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来年の桜が散る時に…

みなさん、こんにちは。メリアです。

本日はこちらの1冊を紹介いたします。

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いぬじゅんさん

『いつか、眠りぬつく日』が第8回日本ケータイ小説を受賞し、書籍化。

他作品として、『この冬、いなくなる君へ』『今夜、きみの声が聴こえる』などなど生と死をテーマとした感動的ストーリーが幅広く愛されています。


あらすじ

むかしむかし、あるところに絹のような白い肌の女の子がいました

大きな瞳で愛くるしい笑顔の彼女は、誰が見ても物語のヒロイン。

物語の主人公の名前は【空美姫花】

と、頭の中でナレーションが語りかけている…。


空美姫花はぽっちゃり系高校一年生。脇役として目立たず平凡に生きてきた。誰も傷つけず、笑顔でいればなんとかなる。それが彼女の性格。

そんな彼女は入学式の日に桜の木の下で美形な先輩、小説家の卵でもある悠真と出会う。

「彼への想いは恋ではない、憧れなんだ…」

そして親友の杏奈も彼を好きになってしまう。そこから友情に亀裂が生じるのですが…。


感想

一見、甘くて苦い恋愛小説を想像しますが、この作品は完全に友情の物語となっています。

好きな人を親友までもが好きになてしまう…。

この展開はよくある話と考える人も少なくないはずですが、非現実的な世界観での物語展開となっています。

それは、主人公が事故に遭いそうになるのですが、運よく姫花は助かるのです。そこで出会う女性"リンネさん"曰く、「死を延長した」というのです。

延長された生の中で、姫花はリンネさんからミッションを課せられ、自分自身、そして親友と"正直な気持ち"で向き合うのです。


「正直に生きる」という言葉がこの小説では何度も登場します。

姫花自身、自分の気持ちよりも「相手が不快にならないように話す・行動する」それが姫花にとって何より大切であると思っていました。


姫花自身が死を延長され、リンネさんから正直に生きなさいと言われるのですが、何が正直なのか、何が大切なのか、それを理解することはそんなに簡単なことではないのです。


人間にとって、自分自身と向き合うことが何より大切なのはわかりますが、自分自身の気持ちを理解することが1番難しい難問であることがこの小説を通して改めて感じたのです。

"死"を意識したときに、残された時間がわかったとすれば、私たちはどのように残りの人生を生きるでしょう。


もっと、雑に生きていいと思います(p.34)

このセリフは姫花の友人が投げかけた言葉です。

この「雑に」とは、決して適当に生きろという意味ではなく、もっと自分の好き嫌いを言葉にして、自由に生きていい。そんなふうに感じ取られ、印象的に残った言葉でした。


ファンタジーでもあり、高校生の青春物語でもあり、生と死を考えさせられる作品でした。



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