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みんなが知らない!青春18きっぷがいちばん輝く使い方

夏です!電車好き、旅行好きにとって一番楽しい時期ですね。
その中でも安く旅行したい!と思う人なら誰でも一度は手に取るのが青春18きっぷ。
ですが、青春18きっぷをただ東京から大阪や仙台に移動するためだけに使っていませんか?
確かに東京から本線の快速に乗って西や北を目指すのは一つの使い方です。普段見慣れた横浜や大宮までの車窓にも新しい発見があることでしょう。でもそれだけじゃもったいない!せっかくJRの在来線全てに乗車できるきっぷなので、もっともっとポテンシャルを引き出したい…。というわけで青春18きっぷがもっと輝く使い方をご紹介します。
長くなったのでその方法が知りたい方は後半のケース紹介まで目次で飛んでくださいね。


青春18きっぷの基礎情報

効力

青春18きっぷはJR6社の普通列車が全て乗り放題となるきっぷです。
ここで言う普通列車は、ざっくり言うと「特急を名乗っていない列車」です。「特別快速」「新快速」などはOK。「通勤特急」「空港特急」などは乗車不可です。特急券を別に買ってもダメです。
また、JR以外の路線は乗車できません。「東京モノレール」「南海電車」などはもちろんですが、JR線から直通列車がある「しなの鉄道」「智頭急行」「福岡市営地下鉄」なども乗車不可です。実は最近は特例で一部乗車できる区間があるのですが割愛します。

価格と有効期限

1回分で1日乗り放題となります。
価格は5回分がセットになって12,050円。
1回あたり2,410円となります。
セットで1枚なので、ばらして使うことは(物理的には)できませんが複数人で同時に使うことはできます。
また、5回分セットであって有効期限5日ではないので、使用日が飛び飛びでも問題なく使用可能です。

期間

今夏は、
発売期間:2024年7月10日(水)~2024年8月31日(土)
利用期間:2024年7月20日(土)~2024年9月10日(火)
発売期間と利用期間が少しずれます。

青春18きっぷは夏の他、冬と春にも発売されます。
今年の春は
発売期間:2024年2月20日(火)~2024年3月31日(日)
利用期間:2024年3月1日(金)~2024年4月10日(水)
でした。
今年の冬の情報はまだ出ていませんが、昨年の冬は
発売期間:2023年12月1日(金)~2023年12月31日(日)
利用期間:2023年12月10日(日)~2024年1月10日(水)
でした。

その他

長い歴史があるフリーきっぷですので様々な特例が追加されているのですがここでは割愛します。青春18きっぷについては多数の方が攻略情報をネットに上げていますので、細かい特例はそちら又はJRの公式サイトをご確認ください。

青春18きっぷの特徴

全国の路線に乗れる

これは遠くに行けるという意味でもあるし、山深い秘境路線、地味な路線に行けるという意味でもあります。
JRが運営する路線(BRT、船舶含む)が通っていればどんなに過疎路線でも乗車が可能です。逆にJRが運営する路線が無ければ乗車できません。
北陸地方などは既にJRが本線筋には存在しないなど広い範囲を縦断するような使い方は近年少しずつできなくなっていますが…。

新幹線・特急には乗れない

これはそのままで、新幹線や特急には乗れません。特急券を買っても不可なので、乗る場合は乗車券と特急券の両方が必要になります。
但し一部末端区間で普通列車扱いになる場合と、在来線で特急以外存在しない区間に限り乗車できます。北海道新幹線は専用のオプション券がありますが、奥津軽いまべつ~木古内間しか新幹線には乗車できず、木古内~函館は道南いさりび鉄道に乗車することになります。奥津軽いまべつ駅へは蟹田駅からデマンドタクシー「わんタク」(大人1回500円)を利用しないとたどり着けません。

5日間有効ではなく5回分セット

これは「ばらして使うことが概念上はできる」ということで、複数人で同時に使ったり飛び飛びの日に使ったりすることができるという、青春18きっぷの大きな特徴の一つになっています。
金券ショップに使いかけが売っているのはこの特徴が関係しています。

