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テスラの大構想、「エネルギーを創る」「エネルギーを蓄える」「エネルギーを使う」

このnote記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとして「GAFA×BATH」などの米中メガテック企業をはじめと国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中からその内容をシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、前回(第103回)のバイドゥに続いて、次世代自動車産業の一角をしめるテスラについてです。

テスラは、2021年1月2日付けプレスリリースで、EV車の2020年度生産および納車(販売)台数を開示しました。それによると、モデルS(2009年~)とモデルX(2014年~)の生産台数が54,805台、納車台数が57,039台。モデル3(2016年~)とモデルY(2019年~)の生産台数が454,932台、納車台数が442,511台。つまり、テスラ車の2020年の総生産台数は509,737台、総納車台数は499,550台となりました。

これを四半期ベースの納車(販売)台数でトヨタ自動車と比較すると、次のグラフの通りです。

グラフ納車

一方で、テスラの時価総額をトヨタ自動車、VW、GMそれぞれの時価総額と比較すると次のグラフの通りです(2021年1月15日終値ベース)。

グラフ時価総額

つまり、トヨタ、VW、GMという世界トップの自動車メーカー三社の時価総額を合計しても、テスラ一社の時価総額の半分強ほどという状況。株式市場では、テスラは、自動車メーカーとしてよりも、テクノロジー企業として評価されているようです。

テスラの創業者兼CEOのイーロン・マスク氏は、「ロードスター」や「サイバートラック」、トレーラーヘッドの「Semi」といったEV車のラインナップ拡大と同時に、完全自動運転(FSD)やライドシェアサービス「テスラ・ネットワーク」によるロボ・タクシーなど、まさにテクノロジー企業として事業を推進しています。完全自動運転については、2020年10月に、最初のFSDソフトウェアのアップデートを実施し、収集・蓄積されたビッグデータに基づいてニューラルネットワークとアルゴリズムを更新したとしています。

マスク氏は、環境破壊から「人類を救済する」という大いなる使命感を持っています。そして、それに基づくテスラの事業は、「エネルギーを創る(=太陽光発電)」「エネルギーを蓄える(=蓄電池)」「エネルギーを使う(=EV車の製造)」で構成されています。マスク氏は、2020年9月22日に開催された投資家向けの「Battery Day」で、「持続可能な電力発電と蓄電とEV車によって、持続可能なエネルギー社会を創る」と述べています。

また、そこでは、テスラの中核事業であるEV車製造について、電池製造コストを劇的に削減することで(燃費向上もあわせて)、25,000ドルのバッテリーEVの製造を可能にするとも宣言しています。

田中道昭

PS.著書の第2章でテスラについて詳しく解説しています。よろしければ、こちらも手にお取りください!




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