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「代表的日本人」から教わったこと

本書を手に取ったきっかけをよく覚えていないが、新渡戸稲造著の「武士道」、三島由紀夫著の「葉隠入門」、菅野覚明著の「武士道の逆襲」を続けざまに読んだ時に何気なく手に取ったものだったと思う。

「代表的日本人」は、内村鑑三氏が"わが国民の持つ長所 ー 私どもにあるとされがちな無批判な忠誠心や血なまぐさい愛国心とは別のもの ー を外の世界に知らせる一助(原文ママ)"として、海外に向けて執筆された英文著作である。以下5名の偉人を具体的なエピソードを交えなが具体的紹介されている。

・西郷隆盛
・上杉鷹山
・二宮尊徳
・中江藤樹
・日蓮上人


恥ずかしながら本書で初めて知ることになった中江藤樹(近江聖人)には大変感銘を受け、「鑑草」という書を早速購入してじっくりと読み進めている。


代表的日本人の共通点

「代表的日本人」の5名は、敬虔なキリスト教徒である内村鑑三氏が尊敬する人物である。
そのためか「天」という言葉が頻出するし、5名を紹介するエピソードでもキリスト教的な側面を伺うことができる。

自分はキリスト教との接点がないため宗教的な側面から読み取ることはできないが、5名のエピソードから読み取ったのは次の共通点だった。

・質実剛健
・堅忍不抜
・積徳
・依法不依人
・利他

いわゆる「日本人らしい美徳」と呼ばれるようなキーワードだが、決してそのような大きな主語でまとめられるものではなく、彼ら偉人たちに見られるものであることに注意されたい。
偉人と呼ばれる日本人の信念・信仰・魂がたどり着いた境地的なキーワードであることは間違いない。

現に自分の目測範囲でそれらキーワードに合致する人は少なく、唯一脳裏に浮かんだのは「ルワンダ中央銀行総裁日記」を著した服部正也氏と出光興産創業者の出光佐三氏の2名だった。出水佐三氏の「永遠の日本」「日本人にかえれ」も胸を熱くするものがある。


祖霊信仰と代表的日本人

日本人の多くは先祖を神様仏様と祀る「祖霊信仰」があるため、「代表的日本人」は外の世界に知らせる以外にも、日本でも神様として崇拝できる5名として後世に遺したかったのではないだろうか。
「後世への最大遺物」でも語られているように、それが内村鑑三氏の思想の1つとして紙に遺したかったものなのかもしれない。

自分が子や孫の世代に伝えていくとしたら、誰の功績や思想を学んでほしいか。
少なくともその1人に自分自身が含まれるよう精進しながら精一杯人生を全うしたいものである。

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