見出し画像

『完全無――超越タナトフォビア』第七十五章

ウィッシュ
「きつねさんはニーチェなんかもお読みになられますからね。
次から次へと断片的に想念というものが浮かぶんでしょうね」

チビ
「ニーチェかー、なんかポワンポワンしてなさそうなイメージ。
チビも名前くらいは知ってるよー。
でも、名前だけ知ってるのって損なのかな。
けっきょくだいじなのは、名前とそのひとがピッタリしてるかどうかだと思うこともけっこうあったりー」

しろ
「しろはフルーチェ。どっちにしろフルーチェ一番」

チビ
「フルーチェかー。
今でもけっこうやばいけど、何百年後かにこの作品読んでるひとがいたら、しろくんがぜんぶ説明しないとねー(笑)」

しろ
「あぁ……、またチビちゃんにいじめられたぁ、でも、しろ負けないよぉ(笑)」

ウィッシュ
「しろさん、そんなときこそグラッチェグラッチェ! ですよ。
なんでもグラッチェグラッチェ! って言っておけばいいんです、世の中は」

きつねくん
「いいね、ウィッシュボーン、さすがだ。
とにかく、わろとけ、わろとけ、なんて訓示の類いと同相で、微妙に胡散臭い旨味を感じるよ」

ウィッシュ
「あはは、そうすか!
まあけっこう適当っすけどね。
きつねさんにほめられますと、ウィッシュボーン、宝箱を見付けた深海魚のようにうれしいですよ!」

チビ
「またー、チビだけのけものにしてー、失礼しちゃうなー。はは」

しろ
「どうしても、しろ、やっぱりフルーチェかなぁ……」


(チビたちの会話にもかたちはある。
かたちのあるものは無に帰すことができない。
チビたちの会話は偶然成されたわけではない。
では、それは必然だったのだろうか。
確率論的だったのだろうか。
いや、偶然と必然とを超えているし、確率と非確率とを超えているし、としか言いようがないだろう。
そして、次章はわたくしがまた語り散らかします。)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?