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母の面影を追って…

みなさん、こんにちは。メリアです。

本日はこちらの1冊を紹介いたします。

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尾崎世界観さんの作品です。

"母"の"影"と書いて『母影』という作品で、芥川賞の候補作とな里ました。

尾崎世界観さん

彼はクリープハイプというバンドメンバーの一人です。

小説もいくつかの作品を出しており、小説家としても活躍をされています。デビュー作は『裕介』という文藝春秋出版の本。

本作の特徴と感想

読了した感想は、とにかく独特の世界観ということ。

内容に関しては賛否両論であることは間違い無いと私は感じました。


あらすじ

少女は母と二人暮らし。

少女の居場所は母の働くマッサージ店。カーテン越しに母がお客さんの「こわれたところ」を直していく。母がだんだん「変」になっていく。もうこれ以上母がどこにも行かないようにと願う。

感想

本作は最後まで子供視点で描かれ、母の姿を見て育つ1人の少女の物語となっています。しかし、「物語」というより、「少女の心の声をそのまま反映させた作品」という方が正しいかもしれません。

ですので全ての表現が単調なのです。「面白かった」「悲しかった」「怖かった」幼女の口調で書かれた作品は独特そのもので、その世界観についていける人、いけない人にキッパリと別れる作品です。

また、幼女の視点で書かれているため、簡単な漢字以外は全てひらがなで書かれていることも特徴の一つ。


しかしながら、幼女の視点から他人の様子や環境を表現すること、性描写を幼女の視点で表現するとこなど、デリケートな部分をここまで繊細に表現できるのかと驚きました。

子供は大人のように思ったことや感じたことを即座に表現するのは難しいです。「表現したいけど、言葉が見つからない」という微妙なラインを表現する力を持っている尾崎さんはすごいなと素直に感じました。

大人は物事を善と悪に分けたがります。"大人の私"がこの物語を読めば、母はどちらかといえば"悪"に位置してしまうのですが、子供の視点で描かれているこの作品は、見聞きしたことを善悪として位置付けることがありません。

しかし、学校での差別的な反応や母の様子の変化から「変かもしれない」から「やっぱり変なんだ」という確信へと変わっていくのです。

その微妙な変化の表現もこの物語の特徴で、誰もが「〜であろう」と思う部分にあえて触れていないところに、尾崎世界観さんの願いが込められているように私は感じました。

少女はまだまだ純粋。取り巻く環境に屈することなく、少女が成長してほしいと願う作品です。


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