似たきっぷ

青春18きっぷは全国版ですが、これと似たような「普通列車乗り放題」のきっぷが出ているのでまとめて紹介します。

北海道&東日本パス

JR北海道・JR東日本・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道・北越急行の5社が乗り放題のきっぷです。
有効期間:7日間(分割不可)
価格:11,330円(1日あたり1,619円)
発売期間・利用期間
春季
発売期間:2024年2月20日(火)~2024年4月16日(火)
利用期間:2024年3月1日(金)~2024年4月22日(月)
夏季
発売期間:2024年6月20日(木)~2024年9月24日(火)
利用期間:2024年7月1日(月)~2024年9月30日(月)
冬季
発売期間:2023年12月1日(金)~2024年1月4日(木)
利用期間:2023年12月10日(日)~2024年1月10日(水)
北海道新幹線は新青森~新函館北斗については特定特急券を購入することにより乗車可。

四国再発見早トクきっぷ

JR四国の普通列車が乗り放題のきっぷです。JR四国全線乗り放題は特急も含めたきっぷもありますが、これは普通列車のみ。又、JR四国の全線フリーきっぷでは土佐くろしお鉄道窪川~若井間とJR四国バスの路線バスが含まれるのが通例になっています。
有効期間:1日間
価格:2,400円
発売期間・利用期間
通年土休日 使用前日までに購入すること

旅名人の九州満喫きっぷ

九州の鉄道路線のうち、JRの新幹線・特急を除く全線が乗り放題のきっぷです。
九州旅客鉄道(日田彦山線BRT含む)、北九州高速鉄道(モノレール)、平成筑豊鉄道(門司港レトロ観光列車含む)、筑豊電気鉄道、福岡市地下鉄、西日本鉄道(西鉄電車)、甘木鉄道、松浦鉄道、長崎電気軌道(路面電車)、島原鉄道、熊本電気鉄道、熊本市電、南阿蘇鉄道、くま川鉄道、肥薩おれんじ鉄道、鹿児島市電の16社局が参加しています。
有効期間:1日間×3回分
価格:11,000円(1回あたり3,667円)
発売期間・利用期間
通年 当日購入も可

それ以外の類似きっぷ

それ以外にも、JR東日本からは首都圏JR・りんかい線・東京モノレールが乗り放題の「休日お出かけパス」や南東北以南のJR線や中小私鉄が乗り放題の「週末パス」が、JR東海からは東海三県のJR東海在来線と伊勢鉄道が乗り放題の「青空フリーパス」などがあります。これらのきっぷは通年発売・特急券追加で特急乗車可能ということで青春18きっぷとは若干特徴が異なり、また1日あたりの価格も青春18きっぷより高いためここでは割愛します。
また、全国各地では札幌近郊の「一日散歩きっぷ」など、都市ごとに近郊エリアが乗り放題となるきっぷが設定されていることがあるため、行き先に合わせて検討してください。

青春18きっぷとの比較

上記3種類のきっぷと青春18きっぷを比較すると以下の表のようになります。

青春18きっぷが特に有効なケース

ここからは、青春18きっぷが特に有効なケースや不向きなケースを紹介していきます。なお、価格は1日分2,410円を基準に考えていますので、5回分を使い切れるような旅程を組むか、別日程で日帰り旅などを検討してみてください。

JRの境界付近を観光する旅(長野県中南部、岡山高松、関ヶ原~長浜、伊豆、関門海峡、中国山地)

まずはJRの境界付近で乗り放題きっぷが設定されにくい区間を乗車するような旅が考えられます。上記では6つのケースを挙げていますが、青函間や上越地域は新幹線開業に伴って該当ケースからは外れます。一方中国山地(木次線、芸備線など)は全域がJR西日本管内ですが、山陰と岡山・広島の北部を同時にカバーするきっぷが存在しないため本ケースに該当します。
道中もJRで行くことでその分の運賃もカットすることができる利点があります。
いずれもJR縛りになるのが条件で、例えば伊豆などはバスや私鉄(伊豆急行、伊豆箱根鉄道等)を使って横断・周回するような行程は組めないのが欠点です。もっともこの場合は東京~熱海だけでも2,310円かかるため初日と最終日のみ青春18きっぷとする手もあります。これができるのが青春18きっぷの強みです。

大都市近郊(関東・関西・東海・福岡・札幌)を広範囲に移動する日帰り旅

意外にも大都市近郊の旅行も、JR縛りとすれば青春18きっぷの出番となります。これは先述した「休日お出かけパス」や「青空フリーパス」、札幌の「一日散歩きっぷ」が青春18きっぷの1日あたりの価格よりも高いことに起因します。関西や福岡にはそもそも近郊エリアだけの普通列車乗り放題きっぷがありません。
「広範囲に」と入れたのはこういった大都市では地下鉄の一日券が安く、それとの価格競争では太刀打ちできないからです。
日帰り旅であれば片道1,210円で元が取れますし、帰りにターミナル駅で途中下車して夕食を食べて帰る等といったことも可能です。

