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The Best of Muddy Waters

この世には「ベスト盤」と呼ばれるアルバムが存在します。

私はこれが嫌いなのです。

例えばポール・マッカートニーの「Pure McCartney」というタイトルのベスト盤。

いっぱい曲が入っているけれど、このアルバムで一体何が分かりますか?

このアルバムでポール・マッカートニーというその人の、何を聞けというのでしょうか?

しかもこの曲順・・・あぁ8の字型に踊ってしまう・・・(Figure of Eight)。

しかし、世の中には聞かなければいけない、聞くべき、いや、おマエ、それ聞かないでどうする、といったベスト盤が存在するのも事実。

このThe Best Of Muddy Watersが、紛れもないその一枚というわけです。

一枚のタブローとしてのThe Best Of Muddy Waters


このアルバムも数多のベスト盤の例に漏れず、既発曲を寄せ集めていっちょあがり、のはずで、収録曲も曲順も、制作者(チェス兄弟)には特段思い入れはなかったのかもしれません。

しかし目の前には在るべくして在るような、隅から隅までビシビシキマった、一枚のタブローなのです。

そしてこのジャケット。

これを静かに眺めるのです。

マディ・ウォーターズはこの時、何を考えていたのだろうか?

・・・と人は何事につけても意味を与えようとするのですが。

彼は、何も考えていなかったのではないでしょうか。

その雑味のない表情、音楽こそが私たちを惹きつける。

その懐の深さに、何度もそこに飛び込みたくなるのです。

ところで、このアルバムの中で私が非常に気に入っている瞬間があります。

モージョーを手にいれるためニューオリンズへ出かけようとするマディに、リトル・ウォルターが(おそらく背後から)声をかけるのです。

おいらも連れてってくれよ~ぉ、と。
Take me with you, man, when you goin`

私も連れてって欲しいのです。

Side 1
I Just Want To Make Love To You
Long Distance Call
Louisiana Blues
Honey Bee
Rollin’ Stone
I’m Ready

Side 2
Hoochie Coochie Man
She Moves Me
I Want You to Love Me
Standing Around Crying
Still a Fool
I Can’t Be Satisfied


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