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米国GAFAのCEO、下院の司法委員会公聴会で市場支配について証言

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、米国GAFAによる市場支配に関する議論を取り上げたいと思います。

2020年7月29日、米国下院の司法委員会は公聴会「Online Platforms and Market Power: Examining the Dominance of Amazon, Apple, Facebook, and Google(オンラインプラットフォームと市場支配力:アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの市場支配に関する調査)」を開き、プラットフォーマー企業と言われるGAFAのCEO、つまりアマゾンのジェフ・ベゾス氏、アップルのティム・クック氏、グーグル/アルファベットのサンダー・ピチャイ氏、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏の4氏が、市場支配に関してオンラインで証言をしました(動画参照)。

この公聴会は、プラットフォーマー企業4社それぞれが、日本の独占禁止法に相当する米国の「反トラスト法」に違反する行為を行っていないか、独占的な地位を利用して不当に利益を上げたり適正な市場競争を妨げたりしていないかヒアリング調査することが主たる目的でした。

プラットフォーマーとは、「ビジネスを行うに際して基盤となるような製品・サービスやシステムを、第三者に提供する事業者」です。プラットフォームビジネスには、「Winner takes all(一人勝ち)」の状況を作りやすいという特徴があります。ひとたびプラットフォームを握ってしまえばその影響力は増強されやすく、独占や寡占の状態が生まれることも多いのです。

公聴会では各社とも、「反トラスト法」違反の疑いや指摘に対して、世界では激しい競争が存在しているとして、反論しています。とりわけアマゾンのベゾス氏は、アマゾンの売上高の8割以上を占める小売り事業を取り上げて、ウォルマートやターゲットなど大規模事業者の存在や彼らのデジタルシフトによるオンライン販売の急成長、ShopifyやInstacartなどの企業との「新しい競争」を例に挙げて、小売り市場は「Winner takes all」の状況にはないと主張しました。

日本でも、政府レベルで、デジタル市場における競争政策や日本のデジタルトランスフォーメーションと競争戦略のあり方などについての議論が進められています(私自身、公正取引委員会で独禁法懇話会委員を務め、また9名の有識者で構成される「デジタル市場における競争政策に関する研究会」の委員にも選任されています)。

巨大IT企業の規制強化をどのように進めていくべきなのか、日本企業はどのようにデジタルトランスフォーメーションの分野での競争力を高めていくべきなのか・・。私は、「データの利活用」と「プライバシーの保護」をいかに両立させていくのかがカギであると思っています。

田中道昭


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