かぐや様は告らせたい224話感想


今回の話は急展開でしたね……。

読み終わった後ヤンジャンアプリのコメ欄を眺めていたのですが、「あっさり解決したねー」「良かった」「リアルで良い締め方だと思うけどな」「無理やり片付けた感」というような感想が多くて、え?え?となりました。

この2人の関係、本気でこれで終わりだと受け取った読者が多いのか……?

まずはひとつミコが大人になって直接話をして、「こばちゃんの気持ちを知りたい」という意思を伝えて、大仏さんの心境を変化させる礎を築いた、という回だと思ったんですが。むしろこれからが本番だと。


大仏さんは自分の願いを話すとき、

「石上には不幸になってほしくない それだけなのかな」

という言い方をしていました。本人にも、自分が本当に望んでいるものが分かっていないんじゃないんでしょうか。

これまで明かされてきた大仏さんの複雑な心境が、この一点だけで片付けられるようなものだったとは思えません。

ミコに対しても、"教室で隣の席だったから、なんとなくつるんでた"という以上の思い入れがあったんじゃないんですか?

本当にその程度の関係だったなら、三角関係になり"そうになった"くらいで身を引こうなんて思わないと感じます。

「石上よりミコちゃんを選んだ」

という言葉通りだったのだと私は受け取りました。本気で石上を一番に考えていたなら、あそこで身を引くべきでは絶対に無かったと思うし、身を引けなかったと思うんですよね。それに。

ミコが生徒会選挙で皆に認められたとき、大号泣していたのに。アレが"余り者同士で身を寄せ合っていただけ"の友人に対する肩入れの仕方?

大一番の生徒会選挙演説に臨むとき、「がんばって」と不安そうにこばちゃんの手を握ったミコの姿も、私は忘れていませんよ。

大仏さんの言葉を聞いて一瞬黙り込んでしまった石上もまた、選挙の時の二人の姿を見ていました。

それにそれに、こんなに大人な解決ができる二人じゃないでしょう!?

大仏さんはずっとドライな調子を崩さないけれど。

かぐや様に本音をこぼした時の切実な顔、生徒会選挙の後の大号泣。

本当は誰よりも感情が豊かな子だと思っています。

大仏さんに心の奥の奥を見せてもらえる段階に、まだミコが到達していないだけなのかなと思いました。一度も本気の喧嘩をしたことがないと言っていましたし。

とはいえここで真摯に向き合ったことは、今後絶対に無駄にならないと思います。


さて。

ラストに「きっとこばちゃんの言う通りで〜」と作中初のミコのモノローグが入っていました。

私はこれがかなり意外で。

以前作者の赤坂先生がインタビューでミコにモノローグが無い理由を聞かれて、

「プレイヤー側のキャラにはモノローグをつけるけど、それ以外のキャラにはつけない」「モノローグがないキャラクターは恋愛対象である証」

という風に答えていらっしゃいました。

それを読んでからずっと、ミコちゃんにモノローグがないのは、「裏ヒロイン」という立場であり、主人公ではないから。恋愛感情を"向けられる側"だからモノローグが無いのかなと思っていて。

これからも、石ミコの関係性が収まるところに収まるまで、ミコのモノローグ開示は無いかなと思ってました。

というかミコ初のモノローグ開示は、"大友事件をミコがどう捉えていたか"の答え合わせになると考えてました。

その根拠として……

例えばつばめ先輩は、石上に告白された次の回で初めてモノローグが開示され、どんな風に石上のことを見ていたかが明かされました。

石上の恋愛対象として、プレイヤーの向こう側にいる人物としての役目が終わったからなのかなと思います。

でも私は、これまでの話をどう汲み取ってもミコが石上の恋愛対象にならずに終わるとは考えられないので(過激派が過ぎる!)

別の観点から考えてみると。

今回は"ミコの難題編"なので、読者=プレイヤー?はミコ側で、難題である大仏さんとの友情を手に入れに行くお話なのかなと。

だとすると益々、この難題編はまだまだ終わってないと感じますね。

モノローグや表情にも薄々滲み出てますが、どうにか折り合いをつけて築いた今の関係に納得できないミコが自ら何かしらの行動を起こすのか。

それとも、今後起こる何かによって、どうしても関係が変化せざるを得なくなるのか。

そのどちらかだと思います。

ミコは手を伸ばすだけで簡単に手に入った"真っ黒に煤けて汚れている石の鉢"ではなく、世界に二つと無いような貴重な、本物の"仏の御石の鉢"を手にいれることができるのでしょうか。(元ネタ「竹取物語」より)

楽しみです。




P.S.

これはどうでも良い話なんですが(私にとってはどうでも良くない)

密かな石ミコ要素たまらんですね。

石上がこばちゃんがミコと喧嘩してることに目ざとく気づいたのは、ミコの態度の変化が気になって最近特にミコのことをよく見てたからじゃないんですか!?

まあそれがなくとも気づきそうな人ではあるけどさ、石上って……。何もなくてもミコのことよく見てるから……。

それと。

「知っての通り伊井野は素直じゃないから 口で何と言おうと仲直りしたいと思ってるだろうよ」

それ貴方が言うんですね!?

本当に放っておけないんだなあ。ミコの気持ちを代弁するようなフォローの仕方をして。

それにミコが素直じゃないこと、ここまで理解してるのか。

え、もしや、私が思っていた以上に石上ってミコの気持ちに気づいてる……???

いや、違うか。

クリスマスやバレンタインや諸々を通して、素直でないミコが自分のことを憎からず思っていることは分かっていても、それが恋愛感情だとは到底思えないし思わないようにしてる……?

意識的に考えないようにしてるけど、本当は無意識下でその可能性に気づいてて、だからミコの気持ちが他の人に向いているように感じると無意識に嫉妬するのか……?

