ・サピエンスは、虚構によって知らない人同士が協力することができました。国家とか宗教とかの、同じ虚構を信じるもの同士で協力できるわけです。これは、家族的なつながりの小集団に対して圧倒的に有利で、ホモ・サピエンスは他の人類を滅ぼし、地球に文明を築きました。それだけ「虚構」が重要だという話です。

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そもそも虚構とは何なのかというと、「他人を共感させる物語である」というのが、僕の理解です。

たとえば宗教家は、「神に祈れば、願いが叶えられますよ」というストーリーを語るわけですね。実際こんな奇跡が起こったよ、とか。それに共感した人が、宗教を信じるわけです。

王様は、「自分に従えば、争いを調停したり、隣りの国との戦いに勝ったりして、あなたの生活が楽になるであろう」というストーリーを語ります。それに共感した人が、王様に仕えるわけです。

あるいは試食販売員は、「このおかずを買って帰れば、夕食の準備が簡単だし、家族にも喜ばれますよ」というストーリーを語って、それに共感してもらうことが大事だと思うんですよね。(「事実です」という麻倉由衣さんの合い手)

会社というのも虚構で、「この会社に投資すれば、こんな素晴らしい事業をして、これだけ儲かります」というストーリーを語ることが重要です。

これらはすべて虚構ですが、魅力的な物語があれば、皆が虚構を信じて、存在することになるのです。大事なのは「物語」ということです。

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そして、因幡はねるには、物語がありますよね。

例えば、ポムポムプリンくんとの物語です。一番最初のデビュー放送で、「ポムポムプリンくんとコラボしたい」と言って、その後のいきさつに様々な物語があったし、その夢がついに実現した時には、大きな感動がありました。(詳しくは、こちらの記事と、こちらの記事にあります)

また、AKBの中野郁美ちゃん(いくみん)の件では、ねるちゃんがデビューする前に、握手会でいくみんと会って、「私はVTuberにデビューしてがんばるから、いくみんもがんばって」と、そのとき落ち込んでいたいくみんを励ました。それが伏線になって、励まされたいくみんが、ねるちゃんを応援するために来てくれた、というすごい物語が、あるわけですよ。(詳しくは、こちらの記事にあります)

そんな特別なことだけでなく、先日Youtubeの登録者が10万人を突破したわけですが、その地道な努力の過程にも、いろんなことがありましたよね。私たちはその物語を見て、また体験してきました。

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そもそもVTuberには、いろんな階層の物語があって、エンタメとしても特徴的なものがあるでしょう。

まず因幡はねるは、自分自身についてよく語ります。自分の物語を、とても面白く語れるというのは彼女の強みです。

また、彼女はファンを大事にするので、因幡はねると、ファン一人一人との物語があるはずです。あのときコメント読んでもらえたとか、ツイートに励まされたとか、そういう「因幡はねると自分だけ」の、双方向の物語があるでしょう。

さらに、VTuberってVTuber同士の社会みたいなものが出来ていますよね。バーチャル人格によるバーチャル社会みたいなものがあるのが、VTuberの面白いところで。そして因幡はねるはあまり人付き合いが上手くないので、探り探りのところから仲良くなっていく課程とか、そういうとこにもすごく物語性があります。

さらにもちろん、「因幡はねるの歴史」も物語であり、それはさきほど話したようなことです。

さらに、VTuberそのものの歴史が、まだ始まったばかりで激動しているので、その中で因幡はねるがどうなるのかという物語もあります。これは僕が特に興味があるところですが、このように多くの物語が、因幡はねるという「虚構」を作り上げています。

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ところで、これは最近の研究で、今年の7月に発表されたばかりの論文なんですが、これによりますと、DNAの突然変異により、ホモ・サピエンスだけが「文章の入れ子構造」を理解できるのだと。文章の入れ子構造というのは、「誰々が、何々をしたと、聞いた」というような、関係代名詞みたいな構造で、人間の言語には必ずあるんですけど、動物の言葉にはないし、人間でも脳に特定の障害がある人は、その概念が理解できないそうです。

メンタル統合能力ともいいますが、これができることで、人が語った物語を、自分のものとして共感できるわけです。これが、虚構や物語を理解するということで、物語に共感するためのDNAがつまり存在するんですね。そしてそれが、ホモサピエンスを発展させた。

(時間の都合で、説明を端折っています。詳しくはこのWIREDの記事をどうぞ:人類の文化的躍進のきっかけは、7万年前に起きた「脳の突然変異」だった

と、ここまで語ってきたのは要するに、次の結論を言いたいためです。

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結論、「ホモ・サピエンス イコール 因幡組」

因幡はねるという「虚構」には、魅力的な「物語」がありますよね。

虚構の物語に惹かれるのは、見てきたように、ホモ・サピエンスのDNAに刻み込まれた性質です。

つまり、ホモ・サピエンス、すべからく因幡組たるべし、ということです。

あとがき

因幡はねる大好き「芸人」という企画なので、結論はネタに走っています。でもVTuberの特徴はその多階層な物語性にあるというのは前から思っていたことで、リアルの人物とも、アニメキャラとも違う魅力があると考えています。

アーカイブがYoutubeに上がっています。

ふくめん秘書さんのSHOWROOMはこちら。VTuber関連の企画を、今後もいろいろされるそうです。


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