他のきっぷの補助として、移動日に使う

青春18きっぷはその汎用性から、各都市に2泊程度して、次の都市に向かう時にだけ使用するという使い方も有用です。滞在中はそこの近郊エリア用のきっぷを使用すれば地元の交通機関も使えるようになっていますので自由度が上がりますし、レンタカーを借りても良いでしょう。
先ほど伊豆旅行の初日と最終日のみ18きっぷで移動するという使い方を紹介しましたが、それの拡張版です。
飛び飛びの日に使用できるという特徴がいかに便利かが分かると思います。
また、LCCとの相性も意外と良く、成田・関空・新千歳・宮崎の各空港にはJR線が通っているためここから市内中心部への列車に青春18きっぷを利用することも可能です。

使用に当たって人を選ぶケース

長距離移動のために使用する

東京~大阪や東京~仙台など、長距離移動のために使用する方は多いと思います。実は北海道内の移動も札幌近郊(札幌から小樽、岩見沢、新千歳空港、北海道医療大学まで)を除くとこれに当てはまりますので注意。
もちろんそれも一つの使い方なのですが、これが向くのは何度も発生する乗り換えがあまり苦ではない人だけです。また、日中長時間電車の中にいることを楽しめる人は、たとえスマホという文明の利器を持ってしても限られるのではないでしょうか。
安い移動手段という意味では高速バスもありますので、そちらと比較検討することをオススメします。高速バスなら18きっぷ旅行ではもう利用できなくなった夜行便も健在ですので、日中は遊びたい!移動に取られたくない!という方には有用です。

JRの地方線区を訪れる

本来の青春18きっぷの趣旨の一つに地方のローカル線にこのきっぷで訪れるというのがあると考えられるのですが、現在は先述した長野県中南部や中国山地の線区を除いて手放しに青春18きっぷを勧めるのはできない状況です。というのも、甲信越・東北・北海道・四国にはより安く使い勝手が良い北海道東日本パスや四国再発見早トクきっぷが存在するためです。
九州は旅名人の九州満喫きっぷが青春18きっぷより1日あたりの価格では高くなるためJR縛りにできるならば青春18きっぷの方が有用となります。

青春18きっぷに不向きなケース

JRが存在しない場所に行く

一見当たり前の話をしているように見えますが、新幹線開業に伴って第3セクター路線となった地域にはすでにJRの在来線はありません。北信越や北東北、肥薩おれんじ鉄道の区間などがそれに該当します。
これらの地域に行く場合は青春18きっぷでは無理で、北東北ならば北海道東日本パス、肥薩おれんじ鉄道に乗るならば旅名人の九州満喫きっぷを使うことになるでしょう。
北陸はそうした広域きっぷの対象にはなっていませんが、旧北陸本線の敦賀~越中宮崎が乗り放題の「北陸3県2dayパス」(2,800円、1日あたり1,400円)や上越妙高~直江津~敦賀とそれに接続するJR支線群が乗り放題の「北陸おでかけtabiwaパス」(2,900円)のような広範囲に有効なきっぷはあります。
もちろん私鉄各社が抱える観光地(箱根や伊勢志摩など)はJRでのアクセスができない場所も多い一方該当する私鉄各社が観光のためのきっぷを発売していますので、青春18きっぷの出番はないでしょう。

青春18きっぷ1強の時代は過ぎ去って久しい

国鉄分割民営化から今年2024年で37年になります。その間にJR6社は別々の道を歩み、沿線の観光資源の活性化や利便性向上に尽力してきました。その過程で、閑散路線の廃止や夜行列車の廃止など様々なことがありました。
青春18きっぷは発売当初の「青春18のびのびきっぷ」から数えると42年の歴史を刻み、その間に様々なルール修正も重ねてきました。

攻略情報も様々な方が提供していますが、今回私は他のきっぷとの兼ね合いでの向き不向きという観点から青春18きっぷを考えてみました。
こうして見ると、貧乏旅行と言えば青春18きっぷというイメージはあるものの必ずしもこれ1枚で何でもできる時代ではないということが分かるのではないでしょうか。一方でJR各社の意図する観光ルートの狭間に落ちるような旅のプランを実現するために、青春18きっぷは無限の可能性を秘めています。

この夏は青春18きっぷで旅に出よう!

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