ああもう、この二人って白かぐに比べて、ほんと何考えてるか分かりづらいですね!?

まあそこが良いんですけど。この絶妙な感じこそが好きで推してるんですけど。

たとえ相手を思う気持ちが恋愛感情にならなかったとしても、お互いがお互いにとって特別であることには変わりが無さそうな感じがいいです。




*ここから本気で224話とは関係ない超長い話が始まるので注意

あああとこれは本当に戯れ言なんですが……。

つばめ先輩が本当に求めていた関係って、これだったんじゃないかなあ。なんて。

彼女、もともと直ぐに石上を振るつもりでいたのに、途中で思い直したんですよね。石上がナンパに応じようとしたミコの頭を叩くシーンを見た時に。

「もっと彼のこと知ってから判断しても良いかな」って思えた理由は、石上が本気でミコのことを心配する様子が印象的だったからなのかなと。

一番思ったのが、

クリパの時のアレ、もしつばめ先輩ではなくミコにされてたら、石上はショックを受けて泣くのではなくて"激怒する"んじゃなかろうか?

ってことなんですよね。

「何言ってんだ、お前もっと自分のこと大切にしろ」って言う石上の姿が眼に浮かぶんですよ。馬鹿にしてんのかって。

つばめ先輩がしたことって、石上に対してちょっと失礼じゃないですか?

彼女が心の綺麗な人なのはよく伝わりますけど、石上が言うほど"出来た人間"とは言えないし、まだまだ高校生らしい未熟さがあるなと感じました。

そこに思い至らず自分を責めるばかりの石上は、何だかつばめ先輩を対等に見ていないというか、あくまでも"高嶺の花"として見ていたなと思います。

石上は鋭い観察眼と的確で棘のある言葉が印象的なキャラクターだったはずです。特に対藤原千花の態度とか。

ミコの悪いところは誰よりも的確に指摘し叱っているのに。

つばめ先輩とデートの約束をする時に、自分が一生懸命考えてきたプランを口に出さず相手に合わせようとしたのも同じで、石上らしくないように思いました。

ミコ相手なら、いや横浜が良いって主張して喧嘩になっている気がします。

もちろん、つばめ先輩は恋愛対象として本気で好きな人で、ミコはただの"腐れ縁"だからこその態度の違いだと言えます。

でも、つばめ先輩からしたら、ミコちゃんに向けられている感情の方がずっと羨ましかったんじゃないかな?

散々"高嶺の花"として学校中の男子から好意を向けられ、いざ付き合ってみたら浮気されて振られたなんて経緯を持つ彼女からすれば。

"高嶺の花"の自分に本気で恋している人よりも、

恋愛感情なんて無くても自分のことを一番大切に思って本気で心配してくれる、叱ってくれる"対等な立場の"人を求めてたのではないでしょうか。

告白後のセリフ(友達としてずっと付き合ってれば、そのうち私の悪いとこが見えてきてこんなやつと付き合わなくてよかったーってなるから!みたいなセリフ)からも、思いの外自己肯定感が低そうなのが伺えますし。

一方石上はつばめ先輩の印象を、「桜の花のように高潔で可憐」(正確には覚えてないけど……)だなんて言ってました。

つばめ先輩自身が思う自分の姿と、石上の中でのつばめ先輩像に乖離がありすぎて、

石上君が見ているのは本当に自分?いつか未熟で駄目な自分に気づかれたら、また見捨てられてしまうのでは?

とつばめ先輩が感じてしまう気持ちは察するに余りあります。

そう思うと、石上のアプローチは端から方向性が間違っていて、まさに"甲斐なし"なんですよね……。

本気でつばめ先輩を好きだった石上の気持ちを思うと、切ない。そもそもの立場や関係性からして、実る恋ではなかった……。

ほんと、ミコちゃん頑張って幸せにしてあげて下さい。

ミコやつばめ先輩が未熟であるのと同時に、石上にもまた未熟な部分があります。誰も指摘しないけど、大友事件で石上が取った行動にはひとつ問題点があります。

それは石上自身を不幸にしたことです。

当たり前なんですけど。ごく当たり前のことだと思うんですけど、あの時の石上の行動は作中で常に肯定的に捉えられていて、誰も指摘する人がいないなってことが気になっています。

あんな自己犠牲的なやり方駄目だと思うんですよ。

だって、石上自身の身を案じるミコや大仏さんといった人たちが報われないじゃないですか。石上の両親もね。

石上の周りにいる人たちはみんな、石上のそういう所が大好きなので、言わないですけど。

言えるとしたらミコしかいないんじゃないかな。

事情があったにせよ、あの時拒絶されて傷ついたミコだけは、石上のそういう所に対して思う事や言いたい事があるんじゃないかと。

そして、それを言う権利もあると思います。

ふざけんな自分を大事にしろ、苦しんでたならちゃんと言いなさい、関係ないなんて言って遠ざけるのは二度とやめてよ。

私は石上のことが心配なんだから。

って、きっぱり言ってあげて欲しいですね。

どんなに言いにくいことでも、本人のためを思って間違っていることは間違ってるってはっきりと言えるのがミコちゃんの長所でしょ?

石上も、自分の自己犠牲の上で成り立つ優しさがミコを傷つけるって理解したら、必ずやり方を選ぶようになると思うし。

そういう意味で、石上を幸せにできるのはこれからのミコちゃんしかいないと私は思うんですよね!

ミコに石上を幸せにすることはできないとか、色々言う人いますけど……。

私は成長した彼女の可能性に賭けたいです。


またも長々と行き場のない感情をこんなとこに吐き出してしまい、大変失礼しました。なんか結局、224話の感想ではない何かになってしまった……











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